支持されるサービスのコツは、普遍的な課題解決にアリ! SOV荻田CEOが注目した、ファッションにおける”ある課題”とは?

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荻田芳宏(おぎた よしひろ)さん

株式会社STANDING OVATION 代表取締役CEO。早稲田大学卒。1999年に株式会社博報堂に入社。事業プロデュース局にてイベントプロデュースやプロモーション企画に携わる。その後、キャスティング局ミュージックエンタテインメント部では、アーティストやタレントの広告キャスティング、CM音楽タイアップ等を担当。2007年、ネットベンチャーのスタートアップに参画。モバイルコンテンツサービスのプロデューサーの後、取締役COOを務める。2014年1月、株式会社STANDING OVATIONを設立、代表取締役CEOに就任。



「ルーティンワークじゃつまらない。生の声に応えたい」

――荻田さんの大学時代からまずお伺いしようと思います。どういう学生時代を過ごされましたか?

荻田氏:テニスコーチのインストラクターを長くやっていました。一つの場所に限らず、いろいろなスクールを掛け持ちしていました。毎回、相手によって、場所によって、レベルによって、90分の中でオリジナルのメニューを考えて、レッスンという作品をプロデュースできる点が楽しかったんです。

――毎回相手の視点に立って、レッスンを創っていたんですね。その後、新卒で博報堂に入社……?

荻田氏:はい。入社後はイベント事業部に所属していました。インストラクターのアルバイトとの共通点は二つありました。

1つ目は、オーダーメイドであること。個々のキャンペーンのどれをとっても、クライアントのニーズによってコーディネートするわけで、まったく同じ仕事は無い。毎回毎回違うんです。ほとんどの仕事ってルーティンになりやすいじゃないですか。でも博報堂での仕事は、毎回課題が変化してターゲットが変化するから、その掛け合わせで、同じことは二度と起きないんです。そこの変化が楽しい。インストラクターのアルバイトで、90分という制限があって、相手がいて、最適なレッスンをプロデュースすることにすごくやりがいを感じていたし、それをある程度自分の強みにできたんですね。そのアウトプットは、レッスンなのか広告ソリューションなのかという違いはあれど、本質的なプロセスが近いのかなと思いました。

2つ目は、リアルタイムでレスポンスできること。広告にはイベント以外にも仕事はありますけど、例えばメディアだと、生のユーザーの声はわからないじゃないですか。営業を通じても、キャンペーンを通じてもわからない。でもイベントは、その現場にお客さんが来て、商品と接点があって、そこを演出しているので、リアルタイムでレスポンスがわかるっていうところが、非常に楽しいなと思いました。

――なるほど。その後ネットベンチャーのスタートアップに移られて、そこではどういうことをされていたんですか?

荻田氏:当時モバイル・コンテンツサービスが伸びていたので、広告じゃなくモバイル・インターネットでエンターテイメント・コンテンツを扱って、ユーザーの潜在課題に対して、ニーズを先回りするっていうことは、できるのかなと思っていたんですよね。それで、モバイル・コンテンツサービスのプロデュースという立場の仕事を選びました。

――独立に至った背景は何でしたか?

荻田氏:博報堂で感じたのは、大きなクライアントになればなるほど、メディアだけ担当するとか、セールスプロモーションだけ担当するとか、どうしても分業化してしまうんです。そうすると「課題が毎回違うことによって、アウトプットも変化する」仕事になるはずが、大手であるが故に細分化して、ルーティンワークになりやすいんですよ。

同じように、2社目はベンチャーではありましたけど、親会社を含めた中の、グループ会社の子会社という立ち位置だったんです。なんかこうスピード感が無いというか、なかなか決裁が進まないとか、グループ全体の方針もありますし。要は親会社と足並みを揃えた戦略しかとれないっていうのが、ストレスでしたね。

「着回し×テクノロジー」で新しいファッションの当たり前をつくる

――独立して事業をつくるにあたって、「女性のファッション」に注目した理由は何ですか?

荻田氏:マーケットの規模が男性よりはるかに大きいし、女性のほうが「毎日同じ服は着たくない」という気持ちが強いと感じていました。結局、洋服はいっぱい持っているのに「着る服がない!」とか、何十年も変わらない普遍的な課題があると思いました。そういった課題をテクノロジーで解決できれば、女性の日常生活にうまく入り込めるのかなと思ったんですよね。

――その延長線上として、「着回し」をテクノロジーの力で変えるという発想に至ったのですか?

荻田氏:女性誌の「着回し」というビックワード自体には、ずっと注目していたんです。「着ていく服がない」とか「明日何を着ようかな」とか「同じ服を着ていると思われたくない」というのは、要は1つの手持ち服を有効活用して何通りにも着る「着回し」の悩みじゃないですか。限られたアイテムをどう有効活用して、バリエーションを違うふうに見せるのか。女性ファッションにおいて、普遍的な課題は着回しであると考えました。でも「着回し」は雑誌の世界にしかないんですよね。他のサービスは、コーディネートをただ単体で見せていくものばかりで、「着回し」を解決しているものはなかったんです。なので、それが実現できたら大きなチャンスがあるかなと思いました。

――最終的に、センスや個性を広げていくことをミッションとしているのですよね。

荻田氏:はい。センスって、自分ひとりではなかなか広がらないじゃないですか。どうしても自分の感覚の枠組みの中でワンパターンに完結してしまう。でも、「XZ(クローゼット)」のようなアイディアを交換するコミュニティがあることで、視野が広がって刺激を受け、その人の個性やセンスが広がると思っています。なので、当社STANDING OVATIONは「テクノロジーで、新しい感性を。」をテーマに、ファッション体験を新しくアップデートして、おしゃれを楽しむ全ての人を応援するというスローガンを掲げています。

「クローゼットを持ち歩く」文化を創りたい

――生活に溶け込んだ文化を創りたいと思ったきっかけは、どこにあるのですか?

荻田氏:コンテンツサービスは一過性で売れたり、盛り上がったりしても、すぐに終息してしまうじゃないですか。でも、普遍的な課題を解決するようなサービスはずっと続いていくわけです。そういうものの方が、付加価値がある、存在意義が高いのかなと思うようになりました。ずっと必要とされ続ける、ユーザーの生活のパートナーになり得るサービスができると、価値があるし、そういうものを「発明」したいなって思ったんです。

ただ、生活に密着しながらも、同時に新しいライフスタイルが創れるといいなと思っていて、僕らは「クローゼットをスマホで持ち歩く」っていうスタイルを確立したい。ウォークマンだって、音楽を持ち歩くという新しいスタイルの発明ですよね。クローゼットも、持ち歩けたほうが便利じゃないですか。外出先でも確認できるし、買い物するときにもそれを見ながら、ジャッジもできるし。みんなのクローゼットが覗けるのも楽しい。

――今はスマートフォン上のサービスということで、提供されてらっしゃいますけれど、今後の展開として、もっとリアルの場に進出することは考えていますか?

荻田氏:それでいうと2つあって、1つ目はショップ店舗との連携を図りたいなと思っています。ショップは商品情報を持っているので、そこと連携して、買った瞬間にその商品情報がスマートフォンの中のクローゼットに入る仕組みにしたい。そうすることで、ショップとユーザーが繋がって、Web接客というかクローゼット接客みたいなコミュニケーションも図れるし、そのリアル店舗の商品でコーディネートを提案できて、020で来店促進にも繋げられます。そのブランドのECサイトの商品も遠隔から提案できるし、「XZ(クローゼット)」を介して、Webも店舗も、限りなく「パーソナライズされた」コミュニケーションができるようになるのが魅力的ですね。

2つ目に、リアルなトランクルームや倉庫との連携も検討はしています。例えば今、冬物は必要ないので、トランクルームに預けることも可能じゃないですか。そこで、アイテムを登録するのが面倒くさい人は、僕らのサービス上でエントリーすると、トランクルームで預かるのと併せて、そのデータもこちらで登録代行してあげて、ちゃんとスマホ内で管理できれば便利だと思うんです。

――最後に、大学生に向けたメッセージをいただいてもいいですか?

荻田氏:「器用貧乏」にならないことです。能力が高い人ほどそうなりがちだと思うんです。ある程度優秀で賢いと、その人の実践力が比例していなくても場当たり的に何とかなっちゃうんですよね。でも実際に社会に出て、優秀な人はいっぱいいても、大成している人は一部じゃないですか。大成するのがいいことかどうかは別問題ですけど、大成したいとか、平凡じゃなく非凡な成果を出したいと思うんだったら、器用貧乏に陥らない意識を持ち続けて、泥臭く汗かかないといけない。優秀だから、なんとなくある程度までは上手くいっちゃうけれど、ウサギはカメに負けちゃうし、泥臭く死に物狂いでやってるウサギは絶対負けない。このことは、意識が高い人が陥りがちなので、そういう人こそ大切な心構え・気概だと思います。

この記事を書いた学生ライター

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