明日8/28(日)、初開催のファッションショーが行われる。
タイトルは「Tokyo Africa Collection 2016」。
世間のアフリカに対するイメージを変えたいという代表の想いに賛同して、都内の美大生など実績のあるデザイナーが集まり、モデルもミスコン経験者などの学生が担う。
なんと学生は無料で入場できる特典も。(イベント詳細は記事下部を参照。)
紛争、貧困、飢饉…そんな負の側面が強いアフリカのイメージを、ファッションを通してどのように変えていくのか。 これまでに無い新たな取り組みにかける想いを聞いた。
──アフリカに興味を持ったきっかけを教えてください。
菅生:武力紛争が集中しているのがアフリカだったからです。特にコンゴ民主共和国、南スーダン、中央アフリカ共和国に関心がありました。典型的な「かわいそう」というイメージから入りました。共同代表の根津も、貧困や戦争をなんとかしたい、というところから興味を持ったと聞いてます。
──今回のイベントを通して伝えたいことは何ですか?
菅生:アフリカについて考えているうちに、その「かわいそう」という感情が、アフリカの人達に対してとても失礼なものなのではないかと思うようになりました。根津の場合、アフリカに実際に行った際、イメージの変化があったそうです。だからこそ、紛争や貧困などマイナスのイメージや、「かわいそう」という同情や哀れみのイメージから、「かっこいい・洗練されている」という肯定的なイメージへの転換をこのファッションショーで示せればと思いました。来場者の方々にはイベントを通して、ポジティブな面からアフリカに関心を持ってほしいです。また「アフリカ」とひとくくりにするのではなく、各国の魅力や個性に目を向けてもらいたいです。アフリカの中の多様性も今回のショーの大きなテーマの一つです。
──なぜ「ファッションショー」という方法を取られたのですか。
菅生:イベントのターゲットである若い世代には、服が好きな人が多いというのがまずひとつあります。そんな若い世代にとって、ショーは観ていてとても楽しいはずです。また、それぞれの服には様々なメッセージが込められています。そのようなファッションショーは、多様性に満ち溢れるアフリカを表現し、心に残る形で伝えるのにもってこいです。「パリコレ」のような王道のファッションショーとエンターテインメント溢れるヴィクトリアズ・シークレットのファッションショーの中間を目指しています。
──イベントを企画する中でどのようなことに苦労されましたか。
菅生:最初は、人もいない、デザイナーもいない、モデルもいない、ノウハウもない絶望的な状況でした。その状態から、「妥協のないおしゃれでかっこいいショー」を目指して、日々這いずり回りました。ファッションデザイン・演出方面の経験があるスタッフから意見をもらい、勉強しながら、イメージを形にしていきました。ホームページのデザインやそれに載せる写真にもこだわって、すべて自分で撮影・デザイン・加工しているので、なかなか時間を取られます。
今ではモデルやデザイナーを含めて60名を超える人が関わってくれています。このイベントのために初めて集まったチームであるがゆえに、まとめるのは大変です。そのような中でも、コンセプトの理解を得るために議論を深めていくことで徐々に一体感が形成されてきました。
──今回のイベントの後はどのようなところを目指されますか?
菅生:このような初の試みは、世間からサポートを得るのが難しいです。「実績が無いものにお金を出すのは難しい」と断られてしまうこともしばしばありました。だからこそ今回の第1回目のショーを契機に、サポートしてくださる企業・団体・個人を増やし、今後より大規模で大人数に届くショーを作れたらと思います。
【ルワンダ担当:中南佑理、南アフリカ担当:伊藤誠一朗】
──なぜこのイベントに参加しようと思いましたか?
伊藤:まず第一にショーのコンセプトに共感したというのがあり、さらに自分にとって色々な意味で大きなチャンスだと思ったからです。
僕は美大生なので、周りはアートが好きな人たちばかりですが、その環境にずっといるとどうしても目線が偏ってしまうんですね。だから特別にアートに興味を持たない「一般」の人たちと“ファッションを見る視点”を共有しながら、これまで持てなかった新しい視点で一緒に新しいものを作れるのではないかと思っています。
──「アフリカ」というテーマに特別なものはありましたか?
伊藤:アフリカは好きです!イメージとしては好きなんだけど…あんまり知らない。だからこそ知れる機会だと思いました。それに実は、テーマに沿ってデザインするのは今回が初めてなんです。今までは正直、自分の気持ちだけでクリエイトしてきました。でも自分しか見えてなかったら自己満足のものしか作れないんですよね。その領域を出たいと思ったので挑戦しました。テーマにどれだけ寄り添い、かつその中でどれだけ個性を出せるのかが勝負だと思っています。
中南:元々、国際問題とファッションを繋げたいということは思っていて、以前は模擬国連とファッションサークルをそれぞれやっていました。それで今回のお話を頂いたときに、その二つを掛け合わせた企画があるんだ!って感動して。ちゃんとアフリカに精通している人から話を聞いて、作った作品で実際にファッションショーをできるというのがすごく魅力的だと思ったので参加しました。アフリカには行ったことはないですが、だからこそ自分だけでは作れないものを作れると思ったので、なおさら興味が湧きました。
──デザインする上で苦労した点を教えてください。
中南:《ルワンダのお話から受けたイメージ》と《自分の感性》と《モデルとの相性》の3つを考えなければならない事です。どれかに偏ってしまわないようにバランスを意識しました。具体的にはルワンダの人と自然のイメージに、現地の布から湧き出た自分のイメージを加えました。最後にルワンダそのもののイメージをマッチングさせてデザイン画に起こしていきました。その過程で、滞在経験のあるマネージャーに現地で感じたことや行かないとわからない事をヒアリングして街のイメージとか人の性格とかをどんどん深めていきました。
──このイベントに関わる中で、ご自身の「アフリカ」に対するイメージはどのように変わりましたか。
中南:このイベントに参加する前は正直、ルワンダって聞いたことないなあって思ってました。モノがなくて、人もまばらで草も枯れているとか…全体的に足りていない、からっぽなイメージ。でも実際話を聞いたり調べていくと、自然とか動物とか人とか、すごく豊かなんですよね。空っぽなんかじゃなくて充実しているなあと感じて、元のイメージとGAPを感じました。
それから、ルワンダの人の性格も日本人と似ていて温厚で優しいというお話も聞きましたし、向こうでは「お金ちょうだい!」ではなくて「仕事をちょうだい!」と言っているんだと聞いたときは、みんな自立した生活を送るために頑張っているんだなあ…日本人と全然変わらないんだと思うようになりました。
中南:数か国をご紹介していきますね!【ルワンダ】では、ルワンダが内戦から今の平和な町に短期間で変化した歴史を演出と衣装から感じてほしい!内戦という厳しい時代を乗り越えてみんが笑っている写真のイメージから、ポップなテイストで豊かな自然とルワンダの人を表現しました。
伊藤:【南アフリカ】のテーマは都市と労働のエネルギーです。南アフリカのピンポイントに焦点を当てるのではなく、グルーヴ感、全体の繋がりや流れを意識して作りました。南アフリカはアフリカの中でも経済発展が一番進んだ国ではあるけれども、それを支える労働と人々のパワーをオリジナルの素材で表現していきます。
【ケニア】のテーマは「移ろいが持つ強さ」です。ケニアはアフリカの中でも急激に発展を遂げている国。多数の民族と自然が、幾度となく訪れた変化の中で入り混じり、その環境の中でケニアの人々は生きる「強さ」を身につけた。「強さ」にフォーカスし、素材そのものの特徴やコントラストで内なるパワーを描いていきます。
頓所:【南スーダン】のテーマは「ビーズでお洒落な女の子」と「牛とバスケ」の2つです。紛争のイメージが根強い南スーダンですが、女の子はお洒落に夢中。中でもビーズは民族によって色や付け方が異なりとてもユニークなんです。そんなビーズを基調とした服に南スーダンの「お洒落にこだわりたい女の子の想い」を感じていただきたいです。
「牛とバスケ」の方では、南スーダンが今年初めてオリンピックに出場したことや、とても人気があるスポーツの中でもバスケットボールが、NBAの選手を多数輩出するなどで注目を集めているところを起点にイメージしました。他方、緑に恵まれた南スーダンでは牛が家族のような存在です。そんな牛とバスケの要素を取り入れた服と演出にご期待ください。
KENGO SHIMIZ:【タンザニア】は「多様性を超えた子供たちの笑顔」をテーマにしています。キリスト教やイスラム教、裕福な家庭と貧しい家庭…彼らにとってそんなことは関係なく、それらの違いを超えた笑顔があります。実際に現地で幼児教育をしていた運営メンバーと共同で製作した私たちだから伝えられるものがあります!
中川:【エチオピア】のテーマは「コーヒーセレモニー」と「火山でランニング」です。今回のポイントとして、エチオピアの意外なところがキチンと伝わるか、分かりやすいかを重視しました。コーヒーセレモニー、マラソン、火山などをモチーフとしていますが、そこにエチオピアの人々の内面を技法として取り入れ、更に衣装として奥行きを出しています!
鷲見:【モロッコ】のテーマは「昼と夜」です。日本と同じように四季が存在すること、そして様々な美しいモロッコの風景から2体とも「光と影」に焦点を当て、素材を工夫しデザインしました。照明の色や当て方によって変化する光と影の様子、そしてモデルさんの動きに合わせゆらゆらと揺れる影の魅力を楽しんでいただきたいです。
稲葉:【ソマリア】のテーマはソマリアの景色です。紛争、海賊、銃弾等のイメージがありながらもビーチなど自然は失われていないところ 、 空と陸の境目、ビーチでの風が吹くイメージを表現した部分に注目してほしいです!
▼Tokyo Africa Collection 2016
▽日時:8月28日
▼時間:開場15:30〜 開演16:00〜閉演18:00
▽場所:文化ファッションインキュベーションホール (東京都渋谷区桜丘町23番21号 渋谷区文化総合センター大和田11階)
▼主催:Tokyo Africa Collection運営事務局
▽後援:一般社団法人アフリカ開発協会
▼認定:TICAD VI公式サイドイベント
▼価格:VIP席10.000円 普通席1,000円 学生は入場無料!
予約した方には来場特典として素敵なプレゼントをご用意しております。
《予約はコチラから》Tokyo Aafrica Collection 2016 チケット
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Facebook、Facebook、Twitterで随時情報配信!
公式HP http://tokyoafrica2016.wixsite.com/tac16
Facebook https://www.facebook.com/tokyoafricacollection/
<デザイナープロフィール>
○伊藤誠一朗(いとう せいいちろう)さん 武蔵野美術大学空間演出デザイン科
5ive star D展 MIZO exhibition 等活躍。 即興
○中南佑里(なかみなみ ゆり)さん 早稲田大学文化構想学部2年生
2011年岩崎学園主催ヨコハマファッションアワード入賞
2012年同アワード佳作受賞 2013年文化服装学院主催高校生ファッションデザインアワード最優秀賞(文部科学大臣賞)受賞
この学校にてファッションクリエーションを勉強中
○頓所葵(とんしょ あおい)さん 早稲田大学政治経済学部
Interscholastic Association of Southeast Asian Schools 出展
2013年 国際バカロレア美術 満点評価取得
○KENGO SHIMIZU さん
原宿Dogでの個展 グループ展 日食展 代表
ムサビる! 2016 ファッションショー ”溝” 等活躍。
○鷲見友佑(わしみ ゆうすけ)さん
oiai展2015
日食展
TRANS ARTS TOKYO 2015神田
日食展2
SICF17
oiai展2016 等活躍。
○稲葉ゆめ(いなば ゆめ)さん
2013 fashionshow 「failytale」 デザイナー兼モデルとして出演
2014 同上 2015 文化学園大学現代学部国際ファッション文化学科 卒業イベント「長靴をはいた猫」パフォーマーとして出演
2016 文化学園大学現代学部国際ファッション文化学科 fashionshow 「ing」 モデルとして出演
◯中川真琴(なかがわ まこと)さん 文化学園大学服装造形学部
企画集団FUSE フィッタートップ
服装学部ファッションショー『服の力』製作・モデル
◯沼尻美夢(ぬまじり みゆ)さん 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科2年
短編映画『うみやまおもひ』キャスト出演
短編映画見『えてますおじさん』キャスト出演 被写体モデル