世界中の人々がSNSを利用する現在、その使い過ぎが問題になることも珍しくありません。
今回は、そんな私たちとSNSの関係について、TEDでトークされたジャーナリスト、アダム・オストロウ氏のお話をご紹介します。
彼が注目したのは、誰しもが必ず迎える「死」とSNSの関係についてです。
そもそも彼が死とSNSとの関係について考え始めたのは、デリック・K・ミラー氏の死がきっかけでした。
デリック・K・ミラー氏は科学や技術についてのジャーナリストでしたが、がんを患い、亡くなってしまったのです。
彼は亡くなる以前に、「自分が死んだら、ブログをすぐにアップするように」と家族に頼んでいました。
そのブログの冒頭には「これは私のブログの最後の投稿です。」と書かれ、ただの人生を綴るブログから、未来に伝達するためのアーカイブに変えていくということが書かれていました。
オストロウ氏は、このようにアーカイブ(重要記録を保存・活用し、未来に伝達する場所)を作成しているのはミラー氏だけでなく、私たちも皆やっていることだと言います。
自分の両親や祖父母の昔の思い出の品というと、ホームビデオや写真などが思い浮かびますよね。
しかし私たちが生きている現在は、1分ごとに48時間分のビデオがYouTubeにアップロードされ、一日2億ものツイートがされ、毎月一人当たり90個のコンテンツがFacebookに作成される、そんな状況になっています。
つまり、私たちのアーカイブ(写真や投稿した文章など)は、クラウド上で半永久的に保存することができるのです。
これらのコンテンツを、「自分の死後にどうするか」というのがオストロウ氏の話のポイントです。
彼によると、死後に自分のアーカイブを管理するツールはすでにいくつかあるのだそう。
例えばIfidie.netは、自分が作ったメッセージやビデオを死後Facebookに投稿してくれるアプリです。
他にはmemoriesというものがあり、これも写真やビデオ、物語をネット上で愛する人たちに公開していくサービスなのだそうです。
そして、テクノロジーの進化によりコンピューターが私たちの言葉を理解し、ツイートや写真のデータを分析できるようになると、死後でさえもそういった情報を持ったデジタルの人物像が存在するようになるのではないかと彼は推測しています。
アメリカでの2008年の選挙の夜、CNNがヒップホップアーティストであるwill.i.amをホログラムでライブ中継をしました。それを思い出すと、この先いなくなってしまった人をホログラムで再現し、先ほど紹介したようなコンピューター技術を使うとあたかもその人がそこにいるような感覚を持てるようになるかもしれません。
見た目もホログラムで同じ、そしてその人たちが言うであろう言葉も過去のアーカイブを元に推測で計算していくのです。
そうなれば、今とは全く違う世界が待っています。そして、これは十分実現可能なことなのだそう。
彼も言うように、このような未来を望むなら、実現可能になった時にどういったことが起こりえるか、しっかり考える必要があると思います。
・After your final status update By Adam Ostrow
「生涯最後の近況報告をしたあと」 By アダム・オストロウ
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!