大学3年生になると、どうしても意識してしまう「就職活動」。
不安やプレッシャーを感じていたり、そもそも何をすればいいのかわからない…… 就活に対して、そんなネガティブなイメージが先行している学生も多いのでは?
今回お話を伺ったのは、迷える学生たちが名だたる企業へ就職するのをサポートしてきた、関西で話題の就活のプロ、株式会社リーグロ代表の上田浩史氏。
上田氏に、就活生の問題点、これからの就活がどのように変化して、学生は何を求められるのかについて徹底解説していただきました!
就活を控える学生は必見です!
上田:大きくわけて2つあります、1つはモチベーションのサポートで、そもそも何のために就職活動をするのか、何のために働くのかといった部分。もうひとつは、いわゆる面接、ディスカッション、エントリーシートの対策、業界分析、企業分析、自己分析のサポートです。関西では毎年100名ほどの生徒がおり、中には海外留学中の学生も指導しています。
重点を置いているのは1つ目のマインドの部分。ここは、就職活動の土台にあたるものなんです。就活の目的は、就活を成功させることではなくて、どうやって自分の人生をもっと豊かなものにするのか、です。なので、より長いスパンで就職活動を捉えて指導しています。
───就活生をたくさん見てきて、どのようなことを感じましたか?
上田:一言で言うと、学生は準備が足りない。僕は、就職活動は人生の50%を決めると思っています。それだけ大事なターニングポイントなのにも関わらず、ほとんどの学生がたった半年とか3ヶ月の企業分析や自己分析で、なんとなく就活をしていることにすごく危機感を覚えています。
その一方で、これは仕方のないことだとも思っているんです。学生がこれまで経験してきたこと、特に受験は偏差値や点数で自分の能力値が計れますよね。なので、どんな勉強をしたらいいかがわかりやすい。それが就職活動になると、基準となる指標がないために自分の実力が可視化されてない。だからこそ、プロがしっかりとコーチングをし、目標と現状のギャップを理解させ、サポートしなければならないと考えています。
───では、就活生はどのような準備をすればいいのでしょうか。
上田:多くの就活本には自己分析とか業界研究しか書いてないですが、もっと根本的な準備が必要です。1つは先ほどのマインドの準備。自分はどんな人生を歩みたいのか?何を成し遂げたいのか?自分の志や夢を描くことです。2つ目が経験の準備です。自分の志望する業界、企業があるならインターンシップを中心に、実践的な経験を積むことです。その経験が自己分析で「掘れる経験」になるはずです。3つ目はスキルですよね。やっぱり学生でもエンジニアリングなどの専門的なスキルは非常に市場価値が高いです。
上田:そうですね。だからストレートで卒業する必要もないし、新卒で入社する必要もないということを、大人がもっと言ってあげるべきです。最近は、企業は2年ぐらいのブランクは大目に見てくれますし、リクルートが大々的に30歳までは全部新卒扱いすると言っているくらいに新卒であることの重要度が減っている。なので学生には「どんどん休学して就労せい」って言ってます。実際、親の反対を押し切ってシンガポールにインターンに行った学生もいます。企業も変わってきているし、門戸は開かれていると思う。
───では、就活をしている学生が第一志望の企業はダメだったけど、第三志望に受かりました。この場合、内定を貰った企業に入るべきでしょうか、それとも1〜2年遅れても第一志望をもう一度目指すべきでしょうか。
上田:なるほどね。まず僕の問いは、「その企業は本当に第一志望なのか」ということですね。この1社しか行きたくないという考え方自体がみんなを窮屈にしてる。要はその1社に行けなかったら幸せじゃないって考えて、みんな潰れちゃう訳じゃない。世の中に420万社あって、やりたいことができる会社はどんなに絞ったとしても10社から20社はあるんじゃないかと思ってるんです。そう考えたら第一志望の1社ではなくて第一志望「群」、あくまで群れだと。第一志望に仮に落ちたとしても、第二志望に受かったらええやんという心の余裕もできますし、本当に行きたいんだったら転職して行けばいい。だから本当に第一志望なのかということを自分に問い正してください。
あとは受かるための努力をしてるかですね。学歴が足りないなら東大の院に行って学歴をバージョンアップさせたり、海外に行く努力をする。OBに40人ぐらい会いに行くとか、できることを行動としてやっているのか。本当にその会社に行きたいのなら努力の質と量を変えろということです。
───これからの就職活動はどのように変わっていくんでしょうか。
上田:間違いなく一括採用がなくなります。さらに、優秀な人材はどんどん青田刈りが起こります。実力がある学生には1年生から内定もどんどん出てくるでしょう。
実際にこの3〜4年の間に、ベンチャー企業がインターンを積極的にやり始めて、学生のうちにビジネスを経験した人が増えています。そういった学生は明らかに経験やスキルが他の学生と違うんですよね。私の周りでも学生で会社を創業し、学生中に売却まで行っている子も現れはじめてます。リーマンショック以降、企業側でも結果が見えにくい採用とか育成の経費が減らされていて、新卒にも即戦力を求めることが増えています。そういう企業に、ビジネスを経験してきた即戦力になり得る学生は魅力的に映るんですね。これまで新卒はポテンシャル採用と言われていたものが「いやいや、スキルも見ますよ」となってきているわけです。
上田:一つは学生が企業と交渉できるようになること。「こんな経験があって、こんなバリューを出せます。僕をいくらで雇ってくれますか?」と、給料まで交渉できるようにしたいですね。もう一つは「学生社員」を増やすこと。シンガポールでも、国立大学に通いながらGoogleで社員として働いている学生が多いんです。学生でありながら普通の社員でもある、そういう価値観があれば、行くか行かないかは別にして1年生で内定をもらうのもアリだし、学生も1年生から準備をしなければいけないとなりますよね。そうやって頑張っている学生を評価してくれる世の中になっていったら素敵だと思います。
───では最後に、これから就活をする学生にアドバイスをお願いします。
やりたいことは30歳までに決まったらええんです。さっき「1社目で人生の50%が決まる」と言いましたが、逆に50%は決まらないんです。20代の前半で自分の人生を決めようと思うとやっぱりしんどくなっちゃうから、30歳までにいろいろ悩んだらええよというのは伝えたいです。
それから学生の皆にはもっと自分の可能性を信じてほしい。講演でもいつも言うんですけど、もっと自分にできることはあるし、ワクワクを見つけるまで歩みを止めるな、と。例えば、インターンも不動産のインターンに一つ参加して「私は不動産に行きたいです」というのは、「いや、不動産のインターン行っただけやん」ってなるから、インターンにいくつも参加する…シリアルインターン生になったらいいと思っています。「いま起業6社目です」とシリアルアントレプレナーがどんどん違うビジネスを追い続けるように、アントレプレナーシップを持ってインターンに行きまくる”シリアルインターンプレナー”。そんな学生が増えて欲しいですね。