ルートに乗って就活をするのか、それとも起業という夢を追いかけるのか…
悩む人も多いのではないでしょうか。
企業の一員として組織に属して働くこと、会社を立ち上げて仕事を一から作ること。
マッキンゼーで経験を積み、起業して2ヶ月集中英語トレーニングプログラム 「TOKKUN ENGLISH」を運営する岡田さんに、それぞれの経験から学んだことを伺いました。
——新卒の就職先としてマッキンゼーを選ばれた理由はありますか?
岡田:専門商社を経営していた父の影響もあって元々は商社に行きたいと思ってたんですけど、留学をきっかけに就活の軸が変わりました。一番大きなきっかけは今の共同創業者である山碕と出会ったことですね。近い将来に起業して自分たちでやりたいという思いが生まれました。それ以降、軸を「1年目でいかに成長できるか」に変えて就活をしていました。
アメリカでいろんな文化に触れる中で、なんとなく商社をかっこいいと思ってきたのは日本のステレオタイプであって、そうじゃない世界もあるということに気付いたことも大きかったですね。
──留学は一年休学されて行かれていますよね、ためらいは無かったですか?
岡田:大学で過ごす時間が1年増えることによって生まれるネガティブなポイントってないですよね。しかも就活においてはむしろ、1年でそれだけの経験をしているのでプラスだと思います。大学に4年いたのか5年いたのかよりも、何を経験してきたのかの方が重要なので。
結局大学生活の中で一番印象に残っていることは休学していた1年間ですね。世の中ってやれば何でもできるし、逆にやらなかったら何も起きないということを痛感した期間だったんです。
留学はシアトルにしてたんですけど、3ヵ月ぐらい経った時に新しい環境に慣れてきて生活がマンネリ化していると感じました。そこでホステルでインターンをしようと思い立って、とりあえずネットで検索してあらゆるホステルに履歴書と手紙を送りまくったんですね。
しばらくしてそのうちの一つから面接をしたいと電話がかかってきてきました。でも電話の英語がほとんど聞き取れなくてとりあえずOK、OKって言ってたんですけど、電話を切ってから調べたらサンフランシスコのホステルだったんです。僕はそのときシアトルにいたので面接は無理だなとなって、もう一回電話し直して、「今シアトルにいるんだけど面接なしで雇ってくれない?」って言ったら、「ジャパニーズだったらOKだ」みたいな感じになって。次の日にサンフランシスコに飛んで、そこから2ヵ月ぐらいそこで働かせてもらいました。
この経験ってとりあえず履歴書を送るという行動をしなかったら絶対に起こってないことなんですよね。
───すごく思い切った行動でしたね。
岡田:レジュメを送っても最悪無視されるだけで、ネガティブなことは一切ないんです。逆にラッキーだったら奇跡的に採用される可能性があると考えていましたね。マイナスポイントはほぼないからやっとけ、そんな感じでした。
───帰国後はどのような就活をしていましたか?
岡田:起業することを考えて、”経営者の方と話せる職業”という視点を持っていました。また、当時はどの業界に興味があるかがまだ分かってなくて、業界に関係なく携われる経営コンサルタントがいいかなと。
——実際に働かれてみて、マッキンゼーの環境はどのようなものでしたか?
岡田:簡潔に言うと、ビジネスマンにとって凄く大事な要素である生産性を高められる環境が整っています。生産性には自分が出せるバリューをいかに高めるかと、それをいかに少ない時間でやるかという面があって、マッキンゼーでは特に前者のいかにバリューを出すかというところがめちゃくちゃ鍛えられました。
1年目の僕が作ったパワーポイントも10年目の人が作ったものも全部”マッキンゼーのプレゼンテーション”だから、何年目であっても「マッキンゼー」というレベルのクオリティーを突き詰めることを求められます。1年目だからという妥協が許されないんですね。そのクオリティーを出すことだけを考えてやっていました。
それができるようになって2年目になると、今度は後者の「今のクオリティーをいかに少ない時間で出せるか」に目を向けられるようになります。高いバリューを出すということは前提にして、それを徹夜してやるんじゃなくて、ちゃんと夜は普通に帰れるし、週末は働かないという時間の使い方を身につけました。
土日は趣味のサーフィンに行けるようにもなりました。(笑)
自分の価値×時間の効率、この両方ができるようになると、高い価値を短時間で出せる良いビジネスマンになれるわけです。
——2年目を終えたタイミングでの起業はその二つが揃ったからということでしょうか?
岡田:そうですね、3年後ぐらいには起業したいということは入社の選考でも言ってましたし、入社時に思い描いていたところまでは成長できたと感じました。それ以上に入社する前から起業しようって決めていて、ウズウズしてたんですね。(笑)
——独立されて英語の事業をしようと思った理由を伺えますか?
岡田:マッキンゼーで多くのクライアントさんと仕事をする中で、英語がネックになってビジネスができない、または出遅れる場面を何度も見て来ました。スキルもあって、頭もいいのに、英語ができないから海外のプロジェクトに入れない。「たかが手段」の英語によって損をしてる人がすごく多いことを目の当たりにしました。
僕も英語ができなかったところからできるようになったし、やり方も自分としてはわかっている。これをシェアすることは日本の世の中のためになるし、自分としても実現できるのかなと思ったんです。
——では英語力を伸ばすには何が必要なんでしょうか?
岡田:英語ってそんなに難しいものじゃなくて言語だから、既に世の中にある学習方法を正しく使って継続的に取り組めばできるようになるんです。ただ最適な学習方法にたどり着くことと、個人で継続的にやることがとても難しい。
なので我々は、自分たちの経験やその他のノウハウを使って、一人ひとりの「英語ができない理由」を徹底的に分析し、作成したベストな学習方法とスケジュールを着実に”実行する”ことをサポートします。
マッキンゼーでの経験が、原因を分析してカリキュラムを作ることにはもちろん、この継続的な学習のサポートにも非常に役に立っているんです。
コンサルタントの仕事は、マッキンゼーがどれだけ素晴らしい経営戦略を作ってもクライアントさんに実行してもらわないと意味がないうえに、実はここが非常に難しい。英語学習にも同じことが言えるので、経営戦略とも言える2ヶ月間のベストなカリキュラムをいかに実行してもらうかを考えて徹底的に支援しています。
——英語塾はすでにたくさんありますが、ここが違うという点を教えてください。
岡田:僕たちがやろうとしているのは、既存のサービスと競合するんじゃなくて、今あるサービスをいかに使うかを教えることなんですね。
例えばオンライン英会話に登録してもらって、それをどううまく活用するか我々が教えるということも実際にします。なので既存のサービスは僕らからするとパートナーみたいなものですね。彼らが英語を教える一方で、僕らは英語をどうやって勉強するのかを教えています。
——組織に所属して働くことと自分でビジネスをすることの違いで苦労されたことはありますか。
岡田:そもそも苦労しまくりっていう感じです。
起業してびっくりしたのが、朝起きて何もしなくても1日が過ぎるんですよね。(笑) 何もしなくても誰も何も言ってこないですし。当たり前だと思われるかもしれないですけど、この違いは衝撃でした。
例えば法人営業をするにしても、組織の中でだったら企業のリストのここに営業してくださいって言われるかと思うのですが、起業してからはどこの会社に営業しようかというそのリストの作成からしますし、むしろ別に営業しなくても誰からも何も言われないので、かなり強い意志を持って自分自身をプッシュする必要があります。
——それもやったからわかることですよね。
岡田:そうですね。そういう意味では早いタイミングでやってよかったと本当に思います。もし起業するんだったら早めにやって、色んなことを早めに知ったほうが良いという気がしています。
企業で学ぶことと起業のためのスキルって全然違うし、役に立つことは山ほどあるんですけど、やってることが全然違うので新しいことを1から勉強することになります。それだったら早めに勉強し始めたほうがいいですよね。
でも組織の中で優秀な同僚と働く経験は人生として楽しいので、それをやりたいんだったらやればいいし、それに全然興味がなくてどんどん自分でビジネスやっていきたいんだったら就職する必要はまったくないですよね。
マッキンゼーに入ったことを後悔してないし、マッキンゼーに入らずに起業してても後悔してないと思うんですよ。したいと思ったことに従ってやったことは後悔しないので、こっちがいいとなんとなく思うんだったら、それをやればいいと思います。