車内広告の実態に迫る|歴史から経済効果まで

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通勤や通学、様々な用途で利用される電車には、数多くの車内広告がある。無味乾燥とした移動時間を様々な手法、特徴的な色づかいや宣伝文句、などで彩り利用者を活気づけている。近年、電車の中でスマートフォンを使う人口は爆発的に増加したが、それでもやはりふとした時に目に入るものであり、有効な宣伝として捉えている企業も多いだろう。しかしそれらに関する情報は意外と知られていない。歴史は?費用は?宣伝効果は?特徴は?この記事ではそうした疑問について答えていく。

車内広告の歴史とは?

日本での車内広告の歴史は明治時代にまでさかのぼる。まず明治5年に横浜-新橋間の鉄道が開通した。利用者数の増加を受け、6年後の明治11年になり初めて酔い止め薬の車内広告が掲出された。その後も順調に規模は拡大して行き、昭和63年には車内広告の費用がラジオを抜くようになった。

車内広告、その実態に迫る。

車内広告、いくらかかる?

JR東日本企画によると首都圏のJR線全線に中吊り広告を1週間載せる時の額は、839万円だ。ちなみにこの条件だと約10,000枚印刷されるので、1枚あたりの費用は839円ということになる。

ちなみにテレビCMの1週間あたりの宣伝費用は約34億円だ。

当たり前のことではあるが、車内広告の費用は広告の場所や範囲、そして期間によって大きく異なってくる。最も一般的な例の一つとして先の条件を紹介したが、単線のまど上広告(ドアの上に貼られる広告)を4日間載せるといった場合においては、半額程度で済むこともある。

この額をどう判断するかは人それぞれだが、個人的にはテレビと比較すれば、また次に述べる宣伝効果を考えれば、かなりお得な、コストパフォーマンスの高い宣伝方法であるように考えられる。

どれくらいの人に見てもらえるの?

車内広告は一体どれくらいの人の目に入り、そのうちの何人が興味を持つのだろうか。先の条件と同様に、首都圏のJR線全線に中吊り広告を1週間載せる場合について考える。

JR東日本によると、首都圏のJR線の1日あたりの合計利用者数は332万人である。

また、2009年度になされたネットエイジア社によるモバイルリサーチによれば、電車利用者のうち約71%の人が車内広告を見るという。 

つまり332万人の71%、235万人が1日あたりに車内広告を見ているということになる。一週間だと約1600万人だ。

もちろん人数の重複があるので実際はこの数字よりも少ないだろうが、それでもかなりの人の興味を引くことは間違い無い。

また、車内広告の好感度は非常に高い。車内広告に対して親しみを持っているかというウェブアンケートでは、約64%の人がイエスと答えた。インターネット広告に対する同様の調査の結果が4%であることと比較しても、破格の数字であると言えるだろう。

車内広告、その実態に迫る。

どのような特徴があるの?

車内広告には以下のような特徴がある。

1、宣伝の幅が豊富である。

車内広告は形のある商品の宣伝だけに限られていない。テーマパークやイベントなどの宣伝にも柔軟に対応する応用力がある。

2、地域密着型の宣伝ができる。

先の例では首都圏全域の路線に宣伝をするケースを想定したが、すべての社内広告が必ずしもそうであるわけではない。在来線の一路線からの広告ももちろん可能であり、その地域、地方に密着した宣伝が出来るというのは大きい。

3、 購入につながりやすい。

例えば飲み物の車内広告を見た場合、利用者はそれを駅の売店や自動販売機ですぐに買うことができる。このような距離の近さは車内広告ならではなものだろう。

4、 反復性が強い。

サラリーマンや学生などの定期利用者は掲載期間中、毎日車内広告を見ることになる。この反復性は利用者の記憶、認知を高めるのに役立つだろう。

まとめ

車内広告は一枚単位で考えれば1000円未満で作ることが可能であり、毎日200万人以上の人の目に入る。さらに他の広告と比べても独自のメリットを備えている。そして何より、単調な移動時間のスパイスとして、車内広告は多くの人にこれからも愛され続けていくのではないだろうか。

参考資料:
http://www.mobile-research.jp/investigation/research_date_091217.html
http://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2010-2014.pdf
http://www.jeki.co.jp/transit/mediaguide/pdf/jmg_ml_026-029_tm2.pdf
http://markezine.jp/article/detail/20445
http://www.jeki.co.jp/transit/mediaguide/pdf/jmg_ml_030-032_tm3.pdf

この記事を書いた学生ライター

Osamu Saito
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