先日LGBTに関して、スウェーデンからの女子留学生であるアントーニアさんにインタビューさせていただきました。 (インタビュー記事はこちら→ ゲイ・レズビアンを支援する留学生に聞いた日本の課題)
そこで、LGBTに対して日本と他国ではどのような考え方の違いがあるかを検証しました。
LGBTに関して調べていくなかで「アメリカでは多くの州で同性婚が合法化されている」という言葉を見ました。 「日本の法整備は遅れている」、というのはその通りです。
なぜ、アメリカは進んでいて、日本は遅れているのでしょうか。
そこで今回は日本とアメリカでの考え方の違いについて焦点を当てていきます。まず、アメリカに関しては「どの州が認めていないのか」が気になりました。
テキサス州やミズーリ州、アーカンソー州など、保守的な州では認められていません。 これらの州ではキリスト教の教えから同性婚には否定的な立場の人が多くいます。キリスト教の考え方が浸透している地域では、その考えに基づいて議論が行われるのでしょう。当たり前のことですが、これが日本とアメリカの違いだと思います。
価値を測る基準を持っていると、新しい「モノ」の受け入れ方を議論しやすいということです。
では、日本ではどうでしょうか。
筆者が疑問だったのは「日本ではどのようなLGBTに対する否定的な考えがあるのか」ということです。どのような価値観が元にあるのかが気になった、ということです。調べてみると次のような意見がありました。
「同性愛は親が子どもにしっかりした教育をしないから生まれる。自然の獣でも、オス同士メス同士が交尾はしません。同性愛は人間が作った個性の問題で、条例で決めるものではありません。条例を作れば、さらなる差別が必ず生まれてきます。」(渋谷区長選・公開討論会 4月18日)
これは先月の渋谷区長選に出馬した今城氏の発言です。皆さんはどう思われるでしょうか。
この意見の内容はともかく、日本では教育論・家族論を背景に、上に挙げたような考えが生まれるのではないか、と感じました。しかし、この価値観が日本で主流だとは言えません。
実際、先の渋谷区長選ではパートナーシップ条例を推し進めた長谷部氏が区長に当選しています。
(出典:http://fra.europa.eu/en/theme/lgbt)
日本では、まだ気づいていない「モノ」を発見したときに、それを肯定的に捉える向きがあるのではないか、と思います。例えば、2012年時点で、ウォールストリートジャーナルの調査では88%の日本人が同性婚に賛成だとしています。
ただし、積極的に賛成している人は少ないと思われます。同性婚が認められることで「自分たちの生活が良い方向に向かう」と感じる人が少ないからです。そして、渋谷区の選挙のように「みなさん、どう思われますか」と聞かれると、賛成票を投じる人が多いのです。
日本の場合は議論にならない程度の民意は形成されていて、そこに選挙のような問いが投げかけられて初めてその民意が公になる、と言えるのではないでしょうか。
アメリカは議論がまず起こり、それに政治がついていく。 日本ではゆるやかな民意の形成がまず起こり、それに政治が気付く。
民意の形成は時間をかけて行われます。少なくとも議論をするよりは時間が掛かるのではないでしょうか。
そしてそこに掛かる時間の差がそのまま「アメリカは進み、日本は遅れている」という問題に現れている、と思います。
一橋大学社会学部の3年生です。 主にニュースでみる時事的なトピックを取り上げて、記事を書いていきます。好きな映画や本、服、ラジオ、テクノロジーなどの記事も書けたらいいな、と思っています。