「感謝しなさい」
両親から、先生から……誰しもが言われたことのあるセリフですね。
しかし実際に、どれだけの人が相手に面と向かってありがとうの気持ちを伝えられているでしょうか。
カウンセラーとして働くラウラ・トリスさんはTED2008の場で、感謝することがどれだけ大切か、また逆に、自分の行いを褒めてほしい時ににどうするべきかを語りました。
トリスさんがこの「感謝」というテーマについて興味を持ったのは、彼女自身が「人を褒めたい」という気持ちと、「人から褒められたい」という気持ち、両方を抱いていたからでした。
私たちはみんな、「褒めたい」という気持ちだけでなく、「褒められたい」という気持ちを持っているということは、間違いないでしょう。
しかし多くの場合、褒めてほしいということを周りの人に伝えようとはしないですよね。
ここに、彼女は疑問を持ちました。
褒めることはあっても、「褒めてほしい」なんて言えない。この感情は自分だけのものなのか。それを突き止めるべく、彼女は感謝について調べ始めたのです。
まず彼女は、仕事先のリハビリ施設で、死と向き合う患者さんに、「死を前にしてどういった事を後悔しているか」という質問をしてみました。すると、多くの人が、「誰かの誇りであると言ってもらえなかったこと」と答えたのです。
ところが彼女は、その患者さんたちに対して、「あの人のことを誇りに思っていた」と話す周りの声を、よく耳にしていました。
ここから分かるのは、「直接言わない限り、相手に気持ちは伝わらない」ということです。
ではなぜ多くの人は、感謝の気持ちを直接言い合うことができないのでしょうか?
おそらく、ほとんどの人が恥ずかしかったり、「まあ言わなくてもいいや」とおさめてしまっているのでしょうね。
これに当てはまらない珍しい人がいました。トリスさんの知り合いの夫婦です。
その家庭では、妻が夫に対して週に一回、「家事や子どもの世話をしていることに感謝をして」と言うのだそうです。
話だけを聞くと、「押しつけがましいな」、「謙虚じゃないな」と思いますよね。
しかしこの夫婦は、実際とても円満です。
それはなぜかと言うと、「感謝をして」と言うということは、相手に心から感謝をしてもらうために自分もちゃんと努力をするということだからです。
心がこもっていない感謝など、頼んでまでしてほしくありません。つまり、「感謝して」と言い、そこで心からのありがとうを受け取るために、自分自身も努力しなければならない環境を作っているという事です。
「これぞまさにwin-winの状態だ」とトリスさんは思いました。
自分の言ってほしい事を言ってもらい、そして自分もその状態に近づけるよう努力する。結果、相手にも良い影響をもたらすのです。
そして、同じように、自分から、相手の言ってほしい事、感謝してほしい事を言ってあげることも大切だといいます。
「なんて言ってほしい?」と相手に聞いてあげることも、そのための一歩になるのだそうです。
この「感謝をすること」は世界平和にもつながるのだとトリスさんは言っています。とは言え、感謝をすることでいきなり世界が平和になるわけではないですよね。
そこで彼女が大切だと語っているのは、まず、家庭から始めること。妻や夫、兄弟、両親などに感謝を伝えること……。この小さな一歩が、世界平和実現への第一歩なのかもしれません。
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!