TEDを英語教材として使っているという方は少なくないと思います。私もおすすめです!先進的なアイデアに触れ、一流プレゼンターの技倆を学びながら同時に英語の勉強にもなる。これほど魅力的な教材はTEDの他にないでしょう。今回は、TEDを使って効率良く英語力を上げるためのポイントをご紹介したいと思います。
TEDには多岐にわたる分野の様々なプレゼンが並んでいます。あれもこれも観てみたい気になりますが、英語力向上の点から言うと、あまり多くに手をつけることはオススメしません。
TEDを鑑賞する理由は、「第一人者たちのアイデアを学びたい」「プレゼンの技倆を上げたい」など人によって様々でしょうし、こうした動機のついでに英語力を伸ばしたい、と思っておられる方も多いことでしょう。
たくさんのプレゼンを観ることを否定するつもりは全くありません。
ただ、英語力を高めるという目的の上では、お気に入りのプレゼンどれか一つに絞って何度も聴き込む活用方法が最も効果的です。POINT2以降でその理由を述べていきます。
何度も聴き込む前提なら、初めの方は字幕を出さずに鑑賞しましょう。
繰り返し聴くことで聴き取れる範囲が徐々に広がり、また「ここだけは何度聞いても分からない」という部分がはっきりしてきます。その上で英語字幕を出すことで、視覚情報のインパクトが大きく定着率を向上させることがきます。また、自分の耳に聞こえた英語と実際に話されていた英語とのギャップも明白になるので、リスニング力向上にも効果てきめんです。
逆に、日本語字幕は早々に出してしまっても構いません。話の内容がまったく分からないまま学習を進めるのはストレスになるだけですので、一度だけ日本語字幕を出して鑑賞し、以降は字幕を出さずに観るといった感じで学習を始めるのが良いでしょう。
英語字幕を出す、あるいはスクリプトに目を通すときにせっせと辞書を引くのはオススメしません。
繰り返し観るなかで、推測に任せてある程度寝かせておきましょう。「文脈から推測しようがない」「恐らくこういう意味だろうけど一応確認しておきたい」というときに辞書に頼りましょう。
多くの英語学習者が苦手とするのが、異物混入です。分からない単語やフレーズが混入していると途端に気持ち悪くなって理解できなくなるという方は少なくないと思います。母語では、聞きかじった言葉を辞書も引かずに意味を推測してすぐに自分で使っていますが、外国語になると急に難しくなりますよね。
外国語でコミュニケーションをする際、知らない語彙が出てくることは日常茶飯事です。
「異物が混入している中でどれだけ理解を広げられるか」「その場で推測・理解して自分のボキャブラリに加えられるか」というのも非常に重要な能力の一つになってきます。
辞書はあくまでラストリゾートにして、できる限り自分の推察力・理解力に頼って学習に取り組みましょう。
学習が進み話がほぼ完全に理解できるようになっても鑑賞をやめないでください。
理由はこうです。
「聴き取れる」と一口に言っても、様々な段階があります。
多くの学習者は、(1)の段階で満足して学習を終えてしまっているように思います。しかし、(1)と(2)、(2)と(3)には大きな差があります。(3)の段階に達することができればリスニング力だけでなくスピーキング力強化にも繋がるので、これは非常にもったいないことです。
理解の済んだ動画を何十回と繰り返し観ることで、(3)の段階に達することがきます。「もう憶えてしまっているからだろ」と思われるかもしれませんが、まったくその通りです。
外国語での記憶能力は母語でのそれに大きく劣りますが、この記憶能力の差を生んでいるのは「耳慣れているかどうか」と「余裕があるかどうか」の2つでしかありません。
母語は普段から耳慣れているが故に記憶しやすく、また外国語は意図を汲み取ることに一生懸命なので言い回しや語用に注意を向ける余裕がありません。
何度も繰り返し見ているプレゼンだからこそ、耳慣れており余裕も生まれるので記憶しやすくなります。
大切なのは、使う教材ひとつひとつに対してネイティブレベルに達することです。TEDなら、ひとつひとつのプレゼンに対してネイティブレベルで聴けるようになるまで聴き込みましょう。
「は!?」と思われたことでしょうが、読者の皆さんをからかっているわけではありません。
音を消して観ると、視覚情報しか入ってきません。それでも、スピーカーの話を理解する方法があります。
読唇術です。
何度も見ていれば、内容をある程度憶えてしまっていることでしょう。記憶を頼りに唇の動きから発言を読み取れるようになっていれば大したものです。RとL、BとVなど、似た音を
口の形の違いから判別できるため便利ではあるのですが、英語が話せるためにこれができる必要は全くありません。わざわざ意識して身につけることでもないので、学習が進んでから一度試しにやってみる程度で良いでしょう。
「英語教育を通してアンビシャスな人たちの夢を叶える力になりたい」という夢を実現するため、日本人に最適な語学教育のあり方を求め米国ボストンに留学。現在は日本に帰国し、語学教育事業に注力中。帰国後も執筆の機会を頂けたことに感謝しています。大阪大学4年生。