こんにちは。現在スウェーデンに留学中のTammyです!
こちらにきて早くも半年がたとうとしています。ヨーロッパでも「北欧」として位置づけられるこの国は、日本とはもちろんのことヨーロッパ本土とも違う文化を持ち合わせています。ということで、スウェーデンの文化を中心に、またヨーロッパとも絡めた文化・社会的な違いについてお伝えしていければと思います。
スウェーデンに来て様々な人と出会ううちに、家族や友人との過ごし方に大きな違いを感じるようになりました。そこで、習慣と文化、双方の違いを3つの興味深い視点から紹介したいと思います。
スウェーデンには、フィーカ(fika)と呼ばれる文化があります。これは、日本でいうところの、喫茶店等で「お茶をする」ことと変わりありません。コーヒーの消費量が世界第二位のスウェーデンでは、人々はよく喫茶店でコーヒーやスイーツをお供に、友人や家族との時間を過ごします。シナモンロールは伝統的なスウェーデンの食べ物で、フィーカのスイーツとして人々から愛されています。これだけ聞くと、日本での「お茶をする」文化と代わり映えしないように思えますが、フィーカという文化にはそれ以上の意味が含まれているのです。
では、フィーカとは何なのか。それを説明した一枚の写真を日本語訳してみました。
https://www.facebook.com/FikaSwedishKitchen/
「フィーカとは、『コーヒーや軽食をとるための休息』と訳すことができるスウェーデンの言葉です。しかし、実際にはそれ以上の意味があります。フィーカとは、リラックスするための時間であり、家族とゆっくり過ごしたり、友人と笑い合うための時間でもあります。また、プライベートを取り戻すための時間、もしくは、日常的な習慣の一部でもあります。もしくは、小さな現実逃避、リフレッシュするための休息とも言うことができます。フィーカとは、食事とは別の時間、そして目的地とは違う場所。フィーカの時間はいつでも存在するのです。」
スウェーデンの人々は友人や家族と過ごす時間を非常に大切にしています。勉強や仕事など、目の前のことに精一杯取り組むのも大切なことです。しかし、時には一旦立ち止まって昔の友人や家族、普段付き合っている友人とも改めて密に話す機会を持つことも重要だと思います。フィーカの文化は、日常の忙しさから逃れて、そんなプライベートを大切にできる時間であり空間なのです。
また、この文化は職場でも取り入れられているというから驚き。Is this the sweet secret to Swedish success? では、スウェーデンにおける多くの企業でフィーカの時間が労働時間と共に当たり前の時間・空間として受け入れられているとしています。社員同士の円滑なコミュニケーションの場になっているがゆえに、社風やビジネスのあり方についての社員からの率直な意見を聞くことができるのです。時にはこのリラックスした空間が最良のアイデアを生み出すこともあるとか。
企業側としても「個人」としてのやりとりを重視していることがうかがえます。
スウェーデンではライフワークバランスのあり方が全く異なります。家庭では両親共に働いている場合が多いのですが、それでも家庭と仕事の両立が成り立っているのです。例えばとある家庭では、母親の仕事は朝7-8時ころから始まり夕方4-5時の間に終わるために、帰宅後に家事や育児をすることが可能になるのです。仕事が4時半頃に終われば、帰ってから家族との時間を充分に持つことができます。世界で一番男女平等とされているスウェーデンでは、仕事に関する男女の不平等さも他国と比べて少なく、そのため女性も働くことが普通です。また、父親の育児参加も当たり前とされている現状も、至る所で感じることができます。例えば、公園で子供と遊んでいたり、道でベビーカーを押しながら散歩をしていたりする男性の姿を見かけることは日常茶飯事です。仕事だけでなく家庭も大事にするのがスウェーデンの常識です。その点も、家事や育児を担う男性がまだまだ少ない日本社会では考えられない現状だと思います。
また最近では、労働時間を一日6時間に減らそうという取り組みも促進されています。Sweden is shifting to a 6-hour work day によると、1日8時間労働というのはあまり効率的な労働時間ではないらしいのです。労働時間を減らせば、短時間で集中して仕事に取り組むことができ効率が上がる。さらに、家族と過ごしたり趣味に費やしたりできる時間も増える。よって、社員の幸福度が上がるという仕組みです。仕事によるストレスが減ることで健康を害する危険度も減るのは言うまでもないことです。これはまだ実験的な段階で、賛否両論もあります。しかし、自らのキャリアを考える上で興味深い視点なのではないでしょうか。
このようなスウェーデンの常識が示唆することとは、家族や友人、恋人と過ごす時間を大切にする、また、大切にすることができる環境が、文化の一部として形成されているということです。フィーカの例と同じように、人々は仕事もする中でプライベートの時間もきちんと作っているのです。
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人とのコミュニケーションの取り方にも違いが見られます。これはスウェーデンだけではなくヨーロッパ全体の文化として言えることですが、コミュニケーションを取るときには相手の目を見て話すことが基本です。日本だと、相手を見つめて話すことに違和感を感じる人も少なくはないと思いますし、文化としてじっと目を見つめるのは相手に失礼な行為だとされると思います。そのため、目の代わりに鼻や口元など目以外の部分を見つめることがマナーであるというのが、日本での通説だと思います。しかし、ヨーロッパでは逆に、話し相手の目を見ないことが失礼な行為なのです。
言葉、ジェスチャー表情でコミュニケーションを取ることはもちろん基本です。その上で、目も自身の感情や真剣さを表すのに欠かすことができないツールであるというのです。相手のを見つめることで、"自分はあなたに話しているのだ"という真剣さや誠実さを示しているのだそうです。もし真剣な話をするときにその人が相手の目を見ていなければ、その人は不誠実な人だと見なされてしまいます。そしてこの行為は、結果として他人であろうと恋人同士であろうと関係なく身近さや親密さを相手に伝えるのです。興味のある方は、実際の実験映像をご覧ください。
また、この常識は乾杯の時にも当てはまることで、グラスを鳴らすときには相手の目を見るのが礼儀だそうです。これは歴史上の習慣に由来するもので、相手が杯に毒を盛っていないことを確認し、その人物が信頼するに値するかを見極めるための習慣でした。それが今でも習慣として残っており、様々なシチュエーションで信頼や誠実さの証として用いられているのです。
2016年。新しい年の始まりに少し立ち止まる習慣を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
時には日常の忙しさから離れて、プライベートを有意義に過ごすことも大切ですよね。
2015年8月から2016年6月までスウェーデンに交換留学してます。 写真を撮るのが趣味です!インスタグラムはこちらをご覧ください: p0mm0p