「”上司の首をはねる”活きのいい新卒が欲しい」DMM亀山会長x松栄社長スペシャル対談

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レンタルビデオ店にはじまり、現在は動画配信、FX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタ、IOT、ロボット、VRシアターと多岐にわたる事業を展開している株式会社DMM。創業者であり現会長の亀山敬司氏と社長の松栄立也氏にインタビューを行った。後編となる本稿では、松栄氏から見た亀山会長について存分に語ってもらった。



DMM松栄社長から見た、亀山敬司



「”上司の首をはねる”活きのいい新卒が欲しい」DMM亀山会長x松栄社長スペシャル対談


—— 社長の松栄さんから見て、亀山さんはどんな方ですか?

松栄:私が入社する時「お世話になります」と言いにいったんです。すると、女の子がお茶を持ってきてくれたんですけど、その途端「今、こいつは仲間になったからお茶は要らん!」と言われました(笑)。それが強烈な最初の印象でしたね。


あと、撤退するスピードがやたら速いんですよ。仲間が徹夜して準備して「明日オープンするぞ!」という時に「他社がやりだしたから、やめるわ」といきなり言うんです。「どれだけ努力したと思っているんですか!」と怒るわけです。それでも平気で「ダメ」と言って、うまくいかないと思ったら事業をすぐ切ることができる。それが正解だったんだなと、後になって気付くんです。


ここが、私は冷酷な「亀山敬司」という人間の一番の強さだと思っています。


亀山:みんなやっぱり、自分がやってきた仕事に愛着がうまれるじゃない。 だから、辞めようという選択はまずないの。でもよく考えたら「最後には負けちゃうよね?」と途中で気付くことがある。となると、オープンしてしばらく経ってから閉じるのでは、傷が深くなるんだよね。腹は立つけどしょうがないという(笑)。だから、何事にもあんまり執着を持っちゃだめ。


松栄:役員は全員、会長に何回か殺意を持ったことがあると思います(笑)。あと、「会長が会社をやめる時は役員の引き連れて辞める」という話をさっきしてましたけど、俺らは喜んで付いていくと思うんですよ。


たとえゼロからのスタートでも、3年後にはビジネス的に何かで儲かっているはずなんですよ。なんたって会長は最初が露天商だったので、客の動きをちゃんとわかっている。私は色々な経営者を見てきたけど、会社がそこそこ大きくなってくると、どんどん外が見えなくなってくるんです。一時期、今からスマホの時代だから、「社員全員にパソコンで仕事をするな。スマホで仕事しろ」と命令を出したことがあったんです。流石に誰も言うことを聞きませんでしたが(笑)。


それこそ1998年に私が入社した時、電話で何でも済まそうとしていたのに「いや、今から電子メールの時代です」と会長に言ったら、一週間後に「電子メールのレスが来ないんだけど!」と怒りの電話がかかってきましたから。タイピングすらできなかったはずなのに……ここぞと思った時の勉強力はすごいなと思いますね。


あと時代の変化の起点となるようなデバイスが出る時は勘が働くらしくて、iPhoneの操作もすぐに覚えていたんですよ。LINEも最初の頃からバンバン使っていて、すごく若者目線。高校生がもし権力を持ったらこうなるんだろうなって。


亀山:全部awabarで仕入れたネタだからね(笑)。


—— ちなみに亀山会長がiPhoneでよく使うアプリは何ですか?


亀山:最近はずっとNewsPicks見て、コメントしてるね(笑)。

DMMが新卒採用に力を入れる理由


松栄:あともうひとつ、一緒にラスベガスに行った時に、会長はずっと賭け事をしていて。「もう部屋に帰っていいですか?」と聞いたら、「ちょっと待て」と言って200ドルくれたんですよ。それを軍資金にして賭けたら、30分でいきなりそれが1000ドルになったんです。嬉しくなって報告に行ったら、「良かったな! 800ドルよこせ!」と言われて(笑)。


これはどういう考え方かというと、何かビジネスをする時に、例えば200ドル、最初の部分は出してやると。失敗しても文句は言わん。けれど、成功した分は全て私のモノだって(笑)。


亀山:暇って言ってたから、やらせてあげただけだからね(笑)。


松栄:逆に言うと、こんなに投資やビジネスチャンスを貰える場所にいて、利用しないうちの社員は、もったいないなと思いますね。あんまり冒険したがらなくなってくる。だから、亀チョクができたんですよね?


亀山:そうだよね。何となくチャレンジする意識は薄くはなってきている。中途で入ってくる人は、どうしても「何かをやりたい」というよりも、助っ人として来ているわけ。「これはやります。決められたことはやります」という自分に与えられた仕事だけをやる人が、結構多くなってきちゃったんだよね。


だから、新卒で「とにかくやらせろ!」という意気のいい奴を入れる。若いやつらに刺激を受けて、上のやつもしょうがないからやるようにならないと、先が無いなと思う。新卒採用に力を入れているのはそういった理由だね。


松栄:会長が昔、ビデオレンタル店を経営していた時代の「人を採る基準」何だかわかりますか?「こいつは金を盗むか、どうか」で採用していたんですよ(笑)。


亀山:今は大卒の真面目な奴が入ってくるから、そこはクリアしているわけよ。だから、今の俺たちはすごく幸せなの。ただその分、真面目だけどおとなしい子が多いよね。みんな、野心や野望がないよね。それが進化と言ってしまえば、そうかもしれないけど。


—— アフリカにいきなり行ける新卒が欲しいと。


亀山
:アフリカ行けるやつは、世界中どこへでも行けるからね。将来ちゃんと海外展開もして、会社を引っ張って、俺たちを食わしてくれるように、もっと言えば俺に「もうそろそろ辞めてもらえませんか?」と引退宣告をしてくれるような奴に来てほしいなと(笑)。


そういう意味では、エロを基盤にしていると「そんなかっこ悪いことやりたくないです」という人は来ないから、逆にやりやすいのかもしれない。エロをやっている会社でも入るとか、どこでも行きますというタフなやつの方が、今度は芸能事業をやるよとか、農業をやるよと言っても、取り組めるじゃない。


それだけでそいつの価値があるよね。すごく柔軟に「何でもありまっせ」という楽しさがあったほうが生き残っていきそうな気がするんだよ。今はいい子が多いんだけれど、そこにもうちょっと自分の考えや「やりたいこと」がほしいだけなんだよね。

亀山会長の次なる野望



——では、亀山会長には次なる野望があるんですか?

「”上司の首をはねる”活きのいい新卒が欲しい」DMM亀山会長x松栄社長スペシャル対談


亀山:次の野望は、今みたいに「ほぇ~」とやっていることだね。


松栄:そういうところがダメなんですよ!ごまかさないでちゃんと言わないと。よく「将来、学校をしたい」という話をするじゃないですか。


亀山:ああ、学校ね。それは野心じゃなくて、趣味だよ。


松栄:カッコいいこと言いますね(笑)。


亀山:結局、人とやり取りをすることが面白いんだよね。大人とか大学生は結構汚れちゃってるじゃない?(笑)。


若い子の方が、色々素直だからね。中学でも高校でも良いんだけどさ、頭の固い大人と話しているよりも、若い学生と話している方が、個人的には面白いんだよね。吸収力もあるし、感性も凝り固まってないから「こんな風に思うんですよ」というレパートリーがあるじゃない。一方で、大人は似たり寄ったりな考え方になってきて、話してても面白くない。

—— なるほど。本日はありがとうございました。最後にco-mediaの読者に向けてメッセージを頂ければ。


亀山
:「悩んでないで動け!」だね。やっぱり動かないと、世界は変わらないよ。


前編:「やるか、やらないかだけ」DMM亀山会長が語る、インターネットで成功した理由と、”アダルト”の次を担う新しい事業とは?


亀山敬司氏

DMMグループ会長。石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めた成り上がり実業家。現在は、動画配信、FX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタ、IOT、ロボット、VRシアターと多岐にわたる事業を展開している。


松栄立也氏
石川県金沢市生まれ。石川県立金沢二水高等学校を経て、1989年明治大学商学部卒業。1998年、当時多数のアダルトビデオ制作会社を傘下に持っていた北都の通販用サイト会社「デジタルメディアマート」を創立。最近では角川書店との協力によるソーシャルゲーム「艦隊これくしょん」の大ヒットや、まだ無名だったころのAKB48の劇場公演の配信など、FX事業、太陽光発電事業、3Dプリンターなど、さまざまな分野に進出している。

この記事を書いた学生ライター

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