就職活動を控える大学生にとって、最初の難関とも言えるのが“自己分析”や“自己PR”です。
自分の今までやってきたことやそれによって何を得たのか、というエピソードを持っていても、それを上手にまとめるのは非常に難しいもの。せっかく精力的に取り組んだ活動があるのに、しっかり伝えられないと勿体ないですよね。
私も、自己PRをする際にうまく伝えられず「結局何を言いたいのかがわからない」と言われてしまったことがあります。「今まで色々頑張ってきたのに、肝心の伝え方がわからない・・・」と悩んでいました。そんな時にインターンシップ先のメンターが、人の心をつかむストーリー展開の方法を教えてくれました。それが「ヒーローズ・ジャーニー」です。
これを応用すると、自己分析として自分の考えや行動をまとめたり、自己PRにストーリー性を持たせて印象付けることができます。
「ヒーローズ・ジャーニー」とは、アメリカの神話学者、ジョゼフ・キャンベルが神話を研究する中で発見したストーリー展開の構造のこと。基本的な構造なので、あらゆる物語やどんな人の人生にも当てはまります。
また、ジョージ・ルーカス監督が映画『スターウォーズ』にこの構造を取り入れたことでも知られています。
最近では、ビジネスの場でも顧客からの共感を得るためにこの構造を用いて、ストーリーという情緒的な要素を付加するようになりました。
ヒーローズ・ジャーニーは、次の8のステップによって構成されます。
ストーリーの主人公は何かをきっかけに自分の役割と出会う。この時点ではまだ平凡、未熟。
天命により新しい世界に踏み出すことを考えるが、すぐに決断しきれず、心の葛藤が生まれる。
葛藤の末、新しい世界に踏み出すも、最初の試練に出くわす。そこで「後戻りはできない」ということを自覚し、試練を乗り越える。
新しい世界に踏み込んだ主人公は、様々な経験を積んでいくなかで、自分を導いてくれるメンターや仲間と出会い成長を遂げる。
さらにいろいろな出来事があったのち、ついに最大の試練に向き合う時が来る。主人公が追い込まれ、葛藤することで人の共感を得る。
ごく平凡だった主人公が試練を乗り越えることにより英雄になる。この成長した姿が人の心を引き付ける。
英雄になった主人公は、苦労や葛藤、得たものや失ったものを振り返る。自分の天命の意味を知る。
もとの世界へ戻り、物語は幕を閉じる。
簡単にご説明しましたが、以上が「ヒーローズ・ジャーニー」の概要です。これだけではわからない、という人もいると思うので、実際に就職活動のPRに当てはめて考えてみました。
留学生と学生の交流機会の少なさへの違和感と大学生活、自分の日常にも違和感。「このままではいけない!」と思い始める。
何か交流会を企画しようと思うも、「そんなことが自分にできるのか」と葛藤。
企画運営を決意。メンバー集めや企画書申請など、簡単ではないことを知る。
行動していくうちに、同じ思いを持った友人との出会い、協力。準備を進める。
企画に関する誤った情報が拡散されてしまい、周囲の信用を失いかける。
問題に対処。なんとか信用を持ち直し、当日の交流会も成功。
企画が終わり、自身に足りなかったものは「目標に向かって奮闘すること」だと知る。
どんなことにも目標を立てて行動するようになる。企画団体をサークル化→さらなる挑戦。
自分のなかで大きな決断をした時の状況を思い出して、ステップに当てはめてみましょう。
全部のステップに当てはまらなくても、大体の流れに沿っていれば問題はないはずです。
「ヒーローズ・ジャーニー」は、自己PRだけでなく、志望動機など様々な場面に応用することができますが、一方でどの話にもストーリー性を持たせると、「話が長い」「簡潔ではない」という印象を与えてしまいます。
自己PRでは、ストーリー性だけでなく簡潔性も求められるので、その場合は結論から先に話すのがコツ。
この2つを組み合わせると、まず簡単に「~をして、~という考えを得ました。」という結論を話してから「その行動に至った理由は~」とストーリーを説明する構成になります。
活用の仕方に注意して、ヒーローズ・ジャーニーを就職活動や日常に役立ててみてはいかがでしょうか。
1995年、群馬生まれ。新潟大学教育学部在学中。生協学生委員会に所属し、多くの企画の運営に携わりました。現在は複数のwebメディアでインターン、学生・取材ライターとして活動中。社会福祉、地域の魅力発信に興味を持っています。好きなことは飲みニケーション!