こんにちは!スウェーデンからTammyがお届けします!
今回は物議を醸すであろうテーマ、「ジェンダー」についてです。
先日、ヨーロッパ諸国全土で衝撃的な映画が公開されました。The Danish Girl(邦題:リリーのすべて)という映画です。舞台は1930年代のデンマーク。
女性としての自我に目覚めた一人の男性が、世界で初めて性転換手術に挑むという、実話をもとにした話です。まだセクシュアルマイノリティという概念が世界的にも認められておらず、その存在自体が忌み嫌われていた時代に、トランスジェンダーである自分と向き合い女性として生きることを試みた男性の壮絶な人生に、私は衝撃を受けました。
この映画は非常に過激なタッチで描かれています。事実、世界6か国で上映禁止になっています。実話であるがゆえのリアルさもあり、個人的には観終わった後に大きなショックを受けました。しかし、一人でも多くの人に見てほしいです。
そして、ジェンダーについての誤解や偏見を少しでも払拭できたら、という思いでこの記事を書きました。
みなさんはジェンダーに関する話をどの程度ご存知でしょうか。私が感じる限りでは、日本においてはまだジェンダースタディは主流ではなく、LGBTをはじめとするジェンダーマイノリティの人々に関しては偏見が抱かれることも少なくはないと思います。例えば、「ゲイ」というと「おネエ」として芸能界で活躍している人々がすぐ思いつくために、女装をして女性言葉を使っている人が真っ先に思いつく。日本ではそのようなイメージが誇張されているように思われます。
LGBTとは、いわゆるジェンダーマイノリティと称される人々の頭字語です。L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)を意味しています。
LGBは性的指向に関する言葉であり、Tは性自認に関する言葉です。誤解されがちですが、トランスジェンダーは性的指向のあり方とは無関係です。また、I(インターセックス=男性と女性の両者の性的な特徴と器官がある人)を含めて、LGBTにIを加えたLGBTIという表現もあります。
スウェーデンでは、社会全体の雰囲気としてジェンダーによる線引きをしたがらない雰囲気を感じます。
例えば国の政策として、男女の労働賃金格差が非常に少ないという点があります。これはEU諸国全体を通して取り組まれていることでもあります。を見ると、スウェーデンは約15%、また、EU平均でも約17%であるのに対し(2013年)、日本は未だに約30%の格差があります(2012年)。その他にも、管理職にいる女性の絶対数が多い、育児休暇は男性も女性も平等にとることができる等、男女の平等を堂々と掲げています(Gender equality in Sweden)。
交友関係においても男女関係のない付き合いが普通です。日本では「男女の友情は成立するか」という話題があがりますが、スウェーデン人からは「友情に男女なんて関係ない。恋人がいるから異性の友人を持てないという考えもよく理解できない。」というコメントをもらいます。
また、公的な書類や登録の際に記入するジェンダー欄には、「男」「女」に加えて「その他」という区分が正式に設けられています。Sweden's new gender-neutral pronoun: Henによると、2012年にはスウェーデン語の辞書にhan(he)とhon(she)の中間であるhenという名詞が正式に取り入れられました。人々の意識は、男女平等(gender-equal)から男女中性(gender-neutral)という方向にシフトしているのです。
私自身、スウェーデンでいわゆるセクシュアルマイノリティと称される友人に出会いました。彼/ 彼女らについて思ったことを少し書こうと思います。
こちらで出会った友人で、ゲイの友人たちがいます。本人もイケメンですが、彼氏もイケメンです(笑)いつも明るくて、時々披露してくれる日本語が礼儀正しくて可愛らしいという一面もあります(笑)
彼らは女装は趣味ではありません。あくまでも彼らの性的趣向が男性であるというだけで、女装をしたり女性言葉を使ったりというような暗黙のルールも共通の理解もありません。彼らにとっては、自分がゲイであることをわざわざ周囲に認識してもらう必要はないのです。また女性側の意見として、恋愛対象として見られることがないから煩わしさがなく友人としての関係を楽しめる、といった意見もあります。
また、男性だった過去を経て女性として生きている友人もいます。彼女は名前も女性名に変え、服装も女性の格好をしています。彼女は本当に優しく素敵な友人で、日本的な表現を使うと、私よりも女子力が高いです(笑)怠け者の私のために夜ご飯を作って食事に誘ってくれたり、手作りお菓子をごちそうしたりしてくれます。
最初は戸惑いました。なぜなら外見や声で少なからず男性的な面が見えてしまうからです。しかし、仲良くなっていくにつれて、表面的な要素は問題にならない、してはいけないということに気付きました。スウェーデンでは、個人の生き方は尊重されるべきという考えが広く受け入れられていて、ジェンダーマイノリティの人々に対しても周囲が気に掛けることはありません。自分の生き方は自分で自由に選ぶべきであり、第三者がとやかく言うべきことではない、ということです。
日本でもだんだん変化が訪れており、ジェンダーマイノリティに関する認識が広まってきているように感じます。
2015年4月、タレントの一ノ瀬文香さんと女優の杉森茜さんが結婚式を挙げました。彼女たちは、芸能界で初の同性婚を行ったカップルとして話題になりました。
しかし、「婚姻は両性の合意に基づくもの」とされている憲法24条を理由に婚姻届けは受理されませんでした。よって二人は戸籍に関係する夫婦になったわけではありません。しかし、カップルとして堂々と表舞台に立てるようになったのです。そして、二人のように、正式な婚姻関係が認められなくても結婚式を挙げる同性のカップルの数は増えてきているそうです。
また、この流れからか2015年11月5日には、渋谷区で「パートナーシップ」を認める証明書の交付が始まりました(HuffPostより)。パートナーシップは同性婚とは異なるものですが、夫婦に認められる一部の権利が同性のカップルにも認められるようになりました。
まだまだ公的な権利や位置づけ、扱いや権利に関しての壁は厚く残りますが、これを機に壁が薄くなっていくのではと期待しています。
出典: http://wakaru-news.com/blog-entry-75.html
性別はいわばタグのようなものだと思います。性別のタグを外せばみんな同じ「人」なのです。「男だから」「女だから」という風潮はもはや過去のものになりつつあります。物事の見方や定義は常に変わっていくのです。そして私たちはその変化に柔軟に対応していかなければいけません。
みなさんはどうお考えでしょうか。
2015年8月から2016年6月までスウェーデンに交換留学してます。 写真を撮るのが趣味です!インスタグラムはこちらをご覧ください: p0mm0p