日本の大学生の平均勉強時間(授業時間を除く予習・復習・論文などの勉強)は、1日平均「49.6分」です。内訳をみると、文系が「32.2分」、理系が「59.6分」です。全体平均は前年から3.2分減少しており、文系は3年連続減少しています。
つまり、日本の学生は授業の予習や復習をほとんどしていないのです。一方で、海外の大学生は日本とは比べ物にならないほど勉強に時間を当てています。アメリカを例に挙げると、その差は歴然です。
また驚くことに、調査によると「およそ6人に1人は全く勉強しない」ことが判明しています。
一方で海外はどうだろう? NHKの『クールジャパン』というテレビ番組の日本の教育をテーマにした回の中で、「自分の国の大学生はどのくらい勉強しているか」という質問を受け、各国の学生の勉強時間が見えてきました。
・インド人の学生「だいたい一日6~8時間ぐらいです」
・アメリカの学生「アメリカの場合1日10時間ぐらいが普通です。」
・ケンブリッジ大学から生中継:「Q&Aが多いです」、「とにかく読まなければならないものが多すぎて、全部読んだら死んでしまいます」(日本人留学生)
・アメリカUCバークレーから生中継:「月曜日から金曜日まで空いている時間があったら、図書館に引きこもって勉強しています。金曜日と土曜日はゆっくりして、また日曜日の夜から勉強です」(日本人留学生)
・韓国の大学から生中継:「韓国の大学生は遅刻欠席が少ない。まじめにしないといけない環境におかれています」(日本人留学生)
・フィリピン人の大学生:「フィリピンの大学では“A”をとるのが大変です。でも日本では簡単に取れます」
海外では、大学の授業の評価であるGPA(S・Aが4点、Bが3点、Cが2点、Dが1点、Fが0点)を就職活動の事前選抜に使っています。たとえば、Googleを受けるには「UCバークレーでGPA3.5以上が必要」など。また、コンサルティング会社を受けるにはGPAで3.3点以上が必要です。
このように、企業の採用試験を受ける際に、学業成績は一種の「受験資格」として捉えられています。
海外では、大学の勉強を頑張って成績を上げることに、相当なインセンティブがあるのです。「いきたい企業の受験資格を得るために勉強を頑張ろう」という気持ちになっているのです。
日本の学生が勉強しないのは、学生の意識ではなく、就活構造の問題があるとも言われています。
1.企業としては、大学の成績はあてにならないので、採用の参考にしない。
2. 学生としては、マジメに勉強しても「得」がないので、簡単に単位が取れる授業を選ぶ。
3. 先生としては、教育に真剣に取り組むと、自分の講義を選択する学生が減ってしまう。だから簡単に学生に単位を与えるようにして、自分の研究に力を入れるほうがメリットがあり、楽。
4. 学生としては、簡単に単位をくれる授業も多いし、卒業だけなら簡単にできる。やっぱり、マジメに勉強しても「得」がない。
5. (=1)企業としては、大学の成績はあてにならないので、採用の参考にしない。----東洋経済オンラインより引用
いかに日本のシステムが「イケていない」か理解していただけ他のではないでしょうか。ただ確実なのは、「この仕組みはすぐには変わらない」ということ。
世界との差を知った上で、勉強はもちろん、大学生活をいかに有意義に過ごすかを、自分の頭で考えることが求められているのです。
これまで、日本の大学生が世界の大学生に比べ、圧倒的に勉強しないことを述べました。ただ、co-media編集部では、机に向かい、学問に向かうことだが「勉強」ではないと考えています。
還暦でライフネット生命を立ち上げ、古希で大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)の学長に就任した出口治明氏は、大学生のうちにすべきこととして、以下のようにコメントしています。
大学生のうちになすべきことは、「人、本、旅」に尽きます。たくさんの人に会い、たくさん本を読み、たくさん旅に出てください。自分の知識を増やし、さまざまな考え方や発想のパターンに触れてください。
大学生というポジションは、とても恵まれています。大学には有名な先生がたくさんいるので勝手に押しかければいいし、図書館も充実しているので本も読める。そして、社会人より休みも長く、旅もしやすい。学生時代にこの三つを行わない理由はどこにもないのです。
学生の皆さんには、永遠に生きると思って、毎日を一所懸命生き、「人、本、旅」を意識して一所懸命勉強してほしいと思います。勉強したら人生の選択肢がいくらでも増えていきます。
---- 答えのない世界を生きる若者に、出口治明さんが伝えたいこと
大学というコミュニティを飛び出して様々な人に出会うことや、読書を通じて自分にない言葉を手にすること、旅に出て感じたことのない感情を得ることに、勉強の本質があるのではないでしょうか。
この記事を読んだ学生さんは、「異質」に触れ、自分のキャパシティを増やし、ケーススタディを積み重ねていく大学生活を歩んでみませんか?