自国の文化が優れているわけではない。真の異文化交流に向けた日本語教育の可能性。

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はじめまして。中央大学商学部経営学科3年の井上良太と申します。

私はゼミでソーシャルビジネスについて学んでいると同時に、日本語教育の留学プログラムに参加しています。これから、日本語教育やソーシャルビジネスに関して記事を書かせていただくつもりです。

みなさんは、日本語教育という言葉になじみがあるでしょうか。今回は日本語の需要と日本語が持つ可能性について書かせていただきます。


日本語の需要

ジャパンエデュケーション

そもそも日本語の需要なんてあるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに今は英語が世界共通語のような風潮がありますし、中南米が伸びてくるからスペイン語、中国の成長が著しいから中国語を学ぼうという人々が世界各国にいると思われます。

しかしながら、言語を学ぶ理由というのは、ビジネスなど実用的な目的で学ぶだけではありません。その国の文化が好きだから言語を学びたいという方もたくさんいらっしゃいます。この「文化」という言葉も興味深いもので、文化と言うと衣食住だとか国民性と思われる方が多いかもしれません。

しかし、その他にも、習慣、宗教、季節、漫画などを含める場合もあるため捉え方によって様々と言えます。

さて、つい最近でも和食が世界無形文化遺産に登録されましたよね。日本の食文化は世界的ブームを引き起こしています。ラーメン、寿司、とんかつ、味噌汁はアジアだけでなくヨーロッパでも人気を誇っていますし、ワンピースやドラゴンボールといったサブカルチャーの漫画に関しても世界中で人気があります。

先日ニュースでも取り上げられていましたが、訪日外国人は増加し続けていますよね。日本の漢字がかっこいいと思う方の増加(最近では厚切りジェイソンさんの影響もあるかもしれません 笑)や、森林や海といった自然、寺や神社の趣、治安の良さ、円安などが増加の要因でしょう。


日本語教師という仕事

ジャパンエデュケーション2

訪日外国人の増加に伴ってか日本語の学習者も増加しています。文化庁の調査によると国内の日本語学習者は1983年には2万5千人でしたが2012年には14万人に増えています。海外の日本語学習者に関しても1984年の60万人から2012年には400万人へと増えています。観光の面だけでなく、今や、日本の企業が海外展開する中で、日本語を学ばなければならない従業員もたくさんいるでしょうし、労働力不足といわれる国内で外国人労働者がますます増えてくるでしょう。

加えて、現在、日本で学校生活を送る外国人の子供たちの中には日本語がうまく話せず暮らしていくのに障害をきたす場合もあります。(日本の小学校では特別クラスを設けて、対応しているかと思います。) こういったことから、日本語の需要は高まっているのではないかと私は考えています。このように日本語教師として働く環境は国内に限らず世界中にあります。そうであるにもかかわらず、日本語教師という職業は社会的に認知が低いと共に、学習者の所得の関係からあまりお金を取れないことから安定しない職業であり、ボランティアや非常勤講師の数が多く、特に男性の割合が少ないです。より多くの収入を得るには、修士や博士号を取得し、言語の専門家になるなどの手段をとることが多いです。


日本語の可能性

最後に少しだけ日本語の魅力や可能性について書かせていただきます。私が日本語教育の面白さを感じる一つの理由として日本語教育が一見関係のない政治や経済とも関係していることが挙げられます。政治に関していうと、オーストラリアにおける日本語教育は1906年、当時の政権の政策として、日本との経済交流の拡大を背景に始まったとされています。主に初等教育で日本語が教えられ、文化的な理解を目的としているそうです。他にも、阪神淡路地震や東北大震災といった災害があれば学習者が減ることもありますし、バブル期のような経済が上向きの頃は学習者が統計的に増えていました。このように日本語教育は学際的である点が非常に魅力的です。

しかし、時に、文化的な違いは戦争が起こるきっかけとなりえます。宗教的な違い、価値観の違いから他者を嫌い、自国が優れていると思い込んでしまうのでしょうか。今もなお、中東やアフリカでは紛争が起こっています。日本も例外ではありません。

日本人の中にはメディアの報道を真に受けてか、中国人や韓国人が無礼だとか決めつけてしまう方もいますが、日本を含め、どの国にも無礼な方はいらっしゃるかと思います。在日朝鮮人に対するヘイトスピーチも自分の国民性が優れているのだと思っている方たちがするのでしょうか。

さらに、言語教育の中でさらにカルチャーショックを受け、異文化適応できない、もしくはアイデンティティの喪失へ繋がってしまう可能性もあります。しかしながら、実際の交流なしに、メディアを通して形成された情報を信じるよりは、実際に言語教育を通じて、その国の人々、言語や文化、価値観を学び、現地の方との交流をする方が、世界的な平和へ繋がっていく可能性は高いのではないでしょうか。日本語が台湾や韓国を植民地支配していた時に日本語教育を強制したのは事実です。

しかしながら現在は過去を反省したうえで未来へ向かっていく必要があるのではないでしょうか。日韓、日中関係の修復は完全なものとはなっていないかもしれませんが、言語教育を通じた文化交流を盛んに行うことで、国民レベルから関係を修復していける機会が増えると良いと思います。

次の記事からは私が海外で経験してきた海外の日本語教育について書かせていただきたいと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。

この記事を書いた学生ライター

Ryota Inoue
Ryota Inoue
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2017年に中央大学卒業。学生時代、言語や異文化交流、経営やソーシャルビジネスについて学ぶ。現在、株式会社パソナで働き、視野を広げている。好奇心旺盛で興味分野が広いため、将来、様々な分野を掛け合わせた面白いことがをしたいと考えている。

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