Gravity Paymentsというシアトルを拠点にしたクレジットカード会社の創始者でありCEOであるダン・プライスが、彼の会社の最低賃金を年収700万円に格上げしました。
これが発表された時、社内は歓喜で湧きあがり、社員はそれぞれにその喜びを表現したそうです。
たとえば、この最低賃金の賃上げによってプエルトリコにいる母親をシアトルに招待できる!という従業員がいたり、また賃上げによって家計に余裕が生まれ子どもたちの為にもっと何かをしてあげることができた、という従業員もいたそうです。
この賃上げはCEOであるダン・プライスをヒーローにしました。しかしこういった賃上げに対しての歓喜の声が多かった一方で、すぐに非難の声も増え始めたそうです。
最低賃金が上がったのに、非難の声が上がるというのはどういったことなのでしょうか?
まず、この賃上げを受けて社内でもっとも有望だとされていた2人の社員が辞めてしまったそうです。
メイジ―・マックマスターという社員は5年前にこの会社に入社し、5年間で金融部門の部長にまで上り詰めた有望株でした。彼女はこのキャリアを築く為に夫や子どもとの時間をたくさん犠牲にしてきたといいます。
しかし、この賃上げというのはすべての社員に適応されるのですから、もちろんそこまでスキルがない社員や新入社員にも700万円以上が支払われます。 そしてそういった人のお給料を増やすという事は、より有望でよりスキルがある人材でもそんなに高いお給料をもらえなくなるということです。
スキルや経験の差に明らかに違いがあるのにほぼ同じ額のお給料をもらうなんて信じられない、という考えのもと彼女は部長という職をも捨てて会社を去りました。
そして、この会社のウェブ担当であったグラント・モーランという社員も似たような理由で会社を去った一人だといいます。
彼も同じように、スキルや経験が浅い人が彼と同じほどのお給料を受け取ることに不満を感じていました。
そしてこの賃上げは働く人のモチベーションに大きく関わると言及しました。 スキルがある人にとっては、どれだけ自分のスキルを生かそうともスキルがない人間とほぼ同額しか貰えないのです。もちろんスキルアップしようというモチベーションは無くなってしまいますよね。
更に、この計画が発表されたことによって給料が世間に公開されたことにもあまり良くないと思っている人が多いそうです。
全体的に最低賃金が上がったことで喜ぶ声もありますが、やはり社員の中でのモチベーションと賃金の関係性に関しての不信感は拭えていないそうです。
会社の中などでの全体の賃上げというのは一見聞こえはいいですが、深く考えてみると違ったスキルを持つ人の中でのモチベーションとの関係や、今まで犠牲にしてきたものとの関係というのが問題になってきます。
社会問題などについて語る時、表面の聞こえだけで判断せず色々な側面にある問題も考えていく力をつけていきたいですね。
(参考: A CEO raised minimum wage to $70,000 a year, and some employees quit because of it)
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!