いったいなぜ?「偏差値を上げない予備校」で生徒の成績が向上するわけ

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少しでも多く点数を取って、より偏差値の高い大学へ…。語弊があるかもしれませんが、これまでの大学進学のあり方は大凡このようなものでした。 

しかし、東京大学を中退している実業家の堀江貴文氏が「大学にはブランドとしての価値しかないので、東大以外の大学なんて行く価値がない」と発言しているように、大学進学についての捉え方は従来とは違うものになってきています。

高校生が主体的に進路を選択するきっかけ作りを支援するHLABが、ハーバード大学の学生とリベラルアーツを学ぶサマースクールを開催したり、無料で留学を支援するトビタテ!が高校生を対象に返済不要の奨学金を付与したり、この流れはもう珍しいものではありません。

今回お話を伺ったのは「偏差値を上げることを目的にしない予備校」を運営する株式会社tyotto新井光樹さん。

予備校といえば、“偏差値を上げて志望大学に進学するための場所”というのがこれまでの常識ですよね。そんな従来の当たり前を覆し、「プログレスタイム」や「プログラミング学習」など、独自の授業を展開する予備校・Withdomを取材しました。


偏差値を上げることが予備校の使命ではない

「偏差値は上げません」教育の常識を変える予備校・Withdomを独自取材


──新井さんをTwitterでお見かけした時に、「予備校の概念ぶっ壊してるな」と思ったんです。改めてWithdomのコンセプトを教えてください。


新井光樹(以下、新井)
:Withdomの理念は「人間力を育む21世紀型の新しい教育」を届けることです。大学進学を目指す高校生に、改めて勉強する意義を見出してあげることが私たちの役目だと思っています。


──「人間力を育む21世紀型の新しい教育」とは…具体的にどういうことなんでしょう?


新井
:そうだね…。オバラ君は高校生の時にどんな勉強をしていたか覚えてるかな?


──とにかく東京に行きたくて、そのためには大学に進学することが必要で。いい大学に入れるように必死になって偏差値を上げていました。


新井
:きっとそうだよね。今までの塾や予備校は「偏差値を上げること」を目的に勉強を教えているんです。もちろんそれも素晴らしいことだけど、教育の本質に立ち返ると「そもそもなぜ勉強をしているのか」ということを考える必要があると思っていて。


日本の教育は「数学を通して論理的思考力を養なうことが将来に役立つ」といった勉強することの本当の意味を無視して、とりあえず子供に「東大に行きなさい」と伝えている場合がほとんど。つまり、偏差値を上げるために勉強をする教育が当たり前になっているんです。そうではなくて、Withdomでは「本当に力になるマナビをしよう」ということを理念に掲げています。これが「人間力を育む21世紀型の新しい教育」です。


──なるほど!では、偏差値ではなく「人間力を高める」ことがWithdomの目的なんですね。


新井
:その通りです。偏差値の高い大学に進学させようと思っているわけではないんです。もっともっと先にある未来を考えています。生徒は「貴重な高校3年間をただ将来の勉強のために使うのは嫌だ」という意見も持っているので、講師全員が『「イマ」を大切にしつつ「ミライ」につながるマナビ』を提供しようという想いで向き合っています。


──とはいえ、少なくても成績が上がらないと進学はできないですよね。楽しみながらの勉強で成績って上がるんですか?


新井
:実は、入塾した生徒は全員成績が上がっています。いやいや勉強に打ち込んでいた数ヶ月前とは見違えるほどで、やはり勉強には楽しさが必要なんです。

武蔵小杉に予備校をOPEN。日本から教育格差をなくしたい

「偏差値は上げません」教育の常識を変える予備校・Withdomを独自取材


──それほどまでに教育を変えることにこだわるようになった理由はいったいなんですか?


新井
:教育機会の格差を目の当たりにしたことがきっかけです。大学生時代に個別指導塾で塾講師のアルバイトをしていたのですが、学費が高く、塾に通えない生徒の存在を知りました。子供が「勉強したい」と言っているのに、金銭的な都合で学ぶ機会を失ってしまっているんです。


でも、それって子供は悪くないですよね。日本の教育格差を肌で感じて、ここを改革しなければいけないと感じました。


──きっかけがあってすぐに予備校を立ち上げたわけではないですよね。Withdomができるまでの経緯を教えてください。


新井
:現状を知ったところで、どんなアクションを起こせばいいのかはわかりませんでした。結局は「たくさん人に聞こう」と考えて、およそ500校舎ほどの予備校に「どのような教育をしているのか」「どうしたら収入による教育格差がなくなるのか」って電話してみました。


その中で、自分の考えに賛同してくれる方に出会えたんです。その出会いをきっかけに、大学を中退して、日本の教育を変えることを決意。その方と一緒に予備校を立ち上げました。そこで学んだノウハウにより磨きをかけて、現在Withdomを運営しています。

Withdom独自の授業、生徒が主体的に考える「プログレスタイム」とは

「偏差値は上げません」教育の常識を変える予備校・Withdomを独自取材


──ものすごい行動力ですね。磨きをかける…というとWithdomでは具体的にどのような授業を行っているのですか?


新井
:もちろん進学のための指導をしています。ただ、根本にあるのは先ほどもお話した「なぜ勉強するのか」という問いを明確にしてもらうことです。


生徒自身が自らこの問いに答えられるように「プログレスタイム」という独自の授業を設けています。テーマは「未来の選択肢を増やすために視野を広げる」ことです。理念を持って働いている人をお招きして、その人の話を聞いてもらったり、『プロフェッショナル 仕事の流儀』や『情熱大陸』など、生き方を考える上で参考になる番組を見て、感じたことをディスカッションしたりします。そうやって「自分の人生をどう生きていくのか」を考えてもらうんです。

──高校生に与える課題としてはかなりハードな印象を感じます…。生徒はどのようなモチベーションで塾に通っているのですか?

新井:とても楽しそうですよ。生徒たちは授業が無い日でも塾に遊びに来てくれています。私たちはWithdomが「サードプレイス」であってほしいと常に思っていて、「勉強だけでは無いマナビ」を提供しているんです。自由時間に英単語を覚えている子もいれば、ビジネス書を読んで経営に関する質問をしてくる子もいます。こうやって枠にとらわれず能動的に学べる環境こそがWithdomなんです。

踏み出す勇気が大事。高校生は果敢にチャレンジして、たくさん失敗してほしい

「偏差値は上げません」教育の常識を変える予備校・Withdomを独自取材


──最後になりますが、これからの日本を作る高校生、これからのキャリアを考える大学生にメッセージをお願いします。

新井:高校生って可能性だらけ。それはもちろん大学生も同じです。やりたいことがあるなら、どんどん行動に移してみてください。必要なのは「ベイビーステップ」です。小さな一歩の積み重ねで世界を変えることができるんです。


そして、とにかく幸せに生きて欲しいです。自分にとっての幸せを常に考えながら、選択肢を自分の意思で選んでいける大人になってください。

この記事を書いた学生ライター

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