ーー簡単に自己紹介をお願いします。
ニックネームなんですが、マイケルと申します。本名は川下武で、現在27歳です。アメリカ・南カリフォルニア州生まれで、向こうで18年間過ごして、大学受験を機に日本に住みたいと思い、慶応大学に受かったので、日本に移りました。もともとアメリカに居た頃からスタートアップやインターネットに興味があったので、日本に来てもそれは変わらず、学生の頃からインターンをしていました。そこから就職活動をせずに、そのままエウレカに入社して今に至ります。
ーー慶応の経済学部に入学されて、アメリカとのギャップがあったと思うのですが、何か違和感などは感じられましたか?
みんな何を考えているかが分かりにくかったです。日本人ははっきり表現しない印象を受けました。人間関係を構築するのにすごく時間がかかるというか。友達づくりに関しては1年くらいは本当に苦労しました。むしろ本当に友達がいなかったです。
ーーアメリカの学生はインターンシップなど、大学生活中に活動するという話をよく耳にするのですが、アメリカと日本を比べたときに大学生の過ごし方はどう違うのですか?
日本は、ちょっと街に出たら渋谷があってカラオケやボーリングで遊べるじゃないですか。アメリカでは大学の立地的にもそういうのがあまり無いので、在学の4年間を使って自分の好きなことに打ち込めるのは日本とは違うポイントだと思います。4年あるんだから大きいことやっちまおう、という意識がアメリカの学生にはありますね。
ーーアメリカの学生は大学に入ってからすごく頑張ると聞きます。
日本って高校まで大学受験のためにめちゃくちゃ勉強するじゃないですか。でも大学に入った瞬間何もしないじゃないですか。アメリカは逆で、高校は全く勉強しないんですが、大学入る直前にガチで勉強し始めて、大学に入ってからの4年間で日本の学生のレベルを追い越しちゃうんですよ。この4年間ですごく差がつくんだなと思いました。人間が持っている最も重要な資源って時間だと思うんです。85年の時間があって、この時間を何にどれくらい投資するかによって人生決まると思うんですよ。でも日本の学生は、そこをあまり意識してないというか。アメリカでは大学に入ると、世界中から優秀な人たちが集まっているので、周りから色んな刺激を受けて、この4年間を何に投資しようと考えて頑張るので、4年間ですごく差が出るんだと思います。
ーーマイケルさんの大学生活について教えてください。
僕の場合は出欠がない授業は全部さぼりましたね。でもその代わりにスタンフォード大学とコラボして、学生団体の日本支部を立ち上げて、世界中の学生とプロジェクトも行いましたし。あとはソフトバンクアカデミアというプログラムがあって、自分が尊敬している孫さんに会いたいからとりあえずで応募してみたら受かっちゃって。実際に孫さんにも声をかけられたりして、すごく楽しい思いをさせてもらいました。僕は他の学生と比べたら授業は不真面目でしたし、勉強もしてません。ですが他の学生にはない経験を積んでいる自信があるので、それは僕の武器ですね。別に大学に行っているからといって勉強する必要は全然ないと思います。自分のやりたいことに時間を投資するのは本当に大事です。
ーーどういったきっかけでエウレカでインターンシップを開始されたのですか?
僕が学生の頃、スタンフォード大学と協同の国際交流団体の日本支部に加入していたんですけれども、そこで大きいイベントを運営してすごく燃え尽きたんですよ。逆に燃えるものがなくなってしまっていました。友達からインターンとかやってみたら?と言われても「インターンってあれでしょ?就職したいヤツらがやるやつでしょ?」みたいな感じでした(笑)。最初は興味がなかったんですが、1回やってみるかということで、軽く探し始めたんです。将来起業したいという思いもありましたし。1200社くらいの求人を見て、もう考えられる媒体全部見ました。そのときにとあるサイトでエウレカの求人を見つけて、なぜかそこに目が留まったんです。その理由は掲載されていた写真だったんですが、他の求人は大人が出ていた一方で、エウレカは学生中心に写っていて、なんか活躍できそうだなと。学生が主体で活躍していて、エンジニア・デザイナーも学生で、すごく興味が湧きました。そこでエウレカに「ぜひインターンしたいです」とメールを送ってみたら「とりあえず面接来てよ」と言われて。そのとき僕はTシャツ短パンで面接に行ったんですが、社長も同じような格好で「おーいい感じだね!」みたいなことを言われて気が合いそうだなと。とりあえず明日から来てと言われました。
ーーいきなりエウレカにメールをされたのですか?
そうです。このメールが僕がマイケルと呼ばれるきっかけになったんですが、メールのタイトルが「This is it」なんですよ。それで「明日からマイケルで」「はい。」みたいな感じでした(笑)。
ーーなぜ「This is it」なんですか?笑
本当に1200社くらいの求人を2週間かけて見ていたので、「ここだ!」という思いを込めました。全くマイケル・ジャクソンが好きではないんですが、たまたまノリで書いちゃいましたね(笑)。
ーー慶応生だったら、総合商社などの大手企業へ就職するという選択がマジョリティなわけじゃないですか。当時設立2年ほどのエウレカさんに入ることは勇気が必要だったと思うのですが、それは「This is it」という感覚だったんですか?
まさにそうですね。周りのみんなが三菱商事やみずほ銀行やコンサルに行っていて焦りもありましたが、僕がスーツを着てコンサルティングをするとか想像できなくて、これは自分がやることではないなという違和感がありました。一番は自分が好きなことをやるべきだと思っていて、その次に自分が得意とすること、そして最後には必要とされていることをやるべきだと思っています。ここにマッチしたのが、僕の場合は今の会社だったという感じです。
ーー不安などはなかったですか?
会社とマッチしているなと感じていたので不安はなかったですね。そもそも今の世の中が不安定が当たり前で、安定は自分で作っていくものだと思っていたので、焦りはなかったですね。そういったマインドセットの持ち方によって、世の中が全く違うように見えて、自分のアクションが変わると思っていますね。
ーーいまエウレカの主な事業は、pairs,Couplesというサービスがあると思うのですが、簡単にご説明いただけますか?
pairsは、私も関わっているところで、オンラインデーティングサービスです。普段の生活では出会えなかった異性と出会えるサービスですね。Couplesは、すでに出会ったカップルが、二人の濃密なコミュニケーションのためのアプリですね。二人だけのLINEみたいな感じです。
ーー実際にpairsはどのくらいマッチングが起こっているんですか?
累計だと1500万マッチングほどしてますね。これだけのマッチングを生み出しているのはインターネットならではですね。
ーー実際に結婚しているカップルもいらっしゃるんですか?
はい、もちろんです。幸せレポートというのがありまして、実際にpairsを使って交際または結婚に至った方々のストーリーが掲載されています。実際にお子さんが生まれた方々もいらっしゃいます。
ーーまだネットで恋愛することに違和感や抵抗を感じる方がいらっしゃると思うんですが、そこに関してはどのように考えられていますか?
アメリカではこれが普通になっていて、ネットでの出会いはどんどん生活に溶け込んでいきます。アプリで普段の生活じゃ出会えない人と出会えるチャンスがあるので、僕はそっちのメリットが圧倒的に大きいと思っています。自分の視野を広げることになるというか、自分の生活を豊かにできるような出会いがあるので、ぜひ使ってみてほしいですね。
ーーpairsを運営される上で一番幸せに感じるタイミングはどんな時ですか?
会員数が上がっているときですね。この前ちょうど累計会員数が300万人を突破したんですが、そういう時が今までの努力が報われた瞬間で、300万人が使って幸せになっているんだなと想像すると、仕事の価値を感じますよね。実際に幸せになっている人たちを数字で見ると、達成感はものすごくて、世界を変えているな、人々の未来を変えているなという実感がありますね。
ーーどういった学生と一緒に働いてみたいですか?
目標がある人ですね。その目標にたどり着けるようにこっちもサポートして色々任せたいという思いがあるので。いま僕と一緒に働いているインターン生は将来メディアで起業したいって言っているので、メディアに関しては僕より詳しいですし、「お前これやっとけ」みたいな仕事の振り方ではなく、むしろ自分でメディアを作る勢いで取り組んでほしいと思っているので、どんどん任せてますね。将来こういう仕事をしたいから今はエウレカで働きたい、という考えを持ってほしいですし、エウレカをステップアップの場として使っていただいて構わないので、積極的に仕事ができる学生さんに来てもらいたいですね。
ーー今後のマイケルさんのキャリアプランについて教えてください。
大きく3つ道があると思ってまして、1つは起業すること。2つ目は将来大学院に行きたいと思っていまして、特にスタンフォード大学に興味がありますね。スタンフォードに行って、次のFacebookやGoogleを作るような人たちと一緒に生活して、向こうで起業したい気持ちもあります。3つ目はエウレカで新規事業を始めてプロダクトオーナーとして全責任を負ってやってみたいですね。
ーーアメリカと日本を比較できる立場にいらっしゃるマイケルさんから、今の日本の学生にアドバイスがあればぜひお願いします。
やはり一番は「時間の使い方」だと思いますね。自分は何に投資するのかはすごく考えてほしいです。別に授業に行かなくてもいいじゃないですか。友達に出席とってもらうとか。この何でもできる4年は大学時代しか絶対ないんですよ。この4年で人生が決まるということに対して危機感を持って欲しいですし、危機感を持ちつつも、この4年間使って何でもできるということを理解して欲しいです。部活でもいいですし、インターンでもいいですし、自分でプロダクトを作るでもいいですし。あとは就活するにしても、他人の意見を聞くんじゃなくて、自分に聞いて、自分は何が好きなんだろう、何が得意なんだろう、どういうものが必要とされているんだろう、ということを考えてほしいです。会社を探すときも、パンフレットや人気ランキングで見るのではなくて、そこで働いている人と本当に一緒に働きたいのか、会社の理念に共感しているのかを意識してもらいたいです。