みなさま、こんにちは。ウガンダから住岡です。いきなりですが、質問です。
アフリカの成長に、最も重要で、でも今のところ最も足りない「もの」はなんでしょうか?
教育?医療?農業?豊富な労働力??立派な政府?
いずれも安定した暮らしをするのには欠かせません。けれども、その前に絶対に用意しなければならないものがあるのです。
答えは……、道路と港なのです。今のアフリカは、隣国同士で陸路を使い、人やモノが頻繁に行き来するのは極めて難しく、隣国よりも日本から輸入したほうが安いなんておかしな現象が起きています。また、道路が整備されていれば防げるはずの交通事故の数々。病院や学校に行こうにも舗装された道路がなく、相当な時間を要してしまう。このように全ての根源である交通。そこで、今回は、2回に分けて、アフリカの交通の実態についてお伝えします。第1回目は、以前私が書いたすみVSウガンダシリーズ(ウガンダでの日々を写真とともに綴っています)をもとに、深く掘り下げられたらと思います。(参考:すみVSウガンダシリーズ#3)
それではお付き合いください!
(始)
ウガンダにも雨季が訪れ、断続的な雨で、心も晴れないこの頃。
さて、皆さんお待ちかね、なのかどうかは知らないが今回のテーマは、、
すみ VS これぞアフリカ?!
まず、この国の交通はカオスである。人や車、牛や鶏が縦横無尽に渡り歩く。
信号もなければ、横断歩道もない。ましてや、舗装された道路なんて、ほんの一部でしかない。
この日は大事な会議があり、ネクタイにジャケットで、意気揚々と15分早く家を出た。そして、いつ来るかわからない相乗りタクシー(日本で言うバス、TOYOTAのハイエース)を待っていた。
(あちー。暑すぎる。)
そんなことを思いながら待つこと10分弱。
プップー。プップー。
クラクションを鳴らし、近づいてくる車を発見。見ると、車はまだ動いているが、ドアから男が身を乗り出しこちらに合図する。
(やッと来た!!)
男「fdibl?:"&カンパラFa¥:」
訳わからない現地語から、カンパラ行きだと聞き取る。
(ムラゴ)
行きたい先を告げると
男「1500」
「オッケー」(25円くらいか)
交渉成立。この男はconductorと呼ばれ、運転手の代わりに、お金と客を集めるのが仕事である。
中に入ろうとすると15人乗りに、すでに16人。まさにすし詰め状態。定員オーバー。どうするつもりなのか。
しかし、男は乗れと言う。
言われるまま補助席にお尻を滑らせる。
そして、ドアを外から、押し込むように閉められた。
(暑い…。隣の人汗やベー。)
そう思っているうちに車は動き出す。
男はというと、車に掴まっていた。まるでゴミ収集者のおじさんのようだ。
それにしても、よく揺れる。10秒に1回チンさむロードを走っているみたい。だが、たまにくるタワーオブテラー。うん。悪くない。
そうこうしている間にタクシーが停車。(タクシーなので、指定ルートはあるが、どこで止まるかは決まってない)
(誰か降りるのかなぁ。めんどくせー。)
1番扉側にいるすみは、誰か降りるときは、必ず、一旦降りなくてはいけない。
2人降りた。少し広くなった、訳もなく、一つ後ろの補助席に移動できただけ。依然、すし詰め状態。
しばらくするとまた、下車する者が。
(だるすぎ。)
と思いつつ、降りなければと、席を立ち、段差に足をかけた瞬間車が動き出す。
《おっ!!!!!おっ!!!》
慌てる俺。幸いにも、車はすぐに止まる。
ん?!すると太ももの辺りに優しく冷たい風が…
(うん。涼しい〜悪くない。っておいい!!!)
まじか。こんなことあるのか。嘘だろ。と思いつつも太ももに手を伸ばすと、、
なんと、ズボンに穴が。
ちーん、、、
この後、歩いてオフィスまで行くが皆に、後ろ指を指される。
それはそうだろう。スーツにネクタイ、お尻破れている。なんとも滑稽である。
幸い怪我は無かったし、これで負けるの可哀想だから、今回もすみの勝ちにしよう。
上司に相談すると、3回経験積みだそうだ。これぞ、アフリカ?
(終)
●新車を買う余裕はない。最貧国のひとつ。平均年収は 300 ドル。ただし、首都カンパラで一流企業や政府関係に勤める人はその 10 倍以上。
●交通インフラが整備されていないので、移動の頼りは車かバイクしかない。
●ウガンダの人々は、日本人を見たことはないけれど、日本の車のことはよく知っている。
●日本からの輸出量は、2013 年は 2 万台強。アフリカでは、ケニア、南アフリカに次いで第 3 位。
ウガンダ人に、「ヘイ!チャイナ?」と言われ、そのたびに「ジャパニーズだ」というと目を輝かせて「わお!ジャパニーズか!!」「TOYOTA、 NISSANだろ!」と食いついてくる。それもそのはず。ウガンダを走る車の90%は日本車なのだ。
その中でも特に目立つのがTOYOTA車。オフロードを走る四駆、ミニバスとして使われるハイエース、そして意外とVitsなどの小型車も町を走っているのである。市民の交通手段である乗合のタクシー中古車も使っていることがほとんどであり、車体に○○工務店と書かれていたり、○○デイサービスと日本語が書かれている。中には、どう見ても手書きだろ!!という漢字とハングルが混ざっている文字もある。彼らにとって、それだけ『日本車』は魅力的なのだ。しかし、中古車なので、え、こんなボロボロでちゃんと走るの?と疑ってしまうくらいドアがガタガタであったり(ドアが閉まらないから抑えとけ!と言われたり)段ボールで補正されている座席に座ることも。1回どころか2,3回廃車になってるんじゃないかと思う。でも、不思議と走れるのだ。日本の厳しい車検は何だったのだろうか、、。
「車=日本」のとして広く認知され、日本車を褒めてもらえると誇らしい。
しかし、「車=日本人」と思われるとそれは少し違ってくる。
ウガンダに着いた初日。いきなり同僚から「車を買いたいんだけど税金が高くて。君は日本人だから安く買えるだろ。お金は出すから日本帰ったら送ってくれないか?」と言われ、新しく来た奴は日本人らしいぞ、と広まったのか、わざわざ僕のデスクまで来て「日本人なの!?私の車、Bluetooth聴けなくなっちゃって。見てくれない?」と頼まれたり。
何でも、海外用の新車を買うとものすごく高いため、インターネットや中古車販売店を通して日本の中古車を買うことが多いらしい。色んなそのため説明書やオーディオ機器が全て日本語表記となり、何かあったら日本人に聞いてみようかとなるのだ。
極め付けは、これである。いきなり、同僚の友達から電話が来て、『妹の車が故障したみたいで、今〇〇通りにいるんだか来てくれないか??』
んー。僕にどうしろというのだろうか。(笑)
車についてあまりにも聞かれて正直うんざりすることもあります。しかし、日本人として、求められることがそこにあるなら、少しでも勉強するべきだとも感じています。
冒頭でも書いたようにアフリカの発展に今一番不足しているのは物流インフラです。
なぜ物流インフラの整備が、医療や教育や農業以上に重要なのか。
市場経済の仕組みをつくりあげるよりも先に必要なのか。
アフリカの地図を眺めると、その理由がはっきりわかります。
アフリカは国の数も多い。その数54。アジアの48カ国、ヨーロッパの50カ国を上回り、一地域としては最もたくさんの国があります。
しかもアフリカには海のない国が多い。54あるアフリカの国のうち、海を持たない内陸国がいくつあるか。なんと16カ国もあります。東アジアと東南アジアで内陸国はモンゴルとラオスとネパールとブータンのたった4つ。世界の内陸国44カ国中16カ国と、36%がアフリカに集中しているのです。
殆どの国が海に面し、人やモノの流通が容易なアジア諸国に比べ、土地が広く国の数が多い。しかも内陸国が多い。アフリカ。アジアの発展地上国と比較して圧倒的に違うのはそこです。
これが何を意味するのか。
それは、物流網の整備が経済成長のカギを握っている、ということを意味します。2014年のGDPランキングを見てみるとナイジェリア、南アフリカ、ケニアなど、上位10か国はすべて海に面しており、貿易港を持っています。
しかし、海を持たないアフリカの多くの国では、自動車に物流も人の移動も頼り切っている。ところが、その自動車が走る道路整備が非常に遅れている。結果、アフリカの生活や社会や経済の大きな停滞要因になっているのです。
道路=物流網は、国という身体にとっていわば血管です。すばらしい身体を持っていても、血管がつまったら壊死してしまう。これは、そのまま道路と国の関係にも当てはまります。
移動手段が確保されていないと、あらゆる商品、あらゆるサービスの輸送費は当然ながら高くなります。するとどうなるか。物価が高くなります。
実際、アフリカの多くの国では、自国で生産されているものと輸入品では数倍の差が生まれています。
物価が高いと、さらに深刻な問題を引き起こします。
国民の所得水準は低いのに、市民の生活は貧しく不便なままで、人件費だけが高くなってしまうのです。(大きなショッピングモールとその周辺のカフェなどは、一部の富裕層と外国人しかいません)
結果、いまのアフリカは、かつてのアジアのように人件費が安くて製造業を移転するのに向いている地域にはなり得ていません。つまり、工場を誘致するのに向いていないのです。工場を作ろうにも、材料を調達し、輸出できる環境が整わないことには、企業も参入できないのです。
僕が今いるUNDP(国連開発計画)では、発展途上国の開発を主に扱っています。MDGs(ミレニアム開発目標)が2015年で終了し、2016年からSDGs(持続可能な開発目標)に移行します。インフラの問題は17の目標と169のターゲットから成るこのアジェンダの中の9個目に強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る、と掲げられています。
ウガンダ国内の問題と国連では具体的どんな取り組みをしているのか、次の記事で詳しく書いていきます。To Be Continue…
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