イギリスから一時帰国中の的場優季です。来年度からは生活費をなんとかしなくては…ということで、今回は留学生のアルバイト事情を紹介します。― 地中海に浮かぶスペインのリゾート地・イビザ島
海外の大学に進学すると日本の大学生が出来ない経験も色々とできますが、就職活動や課外活動など制限されることもでてきます。アルバイトをする機会というのもその一つでしょう。
日本では多くの学生が、勉強やサークルなどの合間にアルバイトをしていると思いますが、イギリスの大学で私の身の回りでの感覚は、している人としていない人で半々といったところです。
私のイギリスでの職務経験は次のようになります。(大学二年のものは今年の9月からの予定ですが、かけもちが決定しています!)
•ファウンデーションコース 1月~5月: 市内の日本食レストラン(ウェイトレス)
•大学一年 4月~: キャンパス内のカフェ (バリスタ)
•大学二年 9月~: Peer Assisted Learning メンター
(週に一度、同学部の新入生に課題やコースについて教えるチューターのような仕事)
イギリスの正規の学生ビザを取ると、学期中は週に20時間、授業の無い期間はフルタイムで働ける許可がおります。(アメリカの学生ビザだと、就労はキャンパス内のみなど制限があるようです。)
留学前は、勉強が疎かになるかもしれないと思ったり、そもそもアルバイトをする余裕なんてないんじゃないかと思ったりしましたが、日本の多くの学生と違ってキャンパスの近くに住むことが多いので時間は意外とあるものです。
そして何かとお金のかかる海外生活。学費はともかく、少しでも親を頼らずに生活したい、もしくは旅行に行きたい、と考えるのは私だけではないはず…。
せっかく留学するなら勉強に集中しろ!と思われそうですが、一年未満の交換・語学留学ならともかく、正規の海外進学をする人にとっては大学生活の日常がそこにあるわけですから、アルバイトだって挑戦したいもの。それに、海外での大学生活においてアルバイトをするということは、金銭面以外にも良い事がたくさんあります。
1.英語力を上げたり、異文化に触れたりする機会になる
私は昨年ファウンデーションコースを受けているときに、年明けから市内の日本食レストランで週2~3回ウェイトレスのアルバイトをしていました。
日本でのアルバイトも飲食店での経験はなかったですし、逆にこちらで客として外食することもあまりなかったので作法がわからず、迷惑をかけることも少なからずありました。
しかしファウンデーションコースでは先生以外にネイティブ英語に触れる機会も少ないですし、キャンパス生活とは違う語彙やしきたりに触れる事もでき、同僚の外国人と仲良くなる機会もあるなど、外国で社会勉強ができたことは良い経験でした。
一番初めはbill(請求書)やtill(レジ)という単語も知らず、お会計の仕方が日本と違うことも知りませんでした。メニューにある、いわゆる「雪見大福」の説明をしようとして「もちもち」などの擬態表現が分からないことに気付いたり、イギリス人は小さい事にも店員にお礼を言ってくれるんだな、と知ったり、キャンパス生活では学べない経験ができました。― クラスメイトが来てくれることもよくありました。
キャンパス内のカフェで働くようになると、コースメイトにサーブする機会もしょっちゅうあります。コーヒーを作ったりレジで対応をしながら、顔見知り程度の相手にこちらから話しかけることが出来るようになったり、普段は緊張して挨拶程度で済ませてしまうイギリス人たちと会話が弾んだりするのは嬉しいことです。
2. 勉強のメリハリがつく
学期末のテスト期間は四月の終わりから六月の初めまでと長期に渡ります。
もちろんその中で複数の科目のテスト対策をしなければならないのですが、授業も無く人に会う機会も減ると、勉強だけでは気が滅入ってきます…。
朝から晩まで一日中図書館にこもる生活が一ヶ月以上続くとなると、効率も悪くなります。そんなときにシフトを入れて、三時間だけ机から離れて働く、となると良い気分転換になりました。
3.海外で働くことについて考える
こちらの大学に入ると、将来の選択肢として海外で働くということも頭にちらつきます。
しかし実際に英語に囲まれて働いてみると(たかがカフェと思われるかもしれませんが)、お客さんに臨機応変に対応することが難しいと感じたり、上司の指示が正確に聞き取れないこともあったりして、自分の課題も見えてきます。
電話応対ができるようになったなとか、同じ日本人やアジア人でもこんなに活躍している人もいる、など良い発見もあります。始めた直後は難しいと思ったことも、日本語環境と同じで慣れが必要であっただけという場合もあります。
どうなるか分からないことは将来の選択肢になりにくいので、実際飛び込んで選択肢を広げていきたい、そして与えられた(掴み取った)環境で出来る限り自分を伸ばしていきたいというのが今後の目標です。
こんなにいいことばかりなのに、それを妨げ得るものは何があるかといえば、アルバイトの機会の少なさ、応募の準備時間、英語力や対応力でしょうか。
一年目に運よく日本食レストランのアルバイトを頂けた私でしたが、夏休みの間にスタッフが入れ替わり、二年目は秋から新しいアルバイトを探していました。キャンパス内の有給インターンシップに応募しましたが三回も落ち、市内でのバイトもいくらCV(履歴書)を送ってもスルーされるなど、一旦仕事がなくなるともう一度新しく獲得するのには時間がかかりました。
メリットとは逆に、海外でのアルバイトの障壁を3つご紹介します。
1.アルバイトの機会が少ない
日本では行動範囲が広く、アルバイトも自宅から大学までの通学圏内などで探すことができますが、こちらで探すとなるとバスや自転車で通えるかどうかという狭い問題になります。
キャンパス内の仕事ではカフェ、バー、ショップの他にもオープンキャンパスのガイドやリサーチアシスタント、スチューデントアンバサダーなどがあります。数が限られている上に、皆アルバイトが紹介される学校のサイトは常にチェックしているので応募者も多くなってしまいます。
2.応募の準備に時間がかかる
アルバイトを探して応募するという過程は、時間がかかる印象があります。自分にできそうなもの、やりたいもの、時間との兼ね合いを考えながらアルバイトを探します。
私は英語での履歴書も面接も初めてだったので、キャリアセンターの主催するセミナーに出たりネットで資料を探したりしなければなりませんでした。
応募する時点では、履歴書(CV)に始まり、カバーレター(添え状)というものが必要な場合もありますし、プレゼンテーションや課題の準備をしなければいけないこともあります。日々の授業の予習や課題に追われているとどうしてもこの時間がとれないような気がしてしまうのですね。
3.英語力、アピールの仕方
インターンシップの応募ではCV(履歴書)提出の時点でふるいにかけられ、面接にすら進めないこともあります。私がイタリアンレストランにアルバイト応募のメールをスルーされたのも、アピールが弱かったのかもしれません。
特定のフォームがあるわけではないので、ネット上やセミナーでのサンプルを参考に書きます。履歴書のなかでも、(関連があれば)学業成績や持っている資格を書いたり、職歴欄には応募するポストに関連したスキルがあることをアピールしながら書いたりなど、考慮しなければならないこともたくさんあります。
英語の面接はもちろん慣れておらず苦戦しました。インターンシップの面接は単純にスピーキング力、リスニング力の問題だけではありません。これは日本語でも同じだと思いますが、やりとりの中で他の候補者よりも優れた回答をし、自分をアピールしなくてはいけません。
私の場合は、英語で思考が狭くなって他の人との差異化に至らなかったのかもしれませんし、そもそもアイディア力に欠けて答えが短すぎたなどの理由で、面接官の期待していた答えに足りなかったのかもしれません。答えに詰まってたどたどしくなってしまうと必要以上に緊張して見えたり、自信のないような答え方になってしまったりするのも不利にはたらいてしまいます。
「人前で話すのに自信はないけれど、このインターンを通してプレゼンテーションも学びたい」などと言ったら、「自信がないと言ってしまうのは正直すぎる!もっとアピールしていかなきゃ!」とフィードバックをもらったこともあります。
今年卒業してしまう日本人のある大学院生の方は、猛勉強の傍らカフェでのアルバイトでもチームリーダーを務め、今年学生ベストスタッフ賞に選出されていました。
英語も下手だしまだまだ初心者だし、と自信のない私にとっては、同じ日本人として目標の人です。勉強ももちろんですが、留学生としてこうして課外活動で自信をつけれらる場を作るのは、大事なことだと思っています。まだまだ経験も浅いのに偉そうに語りましたが…何かの参考になれば幸いです。読んで頂きありがとうございました。