若者よ、日本が潰れても世界で戦える能力を身に付けろ。夏野剛氏が語る、そのために必要な“2つのソウゾウ性“

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iモード生みの親とし日本のインターネット業界をリードしてきた夏野剛氏。現在は慶應義塾大学で授業を持つ傍ら、多くのIT企業で取締役を勤めている。大学という場で学生と接し続けている夏野氏に、いまの教育に対するリアルな感想や、これからのキャリアの歩み方について話を伺った。

「好き」と「得意」の違いは、カネになるかならないか

夏野さん、はじめまして。co-mediaを運営する株式会社Traimmu代表の高橋と申します。本日は教育や、これからのキャリアの歩み方についてお話を伺おうと思っています。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

早速ですが、夏野さんってゆとり教育賛成派ですよね?

はい。更にゆとり教育を推し進めるべきだと思っています。ゆとり世代は、自分で何か好きなものや得意なものを見つけないと、時間を潰せないように生きてきているので。自分で何かを見つける能力に長けている人が多いんですよね。

僕は学生起業していて、よく学生から「自分のやりたいことが見つけられない」という相談を受けるんです。好きなことってどうやって見つけたら良いと考えられますか?

「好きなこと」というのは、普通の好き嫌いとは違うんですね。「好きなこと」は、結果として好きか嫌いかなんです。例えば、編集の仕事を、最初から編集の仕事というのを聞いている限りにおいて好きになることなんて、ないじゃないですか。やってみないとわからないので。やってみると何がわかるのかというと、やってることが苦しくない。やってると時間を忘れる。これが「好きなこと」なんです。

そういったものは、子どもの頃から何かしらあるんですよ。例えば漫画を読んでることが好きで、将来的に漫画の編集者になるかもしれないじゃない。ゲームばかりやっているのはだめと、親は子どもによく言うんだけど、熱中しすぎて1番になったらそれはお金になりますよ。

では、好きなことを得意なことにするには、どうすればいいですか?

何かに熱中して取り組んでいると、周りが「お前、凄いな」と言い出す時がくるんです。これが、好きなことと得意なことがリンクする瞬間。その時にはじめて、「好きなこと=向いてること、得意なこと」になる。これは3ヵ月の間、そのことに取り組めばわかります。なので、好きで得意なことを探すには、片っ端からいろいろやってみるのが大切なんです。

他人から「凄いね」って言われた瞬間に得意になると。

そう。得意になるということは、つまり、金になる。

他人から評価されるから、お金になると。

他人から評価されるということは、価値を認められたってこと。つまり、金になる。「他人からの評価はどうでもいいんだ、自分が満足できてればいいんだ」という人もいるんだけど、生きてく術を教える大学の先生として言うと、これはだめなんです。やっぱり、人が評価した瞬間にお金にできるので、それで食っていける。人がすごいとは言わないけど、自分が凄いと思ってることは趣味の範囲。趣味と実益をわける基準は、「人から評価されるかどうか」だけですね。「得意」と「好き」をあえてわけているのは、得意はお金になる、好きはお金にならなくてもかまわないからですね。

年上の世代と、無理に分かり合わなくてもいい

なるほど、他に最近の学生の特徴ってありますか?

なんだろう。人と違うことをやっていても、今の若い人はあまり恥ずかしいと思わないことかな。団塊世代以降の日本人は、人の顔色をうかがっている傾向が強い。例えば、音楽は、みんなが聞いてるから私も聴いている。今の若い人はそうではないから、ミリオンセラーなんてもう出ない。これは非常にいいことで、21世紀には「人が何をやっているか」をあんまり気にしない人にチャンスが回ってくる。なぜかというと、自分でやる気があればいくらでも情報は手に入るし、いくらでも情報発信できる。人が何をやってるかなんて、関係ないんですよ。

ただ、何かをするにあたって我々20代が年上の方を巻き込んだり、説得したりしていかければいけない場面って出てきませんか?

それは目的を割り切ったほうがいいです。お金を出してもらいたいんだったら「お金を出してくれれば、これだけあなたにメリットがあります」という事実を淡々と言うしかない。年長者にはよく「お前ら若造が……」とか、年齢を差別要素にしたい人がいるんですよ。こういう人とはなるべく接触しないほうがいい。学ぶことが何もないです。性別、過去の経歴、出生地、年代を理由にしようとする人や、「年寄りは大事にしろ」と言う人とは分かり合えない。そういうことをあまり言わない人とだけ、仕事していけばいいと思う。

よく日本の画一的な教育の中で、「自分と合わない人とこそ、付き合え」ということを教えているケースがあるけど、僕は逆ですね。苦手な人、馬の合わない人と、何時間、何回、お酒を飲んで話しても、おそらく分かり合えない。時間の無駄なので。分かり合える人、理解を示してくれる人とどんどんつき合って、信頼関係を作ったほうがいいんじゃないですか。

教育における2つのソウゾウ性

話を戻すと、教育は好きなものを見つけるためのプラットフォームにならなければいけないわけですね。こうした変化が起きているはなぜですか?

そうだね。背景にあるのは、IT技術の発展とAIです。まずITがこれだけ浸透してくると、検索で何でも知ることができて、誰でも情報発信ができて、仕事も効率的にこなせるようになる。つまり、効率革命、検索革命、そしてソーシャル革命が同時に起こっているわけです。この革命が起きて何が一番変わったかというと、組織と個人のパワーバランスなんです。組織に属してないと何かの専門家になれない、あるいは何かの仕事ができないという時代は終わっていて、個人でも組織に所属している時と同じように仕事ができるし、情報も入ってくるし、発信もできる時代になってきた。

なので過去の経験を学ぶには、ITの力で事足りるんです。調べたり、人の体験記を読んだりすればいいだけだから。じゃあそこで、どういった能力が重要になってくるかというと、新しいアイディアを思いつくかとか、何に気づくかといった能力です。僕はこれを2つのソウゾウ性と呼んでいて、イマジネーションの想像性と、クリエーションの創造性。この2つのソウゾウ性をとことん鍛えたほうが、これから先、生き残れると思います。

もうひとつはAI。暗記系のものって、もともとコンピュータ強いですよね。これからはディープラーニングなどの技術発展で、コンピュータができることの範囲が広がってくるわけです。そうすると、人間がコンピュータに負ける可能性が出てくる。なので、アートやスポーツを通じて何か表現することであったり、あるいは何か新しいことを常に考え続けることであったり、2つのソウゾウ性を磨き上げていかないと、AIに追いつかれてしまう。なので、21世紀に生き残れる人材を作るために、教育は好きなことに出会えるプラットフォームであり、色んなことを試せる場でないといけない。

それを実践するために始めたのが、N高等学校ですか?

そう。だから卒業に必要な単位は、効率よくITを使って、オンラインでいくらでも学べる。例えば大学受験を目標にするのは一見、受験競争の極地みたいに見えますけど、しかしそれをゴールにしたいと言う人がいたら、それはひとつの目標なので、それを叶えるためにN塾があり、代ゼミがそのコースを作ってくれています。

でもそれだけではなくて、農家に入ってみるコースがあったり、オンラインでは学べないプログラムの提供している。オンライン、オフラインともに色んな機会を提供して、自分が今まで思ってもみなかったようなことと出会えるチャンスをつくっている。

人工知能に仕事を奪われないために、意識するべきこと

わかりました。先ほど、人工知能やAIといった話が出てきました。「人工知能が仕事を奪う」というような議論だ盛んに行われていたと思うんですけれども、これから社会に出ていく学生はそういった時代にどうキャリアを歩んでいけばいいんでしょうか?

キャリアを選ぶ必要はなくて、その都度新しい気づきをするとか、新しい発想を出せるかどうかだけなんですよ。キャリアなんて、どうでもいい。将来なくなる仕事に勤めていたって、いいんです。むしろ、そこでどういう仕事をしてきたかが大切なんです。「新しいものを生み出す力」や「何かに気づく力」が大事で、それは何の職業に就いてたって身に付けることができますから。

先ほどの2つのソウゾウ性を意識して働くということですね。

例えば、何かやらなければいけない仕事がある時に、「どうしたらもっと効率的になるか」と考えることが想像でしょう? 従順に受け入れるだけだったら、機械に取って代わられるよってこと。

夏野さんは今、慶應大学で学生を指導していると思うんですけれども、どういうふうに2つのソウゾウ性を教育として実践しているんですか?

グループワークをすごく大事にしている。自分では解決方法を思いつかないことでも、グループで議論していると解決方法が出てくることを経験してほしいんです。

小さな成功体験を学生に感じてもらっているわけですよね。

成功というほど金銭的になにか見返りがあるわけではないのだけど、自分が想像もつかなかったようなアイデアが誰かから出てくる経験をしてほしくてやっています。

先輩の言うことを聞いてはいけない

なるほど。最後の質問ですけど、今、夏野さんが注目してる世の中の動きを教えてください。

ぼくは2020年がひとつの節目だと思っているんですね。日本は、IT技術の発展やAIの進化といった環境の大変化を活かせる側にいくのか、それともそれを活かす国にやられてしまうのか、その瀬戸際に立っているのが今だと思う。

日本は技術の面では良い蓄積がいっぱいある。一方で、日本はこの20年間、経済成長がほとんどできてなくて、本当に日本のことを考えて行動するリーダーより、個人的利害や短期的な目線で物事を判断するリーダーが、政治経済の分野には多い。

昔のほうが経済団体や経営者に「この会社を10年後にはこうしたい」というビジョンをもって経営してる人が多かった。今はそれよりも、今年や来年の業績をどうするかしか考えていない。なので、2016年から2020年までの間に、きちんとビジョンを持って日本を再成長させる方向にいくようになればいいなと、すごく願ってます。

そういった人や、ビジョンのある企業を増やすという意味で教育はすごく大事になるわけですね。

それは長期的な視点で見たら、非常に重要です。でも教育の話で言うと、日本がだめになっても、若い人だけが生きていければそれでもいいとも思っている。日本が老人のためにつぶれていっても、生きる力を持っている若い世代が海外に行ってきちんと活躍すれば、それはそれでいい。日本のため、企業のための教育はいらない。教育が、その人たちが生き抜く力を強くするためのブースターになれば、それでいい。だからもうどうしようもなかったら、国を捨てればいいんです。どこにでも住めるし、国籍もとれるんですから。

2020年までは、でもまだ日本が変わるチャンスがあると。

2020年を超えると、急速に人口も減るし、高齢化も進む。オリンピックが終わると急速にみんな冷めますからね。だから今から2020年の間に、どっち側にいくかということじゃないですか。それがこれからの日本の50年を決めちゃう。

わかりました。最後に学生に対するメッセージをいただければ。

「先輩の言うことは参考にするな。自分の頭で正しいと思うことを考えろ」ですね。もう少しキツく言うと、「先輩の言うことは聞くな」でもいい。心は聞いたふりして、参考にするなと。これは、僕が担当している授業で、最後に学生に言ってる言葉です。過去の成功体験は、新しいテクノロジーが社会を変えつつある時代には何の参考にもならないので、自分の頭で考えて正しいと思うことを実行するのみ。

逆に失敗経験というのは?

それも参考にならない。成功も失敗も参考にならない。自分で失敗して初めてわかるんです。

本日はありがとうございました。

夏野剛さん

1988年早稲田大学政治経済学部卒、東京ガス入社。95年ペンシルバニア大学経営大学院(ウォートンスクール)卒。ベンチャー企業副社長を経て、97年NTTドコモへ。99年に「iモード」、その後「iアプリ」「デコメ」「キッズケータイ」「おサイフケータイ」などの多くのサービスを立ち上げた。現在は慶應大学の特別招聘教授のほか、カドカワ、トランスコスモス、セガサミーホールディングス、ぴあ、グリー、DLE、U-NEXTなどの取締役を兼任。

この記事を書いた学生ライター

Keiji Takahashi
Keiji Takahashi
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大学一年次よりスタートアップに興味を持ちアプリ開発/ベンチャーでのインターンシップを経験。 現在、学生の視野を広げるco-mediaとインターンシップから築く新しい就職の形InfrAを運営する株式会社Traimmuの代表。 サッカー観戦とジム通いが趣味。

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