以前は、日本に帰っていく先輩たちを見て、もったいない…と思っていました。
せっかく海外大学に来たのにどうして日本?と。
大学でも日本でも、周囲から「卒業したらどこで働くの?」とよく聞かれていましたが、答えが出なさすぎて、私が聞きたい!と、とても悩んでいました。
マスターの方は様々な進路を取られていますが、学部留学をした後にイギリス、ヨーロッパに残った人というのはまだ周りで聞いたことがありません。
そんな中で、私も以前は疑問に思っていたはずの道に進むことになりそうですが、自分なりに納得してファーストキャリアは日本就職という決断をしました。
というわけで今回は、就職について今考えていることや現実を赤裸々に書いてみます。
海外大を出たのに日本就職する理由は主にこれらです。
② 現地就職の厳しさ
③ 仮暮らしはとりあえず一回終わりたい
④ 日本のことは日本人にしかできない
考えとして頭に入ってきた順番はこんな感じですが、中でも②のビザ問題で現実的に後押しされました。
それぞれどういうことなのでしょうか?
大学では、「ネイティブなら早く終わるんだろうな」「同じ1時間の授業でも彼らはもっと理解して吸収しているんだろうな」と思いながらも、好きなだけ課題に時間をかけられたり、理解度がすぐに問題になることはなかったり、という環境でいました。
社会に出たら自分や自分のすることに市場価値を生み出していかなくてはいけません。
社会に出てからまでそんな基本的なところで悔しい思いをしていたくありません。
自分のポテンシャルを最大限生かしたいと思っています。
大学のカフェで1年以上アルバイトをしていますが、私はバイトリーダーにすらなれませんでした。
「英語で仕事をしたい」
「海外で仕事をしたい」
「日本語スピーカーであることがアドバンテージになる仕事をしたい」
「ヨーロッパとアジア(日本)の架け橋になれる仕事がしたい」
「今しかできない経験をしたい」
今の私にとっては、海外にこだわるこれらのようなモチベーションが、上記で挙げたような仕事自体に対するモチベーションより強く長く続くものでなければ、海外では働けないなと思っています。
母国とは別の国で就職されている方・しようとしている方というのは、とても強いなと単純に思え、私はこの3年間ではそこまでたどり着けなかったと感じています。
さらに言えば、大学の3年間で「海外への憧れ」をいい意味で取り除けたのだとも思います。
卒業したら1年間働く権利が与えられるアメリカと違い、イギリスの場合卒業したら3ヶ月でビザが切れてしまいそれで“さようなら”なので、現地就職をしたい場合は「その3ヶ月でインターンをして正規ポストを得る」つまり「正規ポスト=会社が就労ビザを負担してまで雇いたい人材である」必要があるのです。
「起業家として大学からスポンサーが得られればビザが出る」など特別なものもありますが、ワーキングホリデーにしても年間1000人までという制限があります。
ちなみに話題の Brexitでは、これまで制約のなかったEU民にも上記が当てはまることになるので、イギリス就職に関してポジティブな捉え方をすれば、これで日本人もEUビザを持つ人と同じ土俵に立てることになるわけです。
現実的に考えると、たとえば待遇面では、日本企業に現地就職するより、日本で日本企業に就職して海外駐在や出張で出て行くほうが断然良いとのことです。ビザももちろん会社が払ってくれます。
配偶者に与えられるビザも制限があり、じゃあ現地人と結婚しちゃえ!というわけにもいかなくなっているようです。
将来のことを考えた時、結局いつか日本に帰るだろうと思うと、いつまでも「仮の生活」感があると思い、一度日本に帰りたいなと率直に思ったのも大きいです。
そして、インターンの授業で世界中に飛び出して行ったコースメイトたちを見ながら、海外での問題は、他にも出来る人がいる。日本で起こっている社会問題の解決とか、経済を復活させたい!みたいなことは、日本人じゃなかったら誰がやるんだろう?と思ったのです。
わたしは上記のインターンシップを東京のフードバンクで行い、日本の貧困と向き合ってみて、段々そう感じるようになりました。
こんなことを言いながら、選考を受ける企業を選ぶときに、正直、変なプライドが邪魔をすることもありました。
日本の大学に行っていても行けたところなのでは?留学した意味はなんだったのか?開発学部からこの進路なのか?と、素直な気持ちが分からなくなったり、同級生や親・親戚の顔が浮かんでしまったりするわけです。
この葛藤を払拭するには、実際に日本で働いてみて「これで良かった」と思えるようになることしか解決策は無いのかもしれません。
少し話がずれることと、皮算用的なところは目をつぶって頂いて。
働く場所は日本に決めた、と思っても、日本の教育を自分の子どもに受けさせたいかは迷ってしまうんです。
最近の授業で、映画を観てディスカッションをしたりやロールプレイをしたりしたとき、私は未だに大したことを言えず、「そうやって考えるのか」「そうやって知識や学んだセオリーが自分のものになっているのか」と他のクラスメイトの考え方に圧倒されました。
今に始まった議論ではありませんが、3年前に来た時から、日本で受けて来た教育と全く異なる欧米の勉強の仕方には苦労していて、受験対策で覚えればいいだけの日本の勉強の方法では考える力が全くつかないと感じています。加えて受験対策の覚えるだけの「勉強」は楽しくもありませんでした。
「日本の学生と比べ海外の学生は自分の意見を持っている」というのは知識のある無しだけではないし、英語力云々でもないと思っています。
日本で普通に教育を受けて来た人というのは、考える力、応用する力を持つように訓練されておらず、自分の意見を持ち、発表することに慣れていません。
テストで問題文の穴を埋めたり年号を覚えていればよかったような「勉強」をしてきた人が、突然習いたてのセオリーをベースに戦犯の裁判のロールプレイができるようになるわけがないと思うんです。
授業で意義のある発言ができないというのは、自分の力不足もあり、鍛えることも出来るのだろうけれど、そういう風に教育されてこなかったことはとても大きいと思いました。
就活とは離れましたが、キャリアプランと共に考えざるを得ないライフプランを考えるにあたって、留学して得たことをどう自分の人生に活かすかは表面的な職業選択においてだけではないと感じています。
よく聞かれる質問に、自分なりに答えてみました。
私は日本就職に納得してからでないと、イギリスからボストンへの航空券も取ろうと思えませんでした。ですので最終的に取ったのは少し遅めの9月でした。
留学生のみなさんは、ビザの状況などをよく確認し、ご自身の優先度とともに決めたら良いと思います。
日本企業のほうが選考が早い場合が多いと思うので、タイミングや機会さえ許せば、日本企業の選考を受けてから卒業間際まで現地のインターンなどを探すのもありかもしれません。
進路を考える参考になれば幸いです。