京都大学経済学部4年で、SpeeeというIT企業から内定をいただいて、そこで研修したり、他社の就活支援会社で長期インターンシップをしたりしながら、残りの大学生活を過ごしています。中学の時から海外に興味があって、一度日本を出てみたいという気持ちがあったので、デンマーク留学も経験しました。
ーーちなみにドラッガーのどういうところに共感されたのですか?
経営学って高尚なものだと思っていたんですけど、野球部のマネージャーの子がドラッガーの経営論を通して部を向上させていくという本を読んで、自分にもこういうことができるんだというのを感じて興味を持ち出しました。人を動かすことに関心を持ち始めた時期ですね。
ーーそこから経済学部に興味を持ち、入学されたと。
そうですね、京大の経済学部だけ、経済学も経営学も一緒に勉強できるんですよ。それが入学の動機ですね。
ーー実際に大学に入られてみて、入る前に想像していた大学生活とギャップはありましたか?
周りの学生を見ていても、合格したことがゴールになっている人が結構いました。自分も留学したいという思いはあって、その目的のためにバイトをしていましたけど、バイト三昧になってしまい、なんとなくなあなあに過ごしてしまっているというのを、大学1,2年のときに感じていましたね。
そうですね。私費留学で行きました。私は次女なんですけど、すごく甘えっ子だったので、留学なんか行けるのか?とずっと周りから言われていて、それを見返したいという思いがあったので、エージェントを通さずに現地の学校とやりとりして、全部手続きを自分で行い失敗しながら進めました。
ーー実際にデンマークに行かれてみて何か価値観の変化はありましたか?
すごく変わりました。今まで親の期待や周りの風潮に沿って人生を進めてきたところがありました。入学がゴールになってしまっている部分だったり、違和感を覚えたこともあって。自分は用意されたルートを歩んできたんだというのをなんとなく思っていました。デンマークに行ってから色んな人の人生に触れるようになりました。現地に英語の先生がいたのですが、その先生はいつもすごく明るくて陽気で、魅力的な方だったんです。でもその人の人生聞いてみたら、親に捨てられて離婚して家出して学校も中退して、一人暮らしをして、という風に壮絶な人生だったんですよね。その話を聞いたときに、かわいそうだなと思っちゃったんですけど、先生が一番最後に「でも自分は今幸せなんだよ」っていう話をしてくれました。「自分の幸せは相手から見た幸せじゃなくて、自分から見た幸せをちゃんと感じないといけないよ」と言われて、そこから自分の中で価値観が変わりました。その価値観をもとに就活も始められたと思います。
ーー生活面ではデンマークはどうでしたか?
生活面に関しては、とにかく日本に比べて時間の流れがゆっくりだなと思いました。仕事を早く切り上げて、家族と過ごす時間を大事にしてる人がすごく多かったですね。でも私はそれが楽しいとも思いませんでした。日本は働き過ぎだと言われると思うんですけど、仕事に生き甲斐を見つけてる日本も素敵だなと私は思ったので、デンマークのスタイルを学べたのは良かったんですけど、逆に日本も素晴らしいと感じました。言葉もそうですね。「おかえり」や「ごちそうさま」とか、そういうのは日本語にしかないと気づいて日本のことが好きになりました。
いえ、夏に帰国したんですがサマーインターンは行ってなかったです。留学していたときの働くイメージと、日本の就活とのギャップが大きかったのでモチベーションは高くなかったです。みんな一律で黒いスーツを着て、髪をしばって、という就活に嫌気がさしていました。ですのでサマーインターンの時期はほぼ何もしていなかったです。
ーーその時期は何をされてたんですか?
サークルに所属してたんですが、留学に行っていた分、みんなと離れてしまっていたので、帰国後はサークルにずっと行ったり、人と久しぶりに会ったり、日常を楽しんでいましたね。
ーーそこからどういった経緯でSpeeeさんにたどり着いたのですか?
そうですね。ベンチャー思考になり始めてから色んなベンチャー企業を見るようになりました。やっぱり組織が少人数なので経営層と近い距離で仕事ができるのは魅力です。今から新しいことを起こすモチベーションが、大手企業で働いている人とベンチャー企業で働いている人とではすごく差があると肌感で感じたんですね。話がおもしろかったのはベンチャー企業の方ですね。私は結構前にバリバリ出て行きたいタイプだったので、1つの歯車になりたくはなくて。ベンチャーの方が合ってるんだろうなと思うようになりました。
ーー京都大学ですと、日系大手企業や外資系企業に行く方が多いと思います。その中でベンチャー企業への選択ができたのは、やはりデンマークで得た価値観が大きいのでしょうか?
その価値観というのが大きかったですね。あとは日本の就活への違和感に対する反骨精神もあったと思います。自分から見た幸せを考えたいたのですが、最初は商社も視野に入れていて、家庭も持ちたいし子どもも欲しいと思っていて。商社の家庭と仕事を両立されている人にも会わせてもらったんですけど、その方は海外に住んで子どもも連れてきて旦那さんは日本にいて、子どもの世話はベビーシッターさんがしているという状況で。私が理想としているバランスというか両立ではないと思うことがありました。そのときにベンチャー企業という選択に出会ったんです。ベンチャーでは色んな働き方をされている人がいました。私は家庭も子どもも持ちたいと思っていましたが、専業主婦にはなりたいとは思っていませんでした。それなら20代のうちにスキルを上げておかないと第一線には戻れないという危機感を覚えました。それで、20代でマインドセットやスキルセットのどちらも付けられる場所じゃないと自分の幸せには近づかないと思うようになっていました。その考えとベンチャー企業の特徴がマッチしたと思ったんです。
色んなベンチャー企業を見て何十社と受けたんですが、Speeeはファーストコンタクトで一目惚れ状態でした。ここに決まったら他のところは断ろうと思うほどでした。最初に会ったときに社員の方に魅かれて、Speeeは他の会社に比べて組織の理念や考え方がすごくしっかりしていました。Speeeカルチャーというものがあるのですが、そのカルチャーをどう落とし込んでいくか、組織が大きくなっていく中でどう浸透させていくのかを思考レベルだけでなく、対策や具体的なアクションに繋がっていて、かなり感動しました。
ーーどこが一番魅かれた点でしたか?
社員の方2人がプレゼンされていたのですが、そのときに組織の話をされていて、そこでいいなと直感的に思いました。また、その後に直接お話をさせていただいたときに、自分が今後どうなりたいかや、キャリアの話だけでなくて社会の話、今の社会にはこんな課題があってこんなふうに解決していかなきゃいけないなど、個のレベルだけでなく社会のレベルまで考えられていたことが魅力でした。決めてはウィンターインターンシップでしたね。
ーーインターンシップのどういったところが特徴的だったのですか?
BizCamというインターンシップなんですが、役員と新卒のルーキーの方が2人1組になってグループのメンターについてくださったんですが、その2人の方のコミュニケーションの仕方にすごくいいなと思うところがありました。さきほどお話ししたSpeeeカルチャーの1つに素直・謙虚・率直というのがあるんですが、まさにそれを2人で 体現されていました。素直・謙虚・率直って、よく聞く言葉じゃないですか。他の会社を見ていて、偉くなってくると謙虚さが欠けてしまったり、逆に下のポジションにいると率直に意見が言えなかったりだとか、そういうのを目の当たりにしていました。 このインターンシップで2人のコミュニケーションを見て、本当にカルチャーが浸透してるんだ、こういうふうに自分も思考できるようになりたい、と思ったのが大きな決め手です。
ーーなぜSpeeeは行動レベルまでカルチャーが浸透していると思われますか?
毎朝、朝会というものがありまして、その中でGood&Newという施策を行っています。朝の時間に社員がボールを渡し合って、ボールの受け手が投げ手の人の良いところを言うんです。そのあとに24時間以内にあったいいことも言わないといけません。それが朝のコミュニケーションのエクササイズにもなりますし、いいところを言わないといけないので、普段からいいところを見ようとします。また、カルチャーの中に他部署への尊重・感謝というのもあって、朝会の中に、Speeeカルチャーを体現してる人を発表する時間があるんです。Speeeカルチャーは15個あるんですが、それを日ごとで2つずつ、そのカルチャーの解釈を言って、それを実際に体現している人を、エピソードを交えて発表するんです。それを毎日していくことで自分はカルチャー体現できてるんだとか、この人はこうやって体現してるんだという気づきになったり。評価面談というのがあるのですが、それもそのSpeeeカルチャーに沿って行っていて、様々なところに浸透させるための施策が入っていると感じました。
ーーSpeeeさんの事業内容について簡単におうかがいしたいです。
今はSEOをはじめ、Webマーケティングの事業がメインになってるいんですが、今どんどん色んなサービスがローンチしてるところで、メディアを中心に不動産業界や医療分野に切り込んでいます。Webマーケティングですが、そのメインを新たなところに移していく過渡期ですね。
就活支援の会社なのですが、合同説明会を関西で開いていて、そこでの集客だったり、ユーザーとの面談だったり、ES添削だったり、相談からイベントまで、さらには集客の計画やっています。
ーーそのインターンシップは伊佐さん自身の就活に対する違和感がモチベーションなのでしょうか?
始めたのはSpeeeの内定をいただいてからで、入社までの残りの1年何をしようかと思ったとき、旅行ぐらいしか計画がなくて、卒論もなくて学業に余裕があるなかで、旅行だけで過ごしてていいのかなと思っていました。そんな時にSpeeeの社員さんからこのインターンシップを紹介してくださって、そこで面談してみたら自分が求めてるものと合っていたのでジョインして現在も取り組んでいます。
ーー最後に後輩の学生に向けてキャリアに関してアドバイスをいただきたいです。
自分が描きたい未来に沿った選択を、ちゃんと自分の頭でしてほしいなと思います。他人の意見を聞くのは大事だと思うんですが、最終的に決めるのは自分自身であってほしいと思います。周りに流されないために必要なのは目標設定ですね。自分がどうなりたいかという目標から逆算して、自分はここでこうすべきというマイルストーンを置いて、自分の選択がマイルストーンがずれていないかというのは常に意識しています。