・大島さん(写真左) 小学校の頃から経営者を目指す。中学・高校ではビジネス、哲学、社会学の本を読みあさる生活を送る。大学時代は大学の教育システムに意味を見出せず、二年生からはほぼ通わずに大学外での活動を行う。その中でドバイの企業のCSR事業として、1500万円の資金を運用しながら財団法人の代表を務める。しかしある日契約書のミスにより借金を背負う。借金に苦しみながらも、「君には未来があるから頑張りなさい」と某有名会社の創業者から資金を得て返済をする。サイバーエージェントのVC での経験を経て、大学時代に感じていた非効率な大学のシステムを変えるべく、”これからの学歴をデザインする”というミッションのもと、インフラトップを設立しCEOを担う。現在リクルートのIT戦略室と株式会社インフラトップCEOの二足のわらじをこなす。
ーー大島さんの大学時代について教えて下さい
大島:小学生の頃から経営者を目指していて、大学1年の時は経営者の方にとにかくたくさん会って、意識高い系(笑)を極めていました。大学2年のときに「そろそろ意識高い系(笑)ではなくて意識が高い人間になろう!」と一度目の起業をしました。復興関係のプロジェクトを扱う財団法人です。その時には1500万のスポンサーを得て活動をしておりました。といいますのも、大学の2年の時に麻布の知り合いのお店でご飯を食べていたら、たまたま隣に座っていた人が会社経営をしている人で、なんだか話が弾んで仲良くなりまして。その方は、ドバイを本拠地に展開している会社のファウンダーだったのですが、日本でのCSR活動(ドバイでは慈善事業が必須らしく)に頭を悩ませていました。そこで自分が「それなら私がやりましょうか?」と言って始めたんです。その方から1500万円、その他にも大手やベンチャーからの資金を得て復興関連のプロジェクトに取り組んでいました。大企業の役員の方々や国会議員、市議会議員の方々を巻き込んで立ち上げました。その財団法人を運営していた時に契約書のミスで300万円の借金を半年ぐらい背負っていた時期もありました(笑)。ある企業からの入金が300万円ある予定だったのですが、その会社の業績の関係と契約書の関係で入金されなかったんですよね。その頃は大学3年生だったので、キャッシュのことは全く分からなくて、とても苦しい時期でしたね。もう会社なんて絶対にやらないでいようと心に決めた気がします。笑。そんな苦しい時にも助けてくれる人はいるもので、とある有名創業者の方に「君には未来があるから頑張りなさい!」と言ってくださって助けてもらいました。
ーー田中さんは二度大学に入られているのですが、それまでの経緯を教えてください。
田中:自分は昔から我が道を行くタイプで(笑)。基本的に成長欲求が強くて、そのとき意欲の向くことに没頭する形で生きてました。一度目の大学は家庭の事情により辞めたのですが、経済的な困難やレールを外れた感覚はいい経験だったなと思います。 二度目に入学した時は自費で、今まで身につけてきたものの中で何が一番社会に受けるのかなと考えながら、アカデミックな研究職を想定してました。理系の学部ながら哲学や文学など色々なジャンルのゼミに参加していたのですが、先輩にあたるプログラマーの方に会って、この業界がすごく賑わっていて在野でも優秀な人たちがいることを知り、活動していくようになりました。 在学中に8名で起業して、生活していける自信がついていたので大学はそのタイミングで辞めてしまいましたね。
ーーそもそも田中さんと大島さんはどのようにして出会われたのですか?
田中:起業した後は、デザインに強い会社と提携して六本木ヒルズで仕事をしてました。ほぼすべての時間を仕事に当てていましたね。受注開発を受けながら自社サービスの展開を目指していたんですが、中々自社サービスに当てられる時間はなかったです。そんな時期に大島から突然Facebookで連絡をもらいました。(笑)
大島:元々一年半ぐらい前から田中とは六本木ヒルズで出会っていて、「一緒に何か作れたらいいよね」と話してはいたのですがお互いにタイミングが合いませんでした。 ずっと田中の事は狙っていたので、会うたびに「近況はどうですか?」と聞きながら話を聞いていました。一緒に働きたいなぁ〜とは思っていましたが、あからさまなラブコールはしていなくて、周りから囲おうと思っていました(笑)。本当に一緒にやりたいと思っていたんですが、あからさまには誘っていませんでしたね。一緒にやりたいと言ってもらえるまで待とうと思っていました。
田中:大島は自分と違う強みを持っていると思っていたし、彼らといるとまずすごく楽しいです(笑)。このメンバーなら組織を大きくし、圧倒的に成長していけると感じてました。あとはタイミングをみていたのですが、結局飲みにいった 江古田でチェックメイトされましたね(笑)。
大島:僕は大学に通っていたもののあまり通わずに留年もしていて、大学に価値を見出せていませんでした。大学に行ったら、教授は教える事に対して消極的ですし、そこに来ている学生も授業を本気で受ける気もないし、親は大金を大学に払って切迫するし、その環境って僕は無駄だなと思っていました。 教授も学生も親も満足できていないんですよね。三者が不幸な状態に陥っていると思います。それを変えたいと思って、より価値のある教育を展開したいと思ったのが始まりですね。大学のマーケットのリプレイスをしていきたいと思いました。
ーー財団の時の「会社はもうやらない」という心境からはどう変わったのですか?
大島:僕はおそらく根っからの起業家タイプだと思います。事業を立ち上げているときがとにかくワクワクしていて、財団で一回失敗して他人も自分も信じられなくなっても、一週間くらいすると「またやりたい」「面白そう」となってくるんですよね。 例えば、起業家が作った会社がリクルートで、営業が作った会社が サイバーエージェントで、銀行員が作った会社が楽天で、という風に色々な特徴がそれぞれあると思うのですが、うちはメンバーたちが起業家気質な特徴がありますね。
ーー起業家を支援する側の VC での経験は起業する上でどのように生きましたか?
大島:VCというのはサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)で アソシエイト として働いていました。内定先であるリクルートの方からご紹介いただいてジョインをしました。CAVで業界を勉強させていただいたからこそ「まずシードラウンドは自分たちで頑張ってみたい。」と思いました。1000万~2000万円くらいは自分で作りたいなって、これを作れないといざって時に踏ん張れないかもしれないなって。そう思いました。
ーー大学をリプレイスしていくのは簡単な事ではないと思いますが、どのように変えていこうと考えているのでしょうか?
大島:我々は独自の教育プログラムを提供しています。
今は、Webスクと「デザインキャンプ」というプログラムを運営しています。最近ではプログラミングキャンプやWebデザインキャンプなどが増えてきていると思いますが、やはりそこで学んで終わりになってしまっている人が多いと思っています。
それではもったいない思ってまして、インプットした知識を実際にアウトプットしないと意味がないと思っています。
具体的に何をしているかというと、プログラミング教育なのですが、その教育が終わった後に、 BtoB で部分的に案件を扱えるような人材レベルまでに押し上げるところまで携わっています。プログラミングをして、実際に世の中に出るサービスを作る経験をしてもらうということですね。スキル、経験、実績とともにお金を稼いでもらいます。僕らは半年コースだと40万円なのですが、その40万円をサービスを作るチームの一員となってもらい、半年後にはプログラミングのスキルも確実に得た状態で卒業していってもらいます。
田中:インフラトップの教育のプログラミングとして、本質的・実践的であることを重視しています。公教育をはじめ教育機関は、非効率だったり、出口が見えにくかったりするものが一般的になっていると思います。そういう部分を作り変えて新しい教育の形を作っていきたいですね。実際にメンバーもそういった文化に共感して入ってくる人が多くて、東大を中退して入ってくれるメンバーもいます。自分の学歴を自分でデザインするメンバーしかいませんね。
ーーかなりおもしろいメンバーが集ってきているのですね。
田中:本当に経歴がすごいメンバーが多くて、生死をさまよってきたような人間ばかりです(笑)。 本気を出すとハンパないですね。半数以上のメンバーが以前に300万より大きな額を借金していたりします。
大島:僕らの強みとして、みんなしんどい思いをしてきているメンバーが多いという部分があります。そういう意味で、成功を目指すメンタリティが強く、必ず成功しようという思いは全員が強く持っています。社員全員がファミリーです。
ーー実際に事業を進められてきて、これからどういう世界観を目指したいと思われていますか?
大島:根本には挑戦をスタンダードにしたいという思いがあります。まだまだ日本には閉塞感があります。例えば僕らの歳で「挑戦する」というと親に反対されて「将来どうすんの?」と言われる。将来の事なんて誰にも分からないじゃないですか。 起業じゃなくても絶対みんなやりたい事ってあると思うんですよね。もっとみんなが気持ちよく挑戦できる国にしたいですし、失敗しても受け止められる国にしたいです。だからこそその環境を僕らが作っていきたいです。
田中:自分は意欲が乗らないことに力を注げないので特に重点を置いているのですが、色々な情報や経験を、自分で実感の持てる意味にしていく作業を大事にしていくといいと思います。物事をきちんと内省し、その情報にリアリティを持つことを心がけていくといいですね。これができていると自分の意思決定がスムーズで、根の深い意欲が持て、120%の力を出していくことができると思います。
大島:元々リスクを追うのがすごく苦手な環境にいたんですよね。親や親戚はみんな日立製作所や電通といった大企業にいるんですよね。大きい規模の会社に勤めていて、基本的に不確実性を嫌う人種じゃないですか。 でもそんな人でも本当に自分がワクワクする事ってあるわけじゃないですか。その時に、自分のワクワクに素直になってそこで一歩踏み出せるか。で、一歩踏み出す事は意外と簡単でそのあと、そのまま歩き続けれるかが重要だと思います。継続しないと何にもなりません。それゆえにたくさんミスもしますが、若いうちはそれも遠回りにならないですよね。 ワクワクした人生を歩みたい方、インフラトップへ気軽にオフィスに遊びに来てください。迷ったら電話してきて下さい。寝泊まりはできます(笑)。