「イギリス料理って実際美味しいの?」という質問は日本に帰国中によく聞かれる質問の一つ。
「そもそもイギリス料理って何があるんだっけ?」という方も多いと思うので、今回はBuzz Feed と The Telegraph を元に定番のイギリス料理をご紹介します。
イギリスのメディアである後者のThe Telegraph のタイトルは
“20 British Foods Americans have probably never heard of but really should try”
(馴染みはないかもしれないけれどアメリカ人が是非食べてみるべきイギリス料理20選)
イギリス人がアメリカ人を意識して書いているのが伺えます。Buzz Feedのアメリカ人の記事も参考に、その中から日本人でも楽しめそうな8こを選んでみました。
定番のアフタヌーンティは、スコーンとクロテッドクリームそしてジャムと一緒に頂きます。ビクトリア朝の始まる1830年代から、イギリス人の日常に欠かせない存在でした。
長いこと議論されていた「クロテッドクリームが先かジャムが先か」「ミルクが先かお湯が先か」「スコーンかスコンか」説にもここで終止符を打ちましょう。E-tea-quette ガイドの調べでは、イギリス人の6割が「ジャムを先に塗りその上にクリーム」、8割が「お湯を先に注ぎミルクを足す」そして(たった)過半数が「スコーンと発音する」と答えたそうです。
サンデーロースト(ローストディナー)は、イギリス人の日曜のランチの定番。(もう少しあなたを困惑させるために付け足しておきますが)イギリス人はランチをディナーと呼びます。もうこんがらがったでしょう。はい、ディナーと呼んでおいて昼に食べるということです。
ヨークシャープディングは、シュークリームの皮のようなもの。18世紀に開発され、肉をたくさん買えない人はこれに肉汁を吸わせるため肉の下で焼いたそうです。あなたが日本でイギリス人を食事に招待するなら、彼らがホームシックになりすぎないようこれを作るべき。ステーキにちょっとした炭水化物を加えるのに最適です。本場ヨークシャーではグレイビーソースと共に前菜として出され、お肉と野菜がメインに続きます。
イギリスの家庭料理・パブ料理としてよく見かけるパイ料理。写真のシェパードパイは、パイと言いながらジャガイモで覆われた、イギリス家庭料理の定番。典型的なイギリス料理は肉とジャガイモだけ?なんとでも言ってください。肉とジャガイモはとても美味しいんですから。
他にもステーキ・アンド・キドニーパイ、ステーキ・アンド・エールパイ、フィッシュパイなどがあります。寒いイギリスの秋冬の夜に、オーブン料理は欠かせません。
「ながら食べ」に便利なコーニッシュ・パスティ。アメリカのファストフードよりも先に広まりましたよ。これもパイの仲間で、半円にひだのある縁という形が特徴です。温かさが長持ちすること、手で食べられることから、コーンウォル地方の炭鉱労働者に人気がありました。
ナイフやフォークはエチケットを守るうえでの難関点ですから、それらを使わなくて良いなんて合理的ですね!アメリカにもコーニッシュ・パスティに似たものがありますが、模倣されないよう、なんとEUの法律で守られています。
インド料理のようですが、チキンティッカマサラはスコットランド・グラスゴーで発明されたと言われています。もちろん植民地時代の助けを経てこうなったわけですが、それでもイギリス料理なんです。
イギリス料理について学んでいるなら、イングリッシュ・ブレックファーストを忘れてはいけません。イギリス人が好んで食べるタイミングというのは
(1)二日酔いのとき
(2)長距離トラックの運転後(なぜかは聞かないでください)。
正式なものはベイクド・ビーンズ(絶対にHeinzのもの)、ベーコン(アメリカのベーコンとは違いますよ)、目玉焼きとソーセージ。時々、とても危険なことにアメリカン・ハッシュドポテトが入っていることがありますが、伝統的なものにとどめておくよう注意してください。焼いたパンもなくてはいけません。またはバターの塗ったトースト。または両方。
そのほか伝統的にイングリッシュ・ブレックファーストに入っているものとして、ブラックプディングがあります。
材料は玉ねぎ、豚の脂、オートミール(燕麦)、香料とそして豚の血。
美味しそうでしょう?信じてください、美味しいんです。
西スコットランドのものが最も良く、これもコーニッシュ・パスティと同様EUの法律で守られています。
最後は大御所フィッシュ・アンド・チップス。白身魚のフライとフライドポテトにタルタルソースと豆が添えてあるのが定番。アメリカ英語でのフライドポテトはイギリス英語ではチップスと呼ばれています(アメリカ英語でのチップスはイギリス英語でクリスプス)。
「豆のクリーム」と思ってくれれば良いのですが、マッシュ・ピーはその見た目や響きより遥かに美味しいのです。フィッシュ・アンド・チップスに缶詰のこれを付け足せば、心臓発作を起こしそうなこの重い料理も健康的でバランスの取れた食事に早変わり。
いかがでしたか?旅行の際には是非食べてみてください。私はチキンティッカマサラが「イギリス料理」だとは知りませんでした!日本の冷やし中華や洋食のような存在でしょうか。
ちなみにブラックプディングは湖水地方のホテルの朝食で食べましたが、塩気と食感が美味しかったです。豚の血で出来ているなんて知らなかったおかげかもしれません。
私のおすすめはパスティ(パイ)です。大学生が図書館で「ながら食べ」できてしまう、日本で言えばおにぎりのような、でもアツアツのシチューが入っていて1つでお腹いっぱいになれる優れもの。値段もサンドイッチと同じか安いくらい。
ロンドンのコベントガーデンのアップルマーケット内にBattersea Pie Station (The Pie Shop) という、小さいですがこぎれいでオススメのパイ屋さんがあります。寒い中たくさん歩くロンドン観光中に、両手を温めながら是非1つ。
またコベントガーデン近くのPorters English Restaurant というレストランも、リーズナブルな価格で本格イギリス料理が食べられるらしいのでメモしておいても良いかもしれません。
しかし大学生活を送る上では、サンドイッチ、ピザやケバブ、街中のアジアンフードやカフェなどが一般的。調味料を買い込み自分で作る方が節約にもなるし美味しいというのが本音です。
普段の生活において「作ったほうが美味しい」と思ってしまったり、イギリス料理が世界的に皮肉られてしまったりしているのは、軽食売り場のバラエティ、外食先でも味付けは客の仕事であったり(テーブルに必ず調味料のカゴがある)、見た目になじみがなかったり(ブラックプディングやマッシュピーなど)のせいでしょう。留学後期ともなれば、安価で美味しい日本のご飯が懐かしくなってしまいます。