今回は、アメリカ英語・イギリス英語の話を含め生活一般について英米の違いを紹介したいと思います。アメリカとイギリスから、前回に引き続き共同執筆しました!
冒頭の「今日は授業がある」「黒い髪をしているね」について、ぱっと思いつくのは“I have a lecture today.” “You have black hair.” だと思いますが、イギリス式では “I’ve got a lecture today” “You’ve got black hair” です。大した違いでないように思えるかもしれませんが、イギリスに来るとhave got の文をかなりよく聞くのでだんだんこんな話し方になってきます。
表や体験記を読み比べながら、二大英語圏である英米の違いを発見してみてください。
今の大学に移る前はシアトルの大学に通っていましたが、そのときはホームステイをしていました。最初はエージェントに紹介された家庭に入り、2件目と3件目は友達の紹介で入りました。ホームステイは、自分とステイ先の食生活や生活習慣の相性によって良い選択かであったかどうか、非常に大きく分かれます。私はアジア人のホストのことが多かったので普段からお米を食べていましたが、アメリカ人の家に住んでいた友人は、ほぼ毎日ピザだったようです。私は食べるのが好きなので特にそう思うのかも知れませんが、食生活が合わないと日常生活にかなり支障が出るので、自分が留学している地域に日系レストランやアジア系レストランがあるかないかなどは、チェックしてみると良いと思います。
現在は大学の寮に住んでいますが、ラッキーなことに部屋にキッチンがついているので、私は毎日自炊しています。都市部に住んでいるからかも知れませんが、醤油やみりんなどの基本的な調味料や食材は、アジア系のスーパーに行かなくても近所で手に入るので、それほど生活には困っていません。しかし、寮にキッチンがついていない人や、料理が得意でない友人は、毎日外食をしています。といっても、毎日レストランに行くのではなく、学校のカフェテリアやデリ、もしくは学校に来るフードカーで買って食べている人が多いです。
私の大学では6割以上の生徒が寮に住んでいます。毎年春に寮の部屋の希望と、ルームメイトの希望を出します。1年生から寮に住んでいて、かつ相性が良いと、4年間同じルームメイトでいることが多いそうです。新しい人と住み、何かもめたりするリスクを避けられるので、気の知れた人と住むことを好むみたいです。またイギリスと異なり、アメリカではほとんどが2-5人のルームシェアです。私の学校には15以上の寮がありますが、1人部屋は1-3寮くらいしかないと思います。友人から聞いた話ですが、4-5人部屋くらいになるとバスルームが2つあるみたいです。共同生活を通して、他人と生活する大変さを学ぶことを一つの目的としているのかもしれません。
アメリカとの一番の違いはルームシェアがほとんどないことと、シェアハウスで大学外に住むことがより一般的であることです。学部生に主なのは、一年目は大学の寮に住みキッチンを共有し、二年目から友達とシェアハウスをするスタイルです。一人暮らしやホームステイをしている人も稀にいるようですが一時的であることが多いです。大学院生専用の寮もありますがオフキャンパスに住む方も多く、そのほうが安いです。
食生活に関しては自炊がほとんどです。大学によるかもしれませんがキャンパスのカフェや食堂は高くてメニューも限られており、閉まる時間も早く毎日メインで利用するにはだいぶ不便です。皆で集まっても外食よりは誰かの家で作ることが多いです。自炊する際和風調味料などはアジア系の食品店で手に入りますが、アジア人の生徒が少なくないので学校のショップで手に入るものもありますし、アジアの料理が流行っていることもあり最近はスーパーマーケットでも醤油やみりん、うどんなどがおかれるようになりました。
交通機関に関するアメリカ・イギリス英語の違いの例
車社会のアメリカで車を持っていないので、移動には公共交通機関を利用しています。シアトルにいたときは、路線バスを使っていました。日本のように時間通りには絶対に来ないバスですが、どこに行くにもだいたいのところには乗り換えなしで行けるので、車が無くてもそんなに困りませんでした。また、大学へも毎日バスで通っていました。
現在住んでいるDCは、地下鉄とバスが主な交通手段です。キャンパス内に住んでいるので、普段地下鉄やバスを使うことはありませんが、週末友達に会いに行くときや空港に行くときに使います。しかしDCは渋滞もすごいし、電車もしょっちゅう止まったり遅延するので、私の主な移動手段は徒歩です。街もきれいだし、普段キャンパス内から出ないので、近所を知るためにも歩いて移動することが多いです。
移動距離や所要時間によりますが、日本の国土面積約25倍のアメリカの基本的な交通手段は、飛行機です。例えば、DCからNYは長距離バスで5時間、飛行機では1時間半ほどかかります。空港に行ったり市内に出たりする時間を考えると、トータルの所要時間はバスと飛行機でそんなに差はありません。料金も飛行機の方が高いので、NYにはバスで行く人が多いです。しかし、飛行機だと1時間半、バスだと8時間以上かかるボストンへは、飛行機で行く人が多いです。また飛行機より安く、バスよりも高い長距離列車もありますが、乗り心地や所要時間の割にはそんなに安くないという意見を聞くことが多いです。
カナダに行くときには、車やバスを使う人が多いみたいです。シアトルに住んでいた時にバンクーバーへ行きましたが、そのときは私も長距離バスで行きました。国土が大きいアメリカですが、空港も多いし列車も全土に広がっているので、国内旅行するのには環境が整っていると思います。
イエローストーン国立公園 (米国・ワイオミング州)
ロンドンといえば地下鉄(チューブ)や赤い二階建てバスが有名ですが、田舎にくると移動手段は市バスになり、私のよく使うものはこれも二階建てです。生徒で車を持っている人は少数派です。
長距離バス(コーチ)は移動の手段としてよく使います。ドーバー海峡を通るトンネルを使いロンドンからパリ、ブリュッセルなど大陸のほうにも行くことができます。10時間前後バスに乗ることになりますが経済的です。電車の方が速いですが基本的にコーチより値段が高く、また日本と違い乗りたい日によってチケットの値段が変わります。
鉄道発祥の国の割に国内旅行は不便で、イングランド東部から北部に行きたいときに一度南下してロンドンを経由しなければいけないなど、手間や値段に関してヨーロッパの他国への旅行と変わらないイメージがあります。スコットランドへの旅行は(勿論場所によりますが、つい新幹線と比べてしまうのでため息が出そうになります。)
みなさんは、アメリカ人と言えばどんな人を思い描きますか?私が高校生の時のイメージは、金髪で目が青いというイメージでした。しかし、現在のアメリカで金髪の人も目の青い人もなかなか見かけません。
シアトルは全米でもアジア人が多い地域で、クラスでも街中でもアジア人を多く見かけました。現在住んでいるDCは、人口の半分がアフリカ系アメリカ人の人だと言われています。米国南部の地域にも旅行で行ったことがありますが、DCの方がはるかに多い気がします。また、現在アメリカでは白人の子供よりも、ミックスの子供の方が多く生まれているそうです。まだまだ白人社会のアメリカですが、オバマ大統領が就任したことや、現在大統領選挙に共和党からルビオ氏が立候補していたりと、少しずつ変わってきているのかなと思います。
性格的なことを言うと、アメリカ人は優しい人がとても多いと思います。駅や街中で困っているときに尋ねると、分かるまで丁寧に教えてくれますし、私自身が気づいていないだけかも知れませんが、留学生活で人種差別を受けたことはありません。しかし、人によって接し方が異なるのも事実で、自分の親が第一移民であったり、異文化との触れ合いが多い人ほど、異人種に対して優しいと思います。しかし、このような経験がない人は、お店でもクラスメートでも先生でも、なかなか近寄りがたい印象を持ってしまいます。※私の経験上のことなので、こういうこともあるんだなくらいに思ってもらえればと思います。
またアメリカでは、バスや電車の中で初対面の人と会話が始まることが、かなりの頻度であります。「この電車って○○駅に停まりますか?」「停まりますよ。どこか行くの?」というたわいもない話から、この駅の近くの○○というレストランが美味しいよとか、学生なの?など、会話から発展していき、連絡先を交換したりすることはもちろんありませんが、仲良くなることは多いです。初対面の人との会話を楽しむフレンドリーさはアメリカ人の特徴かなと思います。
典型的なイギリス人といえば紳士的、皮肉っぽいなどでしょうか?大学生なので「紳士っぽさ」よりは皮肉な言い回しやジョークのほうを目にする機会が多いかもしれません。イギリスについて自虐をしたかと思うと、アメリカ人のことを皮肉るのが好きで、「自分たちの言葉を作れよ」とか「俺らがいなかったら存在してないんだぞ」とジョークを言うのを何回も聞いたことがあります。
見知らない人と会話をすることはありますが、会話に突っ込んだり質問したりする程度で話し込んだりすることはあまりなく、フレンドリーというよりは単に気さくで大らかという印象があります。イギリス人の中には近寄りがたい印象のある人がいたり舐められているのかなと思うこともありますが、アジア人だからというよりは英語に自信がなかったせいなのかなと今では思っています。
アルバイト先の年度末パーティ
私の住んでいる地域は田舎なので地元民は白人がほとんどだと思いますが、ロンドンや大学内でイギリス人以外の人種を見かけたり英語以外の言語が聞こえてくるのは日常茶飯事です。イギリスはEU圏なので就労ビザのいらないヨーロッパ人が多く働いているかもしれません。レストランやカフェなどでイタリアやスペイン訛りの店員が多かったり、大学の講師陣もこれまでの担当はイギリス人よりもその他の国籍の教授が多かったりするように感じます。
その中で日本での生活を振り返ると、日本に住む日本人の割合が95%以上というのは驚異的でさえあるような感覚です。
イングランド人の中には「自分はブリティッシュではなくてイングリッシュだ」と言う人がいたり、ユニオンジャックよりはイングランドの旗を自分の旗だと言う人がいたりなど、イギリス人(イングランド人)の誇り高いアイデンティティと言われる所以かなと思うこともあり興味深いです。自国もヨーロッパのくせに大陸のことを「ヨーロッパ」と呼んだりしますが、島国にいるとその感覚だけは分かる気がします。EU非加盟国のスイス人の28.6%が「スイス人でありヨーロッパ人である」と答えたのに対し、イギリス人のその回答は5%しかなかったそうです。六月末のEUに残るかどうかの国民投票では、こうしたプライドと愛国心だけで脱退することになってもおかしくないかもしれません(笑)
これまでに紹介したもの以外では例えば下記のようなものがあります。
こうして見てみると、日本のアメリカナイゼーションが言語からも垣間見える気がします。’Take a shower / bath’ や ‘reservation’ など 学校で習ったものはほとんどアメリカ英語ですし、「エレベーター」や「サッカー」などカタカナ語になっているものもアメリカ英語ですね。
ただアメリカ英語、イギリス英語と言っても、イギリスでもアメリカでも両方使う言葉もあればお互い意味が通じない言葉もあります。イギリスでもレストランではreservationを使ったり、アメリカでもホテルや航空券に関してはbooking を使ったりしますが、例えばmateと言えばイギリスでは「友達」ですがアメリカでは「配偶者」のことであったりします。また、言葉は同じでも単語やセンテンスの発音が大きく違ったり、center / centre やcolor / colour のように表記が異なったりすることもあります。
「サッカー」「フットボール」の違いは有名かもしれませんが、「サンタクロース」がアメリカ英語だと指摘されたときはとても驚きました。イギリスで米語の話をするときは単に「アメリカン」と言うことが多い気がします。「アメリカン・イングリッシュ」という言葉を使ったら、「アメリカン・イングリッシュじゃない、English with American accent だ」と言われたこともありますが、これも皮肉のうちと解釈しました。習ったアメリカ英語を私が使うからこそ指摘してくるのかもしれませんが、恐らくイギリス人の方がこの違いに目ざとく、興味深くも思えてきます。文章で表せないのが残念ですが、アメリカ・イギリスに留学した人同士で語彙や発音を比べてみるととても面白いですよ。