はじめまして。国際基督教大学3年、小笠原綾理です。大学の交換留学制度を利用して、9月から台湾の台中市にある東海大學(Tunghai University)に留学します。これから約10ヶ月間、台湾留学について書いていこうと思います。よろしくお願いします。
今回は最初の記事なのでまずは自己紹介も兼ねて、なぜ留学、なぜ台湾、なぜブログをテーマに書きたいと思います。
なぜ留学
高校時代の経験からもう一度留学したいと思っていたこと、また、中国語圏で現地の学生と共に学びたいと思ったからです。
私は高校3年生の頃に1年間、トルコ共和国のアンカラに留学していました。初めての海外経験となったこの留学は全てが新鮮でワクワクした反面、言葉の通じない世界で生きるということの難しさを思い知りました。友達を作ることが難しくて、ホストファミリーとコミュニケーションが取れなくて、とにかく毎日生きることに必死でした。
その中でも一番大きな壁となったのは、「異文化を”尊重”することと、異文化に”従う”ことは違うのだ」という気づきを得ることでした。「郷に入っては郷に従え」という言葉の通り、当時の私は「異文化を受け入れる」ことは自分の習慣を「変える」ことだと思っており、その必要に迫られた時、「”日本にいたときの私”として生きたい」という気持ちがとても強いことに気がつきました。異文化を「受け入れ」たいけれど自分は変えたくない、そんな葛藤の日々を送るなかで、異文化の中でも自分を変える必要はないというシンプルな答えに辿り着きました。異文化を受け入れる・尊重するとは、自分を失うのではなくて、新しい自分を積み重ねていくことだと思います。
異文化に直面した時、「何であの人たちはこんなことするの?意味わからない!」で終わっていたことが、それ以来、異なる文化を持つ人々がどのようなことを考えているのかを知りたいと思うようになりました。相手の考えを聞きつつも、意見を主張するようになると、普通だと思っていたことは「私の普通」であって、この世界に誰しもが共有できるような「普通」は存在しないのではと思うようになりました。このような、遠回りはしたけれども納得できる形で壁を乗り越えることができた高校生の頃の経験から、大学でもう一度留学すれば更に次のステップに進めるのではないかと思いました。
ただ、応募するときには、今ある環境を捨ててまで行くべきなのかはかなり悩みました。実際、留学をしたいというよりは、留学できるチャンスがあるのにそれを逃すのは嫌だという気持ちの方が強かった気もします。最終的に応募することを決めたのは、関心のある中国か台湾で現地の学生と共に学ぶことは、日本では経験することができないと思ったからです。
中国本土や東南アジアも留学先の候補にはありましたが、中国大陸からの”移民”が多い国、そして中国語を勉強できる大学をという理由から台湾を第一志望に選びました。なぜ東海大學なのかは、台湾の交換留学先が1つしかなかったからです。
以前は欧米への憧れが強かったのですが、ヨーロッパとアジアの二つの面を持つトルコに行ってから、カオスで汚くてだけど奥深いアジアに魅了されました。近いけれど何も知らないアジアをもっと見てみたくなり、大学生活では長期休みを利用してアジア諸国を旅するようになりました。そんななかで私が惹かれたのは、アジアの各地にいる中国系人の存在でした。なぜ彼らはそんなに色々なところにいるのか?なぜ彼らは決して自分たちのことを「中国人」と言わないのか?彼らのアイデンティティはどのように変遷してきたのか?
また、香港や上海で現地の学生と交流した際に、メディアで報道されているように中国人と香港人は中国大陸に対する考え方が異なるということを実感した一方、「中国人」と一括りにすることは出来ないと気付きました。無意識に形成された「中国人」のイメージは国家レベルのものであって、それが全ての中国人や中国系人に当てはまるわけではありません。彼らのことをより深く知るためには、現地に行って実際に一人一人とに向き合うことが必要だと思い、留学したいと思うようになりました。
ICUではアジア研究専攻、人類学副専攻として学んでいます。台湾では華語中心という大学付属の言語学校で毎日3時間授業を受け、学部の英語開講の授業を2、3個とる予定です。日本の大学で学んでいることと一致するわけではないし、単位編入も数は限られると思うのですが、現地でで台湾や中国について学べることの方が貴重なので、あまり気にせず関心のある授業を取ろうと思っています。
ブログを書こうと思ったのは、留学生活をより意味のあるものにするためです。日本での生活は、バイトや課題に追われて物事をじっくりと考える間も無くあっという間に時間が過ぎていきますが、これは留学生活でも同じだと思います。留学はすれば誰もが成長できると思いますが、その度合いを最大限に大きくするためには考えつづけることが必要です。例えば、その日に起こった出来事を振り返り、疑問に思ったことについて考える習慣をつけるだけで、新たな発見にもつながり、より多くのことに関心を向けるきっかけにもなるはずです。日常的に起こる出来事に対して、「まあいいか。」で終わらせるのではなく、継続して意識的に考えるようにしたいです。さらに、漠然とした考えを文字に起こすことは思考を整理すること・深めることになります。それが基盤となって、新たな疑問や気付きも生まれるはずです。この繰り返しで、成長の度合いをどんどん大きくしていきたいと思います。また、情報が少ない台中の留学についてもみなさんの参考になるような情報をお伝えできればと思っております。人それぞれ、様々な考え方があると思うので、私の記事は一つの考え方として捉えて頂けると幸いです。
これからの10ヶ月程は、焦らず、他人と比較せず、私らしく過ごすことが目標です。次回はいよいよ始まる台湾での生活について詳しく書きたいと思います!
台湾・台中にある東海大學に交換留学中の国際基督教大学3年生です。旅行では気づかないような台湾の魅力をお伝えできればと思います!