工学部の学生が考える国際交流の重要性

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こんにちは、初めまして。名古屋大学工学部2年の川村彩と申します。私は化学が好きで、今は大学で応用化学を専攻しています。また、私は親が海外で働くことが多い影響で、国際交流や発展途上国との協力にも興味があります。なので将来は今勉強している化学を利用して発展途上国の人たちと働くことが一つの夢です。

そうは言っても、一般的には発展途上国ではまだまだ“第一次産業が盛んという”イメージが強く、農業や環境学における技術革新ばかりが注目されています。そのため、工学における最先端の科学技術と開発援助がどのように関わるのかわかりにくい、というのが現状です。

しかし、私は私は工学部だからこそできる開発援助があると思っています。技術系の学生というのは、みんなある一つの自分にしかできない専門技術を持っているもの。開発協力において、それは一つの強みになるのではないのでしょうか。

今回は、工学の技術を用いた開発協力の例を取り上げていきたいと思っております。これを読んで、開発協力や国際交流に興味を持つ工学部の学生さんや、工学は難しそうなイメージだったけど、意外と面白いのだなと感じていただける人が増えたら幸いです。

工学部の学生が考える国際交流の重要性

筆者が高校時代に訪問した高エネルギー加速器研究機構(つくば市)

発展途上国における技術力の必要性

近年、発展途上国の開発論においては、第一次産業から、第二次産業の製造業を飛ばして第三次産業のサービス業ばかりが広まってしまっているという点が問題視されています。しかし、サービス業はその国の経済状況からの影響を直接受けやすいため、その土台ともいえる技術力のない国の人々の生活は安定しません。

また、発展途上国の中では鉱山資源の開拓を主産業としている国もあります。しかし、かつて日本でも「足尾銅山鉱毒事件」に代表される公害事件が社会問題になったように、大気汚染などの環境問題や資源の枯渇などといった解決すべき問題が山積みです。このような側面から、持続可能な技術力をつけることが、必要となっていくことは明白です。

工学部の学生が考える国際交流の重要性

ラオスの農村部

ウクライナ~製薬産業の発展~

上記したことを踏まえた上で、今回は科学技術が国の発展をもたらした、ウクライナの例を見てみましょう。ウクライナは共産主義国で、旧ソ連構成国の一つです。その影響により鉱山開発やロケット開発なども行われています。肥沃な土地を活かして農業も盛んです。天然資源が豊富なため重工業も活発に行われています。しかし、ウクライナ東部での紛争により経済状態が安定しなかったりなど、貧困の問題もあります。

それらの問題を解決する方法として注目されているのが製薬産業です。

近年、日本の製薬大手では新薬の開発成功が難しくなっています。さらに、安価なジェネリック医薬品の台頭によって、市場規模が小さくなる一方でした。そこで、新興国の中間所得層の増加による市場拡大や、技術力を見込み、現地で新たな工場を作ったのです。

旧ソ連には、共産主義の思想の支持を広めるために、国を上げて識字率の向上に力を入れていた背景があります。貧富関わりなくみな平等に教育を受けることができるため、ウクライナなど、旧ソ連諸国は教育水準が高いことで知られています。

この2つの要素が組み合わさった結果、理想的な“工学を用いた開発援助”が実現したのです。海外進出に積極的な武田薬品は、すでにウクライナでの事業展開をしています。自分の技術を活かして、その国と日本企業の発展に貢献することができる。これは非常に魅力的なことです。

工学部の学生が考える国際交流の重要性

ウクライナ聖ソフィア大聖堂 Dlift.jp より引用

最後に

開発協力において、何が正解かという答えはありません。先ほど述べたウクライナの例も一意見にすぎないので異なる観方もあるでしょう。国の発展とは奥が深いもので、技術以外にもその地域それぞれの伝統、民族性なども考慮する必要があります。まずは無理に開発、開発と言わずに現地の人々の考え方を理解し、協力して、日本人とその国の人々がともに成長していくことが大事だと思います。だから技術ばかりに依存せず、工学系の人たちが現地の文化を学んだり、まずは国際交流に慣れ親しむということも重要なことなのではないのでしょうか。

しかしいろいろ考えだすと大変なスケールの話になってしまうので、気軽にこういう方法もあるんだな~ってくらいにとらえてくださいね。

工学×国際交流の良さ、感じていただけましたでしょうか。

工学部の学生が考える国際交流の重要性

ラオスの水力発電所で利用されている日本の技術

参考文献

世界銀行 ウクライナ
http://www.worldbank.org/en/country/ukraine

JETRO ウクライナ概況 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/russia_cis/ua/data/ua20151020.pdf

Pharmaceutical Industry in Ukraine
http://www.investin.if.ua/doc/pub/Ovewview_Pharmaceutical.pdf

この記事を書いた学生ライター

Aya Kawamura
Aya Kawamura
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1997年生まれ。中学生の頃に3年間アメリカに滞在する。名古屋大学工学部在中。内閣府の国際交流事業に参加し、途上国開発に興味を持つ。また最先端の科学技術にも興味があります。かけだしライターですが、理系の学生さんに国際交流に興味を持ってもらえるような記事を配信していきたいです!

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