昔に比べると、世界的に見ても寿命が大幅に伸びたことはよく知られている事実です。日本は特に平均寿命が高い事でも有名ですよね。
そんななか、バイオエンジニアのグレゴリー・ぺスコはTEDトークの中で、近い将来世界に神経疾患のエピデミック(流行)がやってくるといいます。これはどういったことなのでしょうか。
彼が言うに、私たちが何もしない限り神経疾患のエピデミックはここ40年の間でやってくる可能性が高いのだそう。 地図の上で青く塗られている国は人口の20%以上が65歳以上の国です。(出典:https://www.ted.com/)
約1万2千年もの間、世界の国々の年齢別の人口分布図は常にピラミッド型でした。つまり、子どもが多く、年を取るにつれて人口が少なくなっていくといった形です。社会科の授業で習った記憶がある人も多いのではないかと思います。
しかし、最近の世界の国々の分布図を見るとだんだん平らになってきているのです。つまり、高齢者の数がどんどん増え続けているのです。 そして研究によると、2050年には分布図の形が逆ピラミッドのような形になるのではないかと言われています。
こうなるにはいくつか理由があります。 1840年以来、平均寿命は2倍より更に上がり続けており、今でも1日5時間平均寿命が伸び続けているのだとか。
一見とても良い事のように思えますが、65歳以上の人が増えるということは病気を担う人が増えるということです。 高齢者の病気で知られるアルツハイマー病やパーキンソン病はまさにその代表です。 この人口の構成の変化などを考えると、2050年には3200万人が80歳以上になり、そしてそのうちの半分以上の人々がアルツハイマー病になることが予想されています。
更に恐ろしい事に、その中の300万人以上がパーキンソン病にかかるとも言われています。なぜこの神経疾患の流行が恐ろしいかと言うと、今の時点では効果的な治療法も予防法もないからです。
しかし将来的に神経疾患の流行が来る可能性が高い事が分かった今、彼を含むたくさんの研究者が研究に勤しんでいるそうです。 彼が力を入れているのは分子のセロハンテープ・接着剤のようなものを作ること。
アルツハイマー病が起こる原因はタンパク質が正しいカタチではなくアンバランスなカタチで形成されることによって起こる病気なのだそうで、その組織を元通りに戻すための「分子のテープ」を開発しているのだそうです。
そしてもしこの研究が成功すると、アルツハイマー病だけでなく他の病気にも応用できるかも知れないことから期待が高まっています。
これらの研究費用はほとんど民間企業や慈善事業の献金でサポートされているそうで、研究の実現には具体的にどれくらいかかるかまだ分からないのが現実なのだとか。
しかし、私たちも将来神経疾患の流行が来るかもしれないと分かった今、自分たちでできることもありますよね。 例えば、カフェインはパーキンソン病の予防法の一つとして知られていますし、鳥インフルエンザや高血圧を避けることもアルツハイマー病の予防に効果があるとされています。 そして彼が言うには、体の機能は「使わなければ失われる」ものなので、認知症を防ぐためには日頃から様々な刺激を受けることが大切なのだそうです。
そしてもちろん、こういった事を研究している団体に寄付などをするのもいつかは自分を助けることになるかも知れません。 人口の変化によって起こるかもしれない神経疾患のエピデミック。どのように備えればいいか、もう一度考えてみる必要がありそうです。
・The coming neurological epidemic By Gregory Petsko 「来るべき神経疾患の流行における考え方」 By グレゴリー・ペトスコ
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!