モロッコ・Al Akhawayn University in Ifrane(通称AUI)での留学生活を始めて3ヶ月が経ちました。
今回は私のスケジュールから中東・北アフリカ地域での留学生活はどのようなものなのかをお伝えできればと思います!モロッコがどんな国か、モロッコを留学先に選んだ理由については、私の以前の記事を読んでいただければ幸いです。
これはある平日の私のスケジュールです。
この日は比較的忙しい日でした。朝8時半にゆっくり起きて、大学内の寮からカフェテリアに移動し、朝食をとります。その後、イスラーム美術と建築の授業で、イラク・バグダードの都市構造について学びました。航空写真や古い地図を見せながら講義を進めてくれるので、まだ半分くらい眠っている頭にも入って来やすい授業です。
その後は、大学内のランドリーサービスのおばちゃんに洗濯物を持って行き、ついでにお喋り。
なぜか月末になると店員さんが仮装する愉快な学食で昼食をとった後、他のモロッコの大学から来た教授からイギリスーモロッコの国際関係の特別講義を受けます。この特別講義の受講とレポートの提出でボーナスポイントをもらえます。モロッコ人の教授の方だったため、英語の聞き取りに苦労しましたが、なんとか食らいつきます。
その後、アフリカの都市形成に関する授業で独立後どのような都市ができ、どのような理論が形成されてきたかを学びます。普段はなかなか情報を仕入れづらいアフリカの各地域の都市を丁寧に見ることができるAUIらしい授業です。
授業が終わると、室内プールで泳ぎます。50mの競技用プールが開放されているので、気軽に利用することができます。1時間ほど泳いだ後、自宅に戻り共用のキッチンで自炊します。夕食を済ませた後は、24時まで開いている図書館で翌日のフランス語の課題をこなします。そして、シャワーを浴びルームメイトと軽くお喋りをした後就寝です。
1時間ほどで日本の京都に当たるフェズという都市にアクセスできるので、週末は観光に行くことが多いですが、この日は大学で休日を満喫しました。
平日よりも少し遅く起床し、朝食を食べたらイスラム教圏の市場「スーク」に行き、野菜やキッチン用品を買いました。野菜を2kg近く買っても、300円から400円程度しかしないのには驚きです。
お買い物が済んだら、イフレンの中心地のレストランで昼食をとりました。ダウンタウンのレストランはほとんど日本と同じ価格のレストランが多いので、週末には食べに来ることが多いです。その後、平日と同じくプールで泳ぎ、夕食を済ませたらカフェテリアでまったり友達とおしゃべりします。
カフェテリアは朝の8時から夜の12時すぎまで開いているので、おしゃべりにうってつけの場所になっています。そして、翌日の授業に備えて少し早めに就寝です。
さて、ここからは上で紹介したスケジュールをより掘り下げてみていきたいと思います。まずは大切な授業から!
下のリストは私が履修中、履修予定の科目です。
<Spring Semester>
・Beginning Arabic I (アラビア語入門I)
・Intermediate French (中級フランス語)
・North Africa and Middle East in 20th century (20世紀の中東・北アフリカ史)
・Introduction to Islamic Civilization (イスラム世界の文明史)
・Development Policy (開発政策論)
日本で取っていた授業の数からは考えられないほど、科目数が少ないです。AUIでは留学生は5科目までの履修が認められています。
基本的には月曜、水曜、金曜開講の50分授業と、火曜・木曜開講の1時間20分授業があります。毎回授業のたびに課題やReadingの課題が出されるため、日本の高等教育と比べると一つ一つの授業の予習・復習時間が多く、一回に進む分量が多くなっています。
時間割を見ていただくとわかる通り、日本ではなかなか受けることのできないアフリカや中東の地域研究やイスラム文化に関する授業が数多く開講されています。
日本では日本文化単体で講義を受けることが多いですが、北アフリカやイスラム文化圏という地域単位でのレクチャーが多い印象です。
次に部活とサークルについてです。授業の予習・復習の他に、空いている時間でクラブ活動をする人が多いです。特にサッカー、バスケがスポーツでは人気のようです。また、モロッコではテニスも人気があり、アフリカ大陸で唯一のプロテニスツアーを開催しているなど国を挙げて力を入れているようです。
また、軽音学部や模擬国連、グリークラブなど日本の大学にもあるサークルの他に日本や韓国、ドイツ、ロシアなど各国の文化について楽しく学ぶサークルがAUIにはたくさんあります。予習・復習の合間をうまく使って掛け持ちをしている人が多いようです。
大学が所在しているイフレンには目立った娯楽施設がないため、留学生は週末は他のモロッコの都市に旅行に行くことが多いです。
AUIにはStudent Activity Officeという様々な課外活動の企画を行う大学の部署があり、週末に他の都市への旅行も主催しています。なので、うまく週末の使い方を工夫すれば、多くの都市をリーズナブルな価格で回ることができます。
イフレンからはフェズ・メクネスという、日本でいう京都・奈良に当たるような古都に1時間30分程度でアクセスできるので、金曜の授業が終わるとすぐに旅行に出発してしまう人も多いです。また、フェズやメクネスから首都のラバトや映画で有名なカサブランカにも4時間程度で行くことができます。
AUIは1995年にサウジアラビア王室の支援を受けて設立されたアメリカ式の大学です。そのため、穏健なイスラム教国として有名なモロッコの中でもよりリベラルな環境で私は生活を送っています。実際に、1日5回のお祈りしている学生は稀ですし、学内ではイスラーム教の女性が髪を覆うために使うヒジャブをつけている女性の方が少ないです。このことからAUIでの留学生活は他のモロッコや北アフリカでの大学とは一味違ったものです。
ただ、それでもイスラーム教圏やアフリカ大陸にある大学で留学生活を送ることには意義があると私は考えています。私は留学前まではモロッコはあくまでも中東・北アフリカという分類で、サハラ砂漠以南のアフリカとは全く違うイメージを抱いていました。しかし、実際にモロッコに滞在し、授業でモロッコや北アフリカについて学ぶうちに、サハラ砂漠を超えた他のアフリカの地域とのつながりによって現在のモロッコ文化があることを知りました。
もし中東やアフリカについて学びたい、考えたいと思っている方はAUIや他のアメリカンスタイルの大学(ベイルートやカイロにあります)であれば、他の大学よりも安全、かつ多くを英語で学ぶことができると思います。どうしても危ないイメージがつきがちなアフリカや中東ですが、留学を選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
読んでいただき、ありがとうございました。
トビタテ留学JAPAN5期生としてモロッコのアル・アハワイン大学で交換留学をしている筑波大学の3年生です。日本の大学では都市計画を学んでいますが、モロッコでは中東・北アフリカの地域研究の授業を履修しています。日々巻き起こる出来事から自分が感じたことを書いていきます。