ホームレスを助けないのは日本の文化?根底にある考えとは何か

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こんにちは。英国 イーストアングリア大学(以下UEA)で国際開発学を学んでいるIgari Yokoです。

突然ですが、皆さんは私達がどのようにホームレスの人達と接するべきか考えた事はありますか?

正直私は、渡英するまでは、あまり考えた事がありませんでした。しかし、こちらで生活をするうちに私達の対応を考え、彼らを意識するように変わりました。

ホームレスに対する日本人とイギリス人の対応の違い

イギリスも日本でも、ホームレスは同様に見受けられます。しかし、人々の対応は少し違うようです。

日本では、ホームレスにお金を寄付する行動は一般的とは言えません。正直、見て見ぬふりをしていたり、自業自得もしくは自己責任という言葉で片づけてしまう傾向が強い気がします。

一方、イギリス人は、我々日本人よりも気軽に小銭を寄付します。買い物で余った小銭を抵抗無く、彼らに渡す事が出来るのです。時折、何気ない会話をしている所も見かけます。私の友人等も、日常的に彼らに小銭を寄付しています。現金を持ち歩かない友人は寄付こそはしませんが、丁寧に返答をしていました。

   ホームレスを助けないのは日本の文化?イギリス人と日本人の対応の違い

出典: http://bigissueinvest.com/big-issue-invest-scotland-biis/ 日本でも見かけるビッグ・イシューはホームレスの自立を助ける為にここ、イギリスから始まりました。 

国別に見るホームレスの違い

ホームレスの人達にも違いがあります。

日本の場合、彼らは人に話しかける事は滅多にありませんが、イギリスのホームレスの人達は頻繁に街行く人に話しかけます。それに加え、犬を連れていたり、楽器を演奏してみたり、絵を描いてみたり...とホームレスの人達も三者三様です。

日本では、法律で物乞いが禁止されている事が、一つの要因にもなっていると考えられます。しかし、イギリスでも路上で生活する事は罰金の対象になります。では、一体何が違うのでしょうか?日本とイギリスでは異なる他の要因があるのでしょうか?

“冷たくあしらう”のが日本の文化?

「ホームレスを助けないのは日本の文化とも言えるんじゃない?」

これは定期的に小銭をホームレスに寄付しているイギリス人の友人から、私が実際に言われた言葉です。我々日本人にすれば、少しショックな意見ですが、一理あるのではないでしょうか。

日本ではイギリスと比べて、ホームレスの人達と関わる機会が少なく、彼らは攻撃の対象になる場合も多いのが現状です。日本のホームレスが道行く人とのコミュニケーションに対して消極的な理由は暴力や偏見を受ける事への"恐れ"だとも言う事が出来ます。

では、日本人は心冷たい人達で、ホームレスの人達を一切気にかけていないのでしょうか?

対応の違いは考え方の違い

上の質問に対しての私は「No」と言いたいです。

確かに、彼らの必要な助けは他の誰かがしてくれるという、人任せな考え、自業自得や自己責任と言った考え方が根底にあるかも知れませんが、私は日本人はホームレスとどの様に対峙したら良いのか分らないというのが本音なのではないかと思っています。実際に、UEAで勉強をしている日本人生徒の多くがこの迷いを抱えています。

お金を恵む事は良い事なのか?彼らの自立の手助けになっているのか?悪影響を与えているのではないか?私達は比較的、長期的な物の見方をしており、日常的にお金を渡す行為を良しとしていないのかも知れません。

一方、イギリス人はどちらかと言うと短期的な見解を持っている印象を受けます。私の友人は「渡したお金を何に使うかは分らない。煙草かも知れないし、お酒かも知れない。でも、その人がその日一日、いや、ほんの数分でも幸せを感じる事が出来れば良いと思うからお金をあげる。」と言っていました。この考え方や行動は、なかなか日本人には真似できないものだと思います。

ホームレスを助けないのは日本の文化?イギリス人と日本人の対応の違い

出典: http://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-35528721 コーヒーの差し入れは頻繁に目にする光景の一つ

小さな分かち合いを心がける

私は今まで、旅行に行った際に、余った小銭を身体不自由な人に寄付する事はあっても、日常的に道端のホームレスにお金をあげる事はしてきませんでした。しかし、こちらで色々な人と接し、勉強を深める中で、私の中の何かが変わり、今では特別な時でなくとも、自分が幸せになりたい時は、少しですがお金を渡すようになりました。

もちろん、全員のホームレスは救えませんし、今でもホームレスとの関わり方に疑問を持ち、何が一番良い対応なのかを考えています。何が正しい対応なのかを決める事は簡単では無いと感じています。

日本のホームレスへの対応は"文化"と言えるかも知れません。しかし、その"文化"は変える事が出来ます。そして、その変化をもたらす存在は他でもない私達若い世代です。

社会人類学のモジュールの一環で、2月から地元、ノーリッチのホームレスの人達を観察する事になりました。また何か発見があれば次回お話させて頂きたいです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

この記事を書いた学生ライター

Yoko Igari
Yoko Igari
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英国 University of East Angliaで人類学を軸に国際開発学を学んでいます。短期大学で幼児教育を学び、職務経験を経て、2014年に渡英。現在、大学の日本人留学生大使としても活動中。facebook  日本人学生による留学体験記

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