台湾という「国」〜認められていない彼らは何を思うのか

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前回の記事で台湾人が自己を何人と認識しているのか、ということについて書きました。台湾人の中には、歴史的背景から自分のことを日本人だと認識している人がいます。一方で若い世代の多くは、自身のことを「台湾人」であって「中国人」ではないと、認識しています。
では、他者、すなわち他国の人々から、彼らは何人として認識されているのでしょうか。

外からみた台湾

国際社会において、台湾は「国」とは認められていません。
日本人にとって台湾は馴染みのある「国」だからこそ、深くこの問題について考える機会は少ないです。しかし国際社会の現状では、最近、ドナルド・トランプ氏が台湾の総統を“President”と呼んだことが大きなニュースとなったことが示すように、台湾は「国」ではないのです。また、オリンピックでは台湾代表としてではなく、「チャイニーズタイペイ」として出場しています。すなわち、自己を“台湾人”と認識していても、他者からは“台湾人”として認識されないということが起こっているのです。
元々は中国大陸で成立した中華民国という名称ではあるものの中華人民共和国とは異なるパスポートを持ち、独自の政治や教育システムがあるにも関わらず、台湾は「国」ではなく、中国の一部と捉えられてしまうのです。

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「国」ではないということ

台湾人のある学生は、「外国に行ったとき、Taiwaneseと言ってよいのか迷うことがある。」と言っていました。「国として認められているかどうか」という認識は「国家」間のみの問題であり、「国民」の生活には実際にはあまり影響はないのではないかと思っていました。しかし、「国」ではないことで生き心地の悪さを感じる場面があるようです。
日本は他国からも正式に一つの国として認識され、日本人ということに対して疑問を抱かれることはほとんどありません。だからこそ、私たち日本人が「国ではない」というのがどのような感覚なのかを理解することは難しいのだと思います。

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http://www.bizcompass.jp/original/re-trend-028-19.html

一方で、周囲の台湾人の学生から、「どうしても独立したい」などの政治的な強い主張を聞くことはほとんどありません。受講学生が15人ほどの、香港人と台湾人が混在した授業で中国の話題になるとすぐさま意見を述べるのは、香港人です。ある時はクラスにいる香港人全員が次々と中国に対する意見を述べていたので驚きました。昨年の夏に香港でボランティア活動を行った際、一緒に活動していた香港人の学生に「何人ですか?」と聞くと、「私たちは中国人ではない、香港人です。」と、わざわざ中国人との違いを強調して答えたことに衝撃を受けたことを思い出しました。

理想と現実の狭間で

台湾が「国」ではないゆえに感じる生き心地の悪さを台湾人はどのように捉え、その感情をどのように処理しようとしているのでしょうか。ある学生に聞いてみると、以下のように答えてくれました。

「今のままでも、自分たちの生活にそんなに影響があるわけではないし、自分たちが台湾人と思っているのだからそれでいいという考え方をする学生が多いのだと思う。だから、友達と中国に対する意見を話すことなんて滅多にないし、むしろそういう話題は避けてる。台湾人はもう諦めてしまったのだと思う。今のままで良いって思っているのだと思う。」

もちろん全ての台湾人が諦めているわけではありませんが、少なくとも私の周囲の台湾人は、彼女が言うように現状に満足しているように感じます。

台湾大学社会学科の蕭新煌(ショウ・シンコウ)教授が言うように、若い世代の多くは「台湾は独立することが自然である、すでに独立していると考えている(蕭:1)」のだと思います。しかしこの認識は現状から目を逸らしているだけで、現実では実際に独立しているわけではないからこそ、生き心地が悪いと感じる瞬間があるのだと思います。

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http://www.recordchina.co.jp/a124724.html

台湾人であると強く認識しているにも関わらず、他者から認められなくても自分たちが台湾人と思っているならばそれで良いという考え方には、虚しさを感じます。

たしかに今のままで良いかもしれないけれど、生き心地が悪いと感じる現状を変え、生きやすい世の中にできるのは、その環境で生きている台湾の人々だけです。

国家の問題は、国民の生活にはあまり影響しないと認識していた部分がありましたが、直接的な被害がないように見えることでも、必ずどこかで自分と繋がってくるのだと、改めて感じました。

ここまで書いてきましたが、私自身、台湾をどのように位置付ければ良いのか、正直分かりません。台湾を「国」、台湾人を「国民」と呼ばないならば、彼らを表すにはどのような言葉が適切なのでしょうか。これからの留学生活では、台湾の複雑な側面についても考えていきたいと思います。

<参考文献>
蕭新煌(2016)「台湾の3度目の政権交代の真の意義」,『アジ研ワールド・トレンド』,2016年12月号,p.1,アジア経済研究所.

この記事を書いた学生ライター

Ayari Ogasawara
Ayari Ogasawara
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台湾・台中にある東海大學に交換留学中の国際基督教大学3年生です。旅行では気づかないような台湾の魅力をお伝えできればと思います!

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