前回の記事ではコミュニティカレッジとユニバーシティの違いをいくつかお伝えしました。
しかし、アメリカにはたくさん高等教育機関があります。二年制だけでも1700校、四年制は3000校にも上ります。正直、多すぎて選べない!絞れない!そんな方も多いのではないでしょうか?私もそうです。
学校を選ぶときに考慮すべき大事な要素は山ほどあります。そして、何を重視するかは人によって様々です。
今回は、コミカレの最終学期を迎えた私が、今、編入先の大学を探すときに考慮しているポイントをご紹介します。
一般的に、コミカレは安く、ユニバーシティは高いです。(両者の違いは前回の記事で)
私の通うコミカレは他のコミカレと比べても安く、年間授業料は$8,400($1=120円で約100万円)ほどです。公立の場合、留学生はOut-of-State(その州民ではない人)の学費を支払わなくてはなりません。Out-of-stateの学費は、In-State(州民)の学費のおよそ2倍です。また、ユニバーシティはレベルが上がるにつれて、学費も上がる傾向にあります。
給付奨学金(scholarship)をもらうチャンスはかなり優秀な人、もしくはスポーツや芸術に秀でている人でなければ、アメリカ人より圧倒的に少ないですが、留学生向けの奨学金を出している大学は意外とあります。大学のホームページ上で確認、もしくは、直接大学にメールしてみるのが確実です。(大学へのメールについては⑧でもう少し詳しく)
学校によって履修しなければならない一般教養の内容も違いますし、それぞれの専攻で勉強する内容もまるで異なります。一口に、エンジニア、経済、歴史と言っても、その中で細かく専門分野が分かれている学校もあれば、その分野のジェネラリストを養成するようなプログラムのものもあります。これは直接大学のホームページで、academicsからそれぞれの専攻のcurriculumやcore coursesといった欄から確認できます。
プログラムの良し悪しは、US News などが出しているランキングを参考に見ることができます。また、ビジネス系であればAACSB International という世界のMBAプログラムを評価している組織があり、これに認定されていれば質が期待できる、と考えることができます。
アメリカといえは銃をドンパチやって治安が悪いイメージがあるかもしれません。実際のところは、場所によります。私の住む市は人口6000人という田舎で、とても平和です。日頃の用心具合は日本と同じ感覚です。図書館に荷物を置いたまま席を離れていても、何かを取られたことはありません。
ただ、だからと言って、アメリカ全土がそうという訳ではないので、旅行でロサンゼルスやシアトルといった都会に行くときはすごく用心しますし、ビビります。
大都市だと、安全都市ランキングなどが参考できるかもしれませんが、たいていの都市には、ここは安全なエリアだけど〇〇ストリートより北は危険、などのローカル常識なるものがあります。これは住んでみないとわからない部分が大きいですが、何かしらの情報が欲しいという方は、英語で“都市名 Crime rate”などで検索してみることをお勧めします。
多くの方が「アメリカの都市」として想像するような街はロサンゼルス、シアトル、ニューヨークシティなど極限られた大都市です。ニューヨーク州も都会だと思われがちですが、実際にイメージ通りなのはニューヨークシティ近辺のみで、その他は郊外、もしくは自然いっぱいの田舎なのです。
大きく分けて、都会(urban)、郊外(suburban)、田舎(rural)の三つに分類されます。私の住む場所は極端な田舎ですが、Suburbanに分類されるエリアだと、電車はなくてもバスが便利に使えたり、ショッピングモールがあったりします。ですが、日本から来たばかりの人(特に都市圏から来た人)は、suburbanでもまだ田舎だと感じるかもしれません。
都会に住むメリット
・車がなくても交通の便がいい(日本には劣ります)
・大きな空港が近いためどこに行くにもアクセスが良い
・アジアンマーケットや日本食レストランが多い
・インターンシップ等のチャンスが多い
・遊びの誘惑が多い
・生活費が高い
・生活費が安い
・遊びの誘惑が少ないため勉強に集中でき無駄にお金を使わない
・静かで落ち着いた雰囲気
・町中はどこも比較的安全
・車が無いと不便
・娯楽がない
・都会のメリットに上げたものがない
実際に住んでみて、田舎は勉強とお金の節約にはとてもいい環境だと思います。私の住む市内にはスーパー、ローカルの銀行、郵便局、マック、サブウェイくらいしかありませんが、週末にスーパーに行かない限り、基本的に寮併設のキャンパスから出ません。授業に出て、ご飯を食べて、宿題して、シャワーして寝る。平日は基本この繰り返しでいっぱいいっぱいです。代り映えのしない生活、自力で市外に出れない閉鎖的な環境に嫌になる時期はありますが、これはどこの都市に住んでも“町に飽きるとき”はくると思うので諦めています。
興味のある州があるならば、”suburban(もしくはurban rural) school in 州名”で検索してみると、より具体的な学校名や地域名を知れると思います。
ワイオミングは極寒です。11月下旬は最高気温が0℃のこともしばしばで、真冬には-20℃が日常茶飯事です。ただ、人間、環境には適応するもんです(笑)もちろん寒い寒いと凍えますが、徐々に慣れてしまい、日本と同じコート・同じ装備でしのいでいます。夏はカラッとした暑さなので、日本のジメジメした気候に慣れていると、体感の暑さはマシに感じます。たた、このエリアはすごく乾燥しているので、乾燥肌気味の私は唇カピカピ、肌ガサガサという肌への影響に苦しんでいます。
実は最近まで知らなかったのですが、調べたところ、ワイオミングを含むロッキー山脈より東は大陸性の乾燥した気候地帯のようです。ラスベガスは砂漠っぽい乾燥地帯、サンフランシスコあたりは地中海性気候、などアメリカでも地域によって気候が大きく異なるので、興味がある地域に合わせて気候に関する情報を収集することをお勧めします。
人種の構成というのは、アメリカならではの考えるポイントではないでしょうか。人種のサラダボウルと言われるアメリカですが、どこもかしこもサラダボウルしているわけではありません。例えば、私の住む地域は白人が9割です。内陸の街で近くに大きな都市も無いせいか、アメリカで大切にされている“diversity”はあまり感じられません。人種は、その人の持つ価値観や考え方に影響します。人間性という意味で色んな人と接したいのであれば、マイノリティの割合が多い学校に行くことをお勧めします。例えば、東西海岸の州はアジア系も多く、最もごちゃ混ぜの地域だと思います。フロリダやメキシコ国境に近い州は、ヒスパニック系の割合が多いです。南部の大学は、黒人と白人が半分ずつで9割を占め、残りの1割がその他のマイノリティといった具合になります。そして、残りの部分、内陸部や北部は圧倒的な割合を白人が占めます。マイノリティが少ない地域に住んでいると珍しがられます。どこにいっても外国人だと見た目ですぐにわかってもらえるので、生活に慣れないうちは正直楽だなあと感じました。
学校の生徒を構成する人種については、大学検索エンジンサイトのStudent body、Race、Ethnicityといった項目から見つけられます。(White 60%、Black 20%のような感じで書いてあります)
留学生が多くいるメリットは、なかなか触れ合えない文化を知る機会がより多く、文字通り世界中に友達ができやすいです。みんな個性的で、学ぶことも多く、とても勉強になります。デメリットは、学校(主に留学生担当の先生)からの細かいサポートが期待できないことです。現在、私のカレッジでは、50人程度の留学生に対して2人の留学生担当のスタッフいます。何か問題が生じたとき、彼女達はとても強い味方です。もし、何百人もの留学生に対して数人のスタッフと考えると、自分のことを覚えてもらうだけでも大変なのではないでしょうか。
もちろん、親身になってサポートしてくれる人がいいですよね。入学前に少しでもヒントを得るために、私は気になる学校のスタッフに直接メールしてみます。内容はなんでもいいです。日本人は何人いますか?とか、前述の奨学金の情報が詳しく知りたければそのことを質問してもいいです。返信をくれない人・学校もあります。ホームページと同じ基本情報だけ書いて返信が来ることも多いです。一方で、すごく親切な担当者は、正規留学が何人で交換留学が何人いて、奨学金はいくら貰えて何人もらっていて、などプラスアルファの情報までくれる人もいました。1回目の記事で、ここの留学生担当の先生のメール対応の良さが決め手の一つと書きましたが、実際、やり取りしていた先生はものすごくいい人で優しい方でした。
英語でメールなんて緊張する…と思うかもしれませんが、文法が間違っていても意味が伝わればオッケーですし、ただの練習だと思って、どんどんメールしてみることを強くお勧めします。
・授業の選択肢が多い
・クラブなど課外活動の数が多い
・生徒数が多い分、多様な生徒・先生がいる
・人が多すぎて一度会って友達になっても次になかなか会わない、といった友達の作りづらさ
・先生との距離が遠い
・1クラスの規模が大きすぎる
先生との距離は、留学生にとって大切です。これは生徒の数と教授の数の比(Student-Faculty Ratio)という指標を参考にします。私のカレッジは12:1で、これは先生との距離がとても近い状態です。先生が自分の名前を覚えてくれて、質問もしやすく、親切で、すごく有難い環境です。例えば、1万人超の生徒がいる学校であれば20:1くらいになってしまいますし、総生徒数2000人程度の私立大学なら12:1くらいが多い気がします。有名校だと、UCLA(公立)は17:1、ハーバード大学(私立)は衝撃の7:1だそうです。この比率も、大学検索エンジンサイトに載っています。また、大学が自校の売りの一つとしてホームページに載せている場合も多いです。
アメリカに初めて住む人がいきなりアパートで一人暮らしをするというのはハードルが高いと思います。寮かホームステイを経験した後にアパートに移るパターンが一般的です。
・寮内でのイベントもあるので友達が作りやすい
・キャンパスのそばで通学が楽
・建物のセキュリティがしっかりしている(個人のトラブルは含みません)
・場合によっては料金が割高
・長期休みに寮が閉まって居場所に困る
・ルームメイトや他の寮生とのトラブル
・共用スペースが汚い
・上記の要因からストレスを感じる可能性がある
・アメリカのリアルな生活が体感できること(ホストファミリーがアメリカンとは限りません)
・自分のスペース・時間がしっかり取れること
・学校が閉まっていてもステイできること
・ホストファミリーが運試しのようなものであること。(いい人・いい家庭に当たればラッキーですが、反りが合わず何度かホストファミリーを変更している留学仲間もいます。)
・寮と違いキャンパスから離れるので通学に時間がかかること
私は、ホームステイだと、ホストファミリーに気を遣って思うようにくつろげないかもしれないと思ったことと、友達の作りやすさを期待して、寮がある学校に絞って探しました。たいていのユニバーシティは寮がありますが、コミカレは寮がない場合の方が圧倒的に多いです。
私自身がよく見るのは
https://bigfuture.collegeboard.org/
http://www.campusexplorer.com/
https://www.petersons.com/college-search.aspx
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges
です。
正規留学する多くの人が、エージェントの勧める学校に行くかと思うのですが、自分で一度その学校について調べてみてほしいと強く思います。勧められた学校が自分に合うと思ったら、ホームページを見て雰囲気を探ったり、検索エンジンサイトを使って他校との比較をしてみてください。興味をもった学校には、是非メールをしてコンタクトをとってみてください。英語のサイトを巡るのは、今後のいい練習にもなると思います。学校の数が多すぎるので、自力で選び出すのは簡単なことではありません。でも、自分が人生の数年間を過ごす大切な場所なので、自分から行動をとって自分にベストな学校を選んでほしいと思います。
アメリカのワイオミング州内にあるコミュニティカレッジに正規留学2年目でビジネスを学んでいます。アメリカのド田舎から、リアルな正規留学ライフをお伝えします!