皆さんお久しぶりです。 イギリス・ブライトンでの留学生活を終え、無事に日本に帰国した脇本です。
この連載に寄稿するのも、これが最後となります。最後なので、この経験とそれを踏まえた自分の中での総括・反省等を含めた今僕が思うところ、考えるところをお話ししたいと思います。
まず初めに、10ヶ月間の語学留学でどのくらい英語が上達したのか、気になるところですね。
抽象的に話をしてもなかなか分かりづらいので、数字でお話しましょう。 留学前の2013年12月にIELTS、帰国直前の今年2月にCambridge English Advanced(通称CAE)を受験した際の結果が以下の通りです。大まかな換算表も与えられているので、それに基づいて計算してみました。
とこんなところですが、この結果をどう捉えるかは読者の皆さんの判断に委ねます。 IELTSの評価が全く分からないという方のために、簡単に説明するとIELTSで7.0-7.5のスコアがあれば、多くのイギリスの大学は正規学部生として受け入れをしてくれます。
さて、僕が受験したCAEというテストですが、日本では認知度が低く、聞き慣れないテストですが、実は欧州圏では最も権威のある英語能力検定の一つです。 難易度別にCPE, CAE, FCE, PET, KETの5つのテストがあり、CAEは上から2番目の検定にあたり、「仕事で英語を使用するプロフェッショナルな方向け。英国大学、大学院入学の際の英語証明書としても有効。」とのことです。
そしてこの検定の良いところは、IELTS等の試験と異なり有効期限がなく、生涯にわたり有効であることです。留学中、もしくは検討中の方は、腕試しに受けてみてはどうでしょうか。
そしてもう一つ、留学中、検討中に方に申し上げたいのですが、英語力は絶対につきます。嫌でもつきます。 だって、毎日英語ばかりに囲まれるのですから、つかないはずがありません。
以前、語学留学をばっさりと否定するような記事を見かけましたが、僕は語学留学で英語を学ぶことは決して悪いことじゃないと思います。
僕の個人的な見解では、Co-media上で留学ブログを執筆されている方々は、正規留学・交換留学をしている方が多く、英語が好きだったり、得意だったりするのかなあという印象を受けますが、皆がそういうわけには行きませんからね。
英語を勉強したいという気持ちは、たいていの場合、外国の人と楽しく会話をしたり、意見を交わしたりしてみたいということから来ていることが多いので、語学留学中に少しずつ英語が喋れるようになって、他国からの生徒とコミュニケーションがとれるようになる過程は、最高に楽しいですし、最高のモチベーションにもなります。
そういう点では、語学留学にもしっかりと価値があるのではないかなあと僕は感じています。ただし、確かに現地で会った日本人の中でも、英語の上達の程度に差はありました。
その差を産んだのは、明確な目標の有無にあったのではないかと見ています。
先程、英語力は絶対に伸びると申し上げましたが、与えられた期間中にどこまで伸ばせるかには、それまでの英語の学習量等に依って、ある程度限度があります。 多くの人が、「この留学が終わる頃には、ペラペラになって帰るんだ。」と漠然とした目標を持っていますが、何を「ペラペラ」と定義するかは人それぞれ。なんなら一個人の中でも時々によって変わってしまいます。 そうすると、ある程度楽しく英語を喋れるようになると、もうペラペラになったつもりになって自分を甘やかしてしまいがちです。
やはり、留学当初から妥当で明確な目標を持って、時折自分で自分をフィードバックしながらそこへ進んでいくのが大切です。その鍵となる目標設定ですが、自分の留学前の英語力を知らずに行うのは難しいので、出国前に何かしら英語のテストを受けてみるのがよいでしょう。その結果をもとに目標を決めると、明確で無理のない、でも達成しがいのある目標が、きっと立てられます。
僕の場合は前述したIELTSの結果をもとに、「大学院留学を考えることができる英語力とそれに見合う資格の取得」という目標を立て、振り返ればCAEも無事合格し、それを達成することができたのではないかと思っています。イギリス・オーストラリア方面に留学を考えている方はIELTS、アメリカ・カナダ方面へ向かわれる方はTOEFLが良いのではないでしょうか。留学をご検討中の方の役に立てばと思います。
ありきたりではありますが、留学で得られる一番のメリットは、文化の多様性に触れられることです。 日本という非常に閉鎖的な環境に暮らしていては見えないことがたくさんあります。もはや、ずっと日本に暮らしていては、自分が閉鎖的で特異な環境に置かれているという事実にも気付きにくいのではないでしょうか。
留学前に僕自身が感じていたことなのですが、年を重ねるごとに、また大学での専攻が次第に絞られていくにつれて、自分の視野がどんどん狭まっていくのです。世の中には自分の知らないことがたくさんあるのに、視野が狭まっていくのは損だと思いませんか?
僕の持論では、若いうちに視野を狭めてしまう事は、視野の範囲外にあるものを無条件に切り捨ててしまうことだと思うのです。自分が人生をかけて没頭できる何かがあるかもしれないのに、それを何もせずに諦めてしまう事に等しいのです。
留学はこの視野狭窄を防ぐ特効薬となり得ます。他国に長期間住んでいると、現地の人がどんなことに興味を持って生きているのかや、どういう風に物事を感じ取っているのかが、だんだんと感覚的につかめてきます。
もちろん、それが自分の感覚と置き換わることなんてありませんが、この別の感覚を自分のどこかに持っておくことで、同じ物事でも2通りの見解を得る事ができるかもしれませんし、今までに目が行かなかった物事にも意識が向くかもしれません。それ自体も視野を広げることに違いないのですが、もっと現地のことを知りたいだとか、話題作りのために友人の出身国についてもっと知っておきたい、旅行をするにあたって行き先の文化背景を少しでも知っておきたいなど、様々な動機から他国について調べる機会が多々あり、その過程自体が僕にとっては、視野を広げることに繋がりました。他国と比較する事によって、日本の良い所、改善すべきところも見えてきます。つまり、留学は自分を変える「きっかけ」に満ち溢れているものだと、僕は思っています。
さて、このコラムの連載タイトルをふと思い出したのですが、「理系」にスポットを当てていましたね。 理系で学ぶ方々にとって、語学留学は非常に良い経験になるはずです。というのも、普段大学で学んでいる方程式や数字から、一度完全に離れてしまうのです。完全に離れて、今までやってこなかったであろう、政治や文化について勉強し、調査し、討論するのです。 しかも、全く違う文化や考え方をもった外国人たちと英語で。物理的に新しい環境に飛び込むだけでなく、新しいことに取り組む最高の機会になるのです。「理系」で学ぶ学生にとって、語学留学は普段の生活や学習形態と全く違う異なる性質を持つので、「新しい経験を得る」、「視野を広げる」といった観点から見れば、一番その恩恵を受けやすいのではないでしょうか。
これまで、長々と僕の持論を書いてきましたが、読者の方々はどういう感想を抱かれたでしょうか? 僕が絶対的に正しいわけがないので、賛否両論あるでしょうし、様々な受け取り方があると思うのですが、僕自身もそれでいいと思っています。それこそ、「こんな考え方もあるんだなあ、気に入らんけど。笑」といった感じでも構わないので、読者のそれぞれの方法で咀嚼して、受け取ってもらえたら幸いです。せっかく書いたので。笑
以上、脇本和輝による留学ブログでした。拙い文章でしたが、ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございました。
・追記
ひょっとすると、来春にまた短期で留学するかもしれないので、機会があればまた寄稿するかもしれません。またお会いできるように頑張ります!(^^)
京都大学工学部4年生の脇本和輝(わきもとかずき)です。 イギリス・ブライトンでの語学留学についての体験記を執筆することになりました。 どうぞよろしくお願いします。気軽に読んで下さいね。