フツーな私が国連で働くために~帰国目前に訪れる留学特有のスランプ~

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アメリカから板倉がお送りします(-^〇^-)

本日は、留学生なら誰でも経験するスランプについて、 これから留学に行かれる方に是非知っておいて欲しいと考えたので、筆をとらせていただきます。

スランプって? 最初の1、2ヶ月で日本帰りたくなるやつ? それは留学初期症状のホームシックです。

私もアメリカに来てから3週間くらいはちょっと辛かったですが、すぐに慣れます。Don’t worry!

ここで話したい留学スランプとは、 ある程度留学に慣れ始めてむしろ帰国も目前に見え始めたころにやってくるやつです。

さて、私の場合、スランプはまさに帰国の数ヶ月前にやってきました。

 

猪突猛進の第1セメスター

板倉さん2-001私の当初の留学の目的は、

①英語力の向上 ②知識を増やす

の2つでした。

英語力について、大学生になるまでフツーに公立学校通って日本の受験体制と英語教育にバッチリ順応してここまでやってきた私は、読み書きできるけど話す聞くが苦手な典型的超日本人でした。

それをこの一年でなんとかしたい!

2つ目の知識について、アフリカや中東の国際政治、また難民キャンプのオペレーションなどについてガッツリ知識をつけること。

そして何より圧倒的に成長を遂げ、“完璧な留学生活”にすることが私の目標でした。

1セメスター目は、最初の3週間ホームシックにかかったものの、 気の許せる友達もすぐにできて、割と順調。

ただ授業はまず何を言っているかさっぱりわからないのでついていくのが必死で、 全部の授業をボイスレコーダーに録音してあとから聴き直してノートを作成、 プラス予習のリーディング40ページくらいに追われる毎日。 そして当たり前のようにしょっちゅう書かされるレポートとテストの数々。

しかも、英語の発音が下手なために、授業中に発言しても「ん?」って言われたり、 ヨーロッパ系の友人とうまくコミュニケーションとれないことがあり、 あまりに悔しかったので日々の宿題に加えて Youtubeとにらめっこしながら発音の勉強も始めました。

(留学生同士はどうしてもお互い自分の国のなまりで英語を話すので、最低限正確に発音しないと理解してもらえないことが多々あります。 特にアジア系、ヨーロッパ系と母語がかけ離れていればいる程その傾向が顕著です。

私は最初フランス人の友達が話しかけてきた時、 「あれこの人フランス語で話しかけきているのかな…?」と本気で思いました。 向こうも同じように思っていたのかもしれませんが。笑)

図書館で勉強し終わるのが2時半。

そこから部屋に帰って発音の練習してシャワー浴びて、 くたくたで就寝するのが朝の4時。

9時に飛び起きて10分で着替えて歯を磨いて、 髪の毛ぼさぼさなので帽子でごまかして授業に走りました。 (これから留学に行く人は帽子をたくさんもっていくことを切実におすすめします。)

毎日平気で12~14時間くらい勉強していましたが、 必死だったのでそんなに辛くはありませんでした。

しかも毎日それなりの充実感があるので、 「正しい留学生活を送っている!」という気持ちが 私を満足させていたんだと思います。

9月に留学が始まったので、3ヶ月目の11月くらいからは、 授業でも必死に予習していけばちょっとずつ発言できるようになってきて、 知らない世界に出会う勉強の楽しさも感じ始め、

「留学たのしーいなー!ヽ(*´∀`)ノ」と思いながら生活しておりました。

 

転機の第2セメスター

板倉さん3-00112月に留学生活前半を終えたとき、しかし私は気づいたのです。

どうやら目標の「知識をつけること」は達成できているけど、 本当に英語力って伸びてるの?

結局また読み書きだけぐんぐん伸ばしてない?

私の学校はほぼ日本が人いないので日本語ばっか喋っちゃって困る…! ということはありませんでした。

しかし仲の良い友達のほとんどは留学生仲間で、 やはり異国で生活する留学生同士は友達になりやすく、

様々な国の友達ができてそれはそれで楽しいのですが、 使う英語のボキャブラリーの範囲もお互い限られている上に 発音も話すスピードもネイティブよりは格段に遅いわけです。

ネイティブの発音に特有な音のカッティングやリンキングも無いので、 ある意味発音はクリアで国特有のアクセントに慣れれば、 聞き取りやすくもあります。

留学生とは難なく話せるレベルにきたのだから、 もう一ランク上の英語のレベルにいきたければ、 もっとアメリカ人の友達と仲良くならなきゃ…!

あと半年しかない…

とにかく“完璧な留学生活”にしたいと考えていた私は 無性に焦りを感じていました。

ということで、 2セメスター目からは積極的にアメリカ人の友達を作りに行き、 彼らとの交流の時間も大事にするようにしました。

通常の4科目に加えて議員オフィスでのインターンも始め、 ついでにフランス語の勉強も再開。 勉強時間は減ったのにやることは増えたわけです。

背伸びして参加しているインターンでは、 周りのインターン生と自分を比べて常に劣等感を感じていなければならなかったし、 4時間ずっと、極度に緊張状態でした。

ずっと勉強していなければ追いつけない量だけど、 勉強してばっかりじゃだめだし。

アメリカ人の友達とワイワイしていても、 なんだか“外国人”としていつも扱われているようで 留学生の友達とするように心からワイワイできない。

グループワークの多いリーダーシップの授業では、 いつまでたってもネイティブの学生をディスカッションで論破できない。

たぶんストレスが溜まっていたのだと思います。 でも自分がストレスを溜めるタイプだなんて考えたこともなかったので、 ストレスが溜まっていたことにさえ気づきませんでした。

それどころか“完璧な留学生活”のために、 この一年間は寝る、食べる、勉強する、友達と英語で話す以外の時間は できるだけ過ごしたくないと考え、

スマホの待ち受けは「いいから勉強しろ。」の言葉。(受験生かよ。)

寮の部屋にはホワイトボードに自分で書いた 「修行終了まであと〇〇日!!がんばれ美聡!!!」という自分からの激励。

留学中の一分一秒を、 自分の成長のための有意義な時間として使わなければ自分のことが許せなかったし、 一分一秒を有意義に使えていない日は 私にとって完璧な日じゃありませんでした。

別に誰かに強制されているわけじゃないのに、 一番しんどかったのが自分から自分へのプレッシャーでした。

 

そしてスランプへ。

板倉さん1そんな中で、ある日フランス語のクラスで、 聞いたこともない名前のコンピューターソフトを使って 初耳の中間テストがはじまりました。

ぽかんとする私を横目に、一斉に解き始めるクラスメイトたち。

どうやら、私は2学期目からフランス語の授業に入ったので知らなかったのですが、 クラスメイトたちは毎回授業と並行して コンピューターソフトを使って演習課題をしていたようでした。

そのことに私は中間テストの日が来るまで全く気づかなかったのです。(笑) もちろん私は全くそのソフトに手をつけていませんでした。

「カタカタカタカタ…」とタイピングの音が響く静かな教室で、

「あの、ログインの仕方教えてもらってもいいですか?」と教授に聞かなければならなかったこと、

「え、一回もこれやってないの?」と驚かれて

「あ、はい、知らなかったです…、すいません。」と頭を下げなければならなかったこと、

いやたったそれだけのことに聞こますが、 来るテストすべて120%準備して受験してきた私には大きなことでした。

なんだかぷつんと糸が切れた音がして、 溜まっていたストレスが溢れ出してきたのがこの時でした。

授業が終わって、クラスメイトとお昼ご飯に向かうこともなく、 部屋に戻ってベッドに向かってヘッドスライディング。

以下は当時の日記からそのまま引用します。

“「もう勉強したくない、英語しゃべりたくないし、インターンもいきたくないしピザももう食べたくない!」と友達に電話した。

私は一人でがんばれる!私はタフだから大丈夫!

と思ってたからそうじゃなかったことに気づいてものすごく情けなかったし、できるだけ誰にも言いたくなかったけど、一番の弱さはそんだけストレス溜めるまで誰にも頼れなかったしょーもないプライドの高さなんだろう。

「修行終了まであと〇日!」というボードの言葉も消して、

「いいから勉強しろ。」というスマホの待ち受け画面もおいしかった駅近くのパンケーキに変えてみた。

やりたいと思ったことだけやって、クラスはぜんぶスキップした。

一日中ごろごろして、寝たいだけねて、お腹すいたらたべて、気が向いたら起きてシャワー浴びて。

難民センターの子どもたちに会いに行って癒されて、友達とげらげら笑って、

なんだか今までよりずっと肩の力ぬけてた気がする。

イミのない時間を過ごしつづけて、自分が如何に今まで一挙一動に意味を求めていたかよくわかる。

人生は有限で、私の夢はやたらでかいけど私の実力はちっぽけで、

英語もいつまでたっても完璧にきこえてこないし、

フランス語も始めたばっか、

頭だってそんなによくない。

結局自分に自信ないから努力する。

最大限がんばりました!って言えないなら自分のこと認めてあげられない。“

 

留学生のメンタルヘルス

留学生のメンタルヘルスの問題って、実はよくある話なんです。 私も自分がスランプに陥るまでまったく考えたことはありませんでしたが、

「留学 欝」でグーグル先生に聞いてみればかなりの数がヒットします。

例えば、異国の土地で外国人として生活することは、 自身のアイディンティティにも関わります。

人間は他人との関わりの中で自分がどういう人間か知っていくものですから、 周りからの扱い方が変わればもちろんアイディンティティにも大きな影響があります。

あれ、私こんなのじゃないのに。って、思うことも多くありました。

しかもそれが多くの場合は悪い方向に、です。

特に“外国人”として扱われることの日常的な劣等感。

そして母国から離れている孤独感。

さらに留学生のメンタルヘルスを悪化させる原因として、 人に相談しにくいということがあります。

まず、留学生活の悩みは留学生にしか分かりえないことなのです。

どんなに仲のいい友達でも、 この何とも言えない日常的に感じなければならない孤独感や劣等感の辛さは なかなか伝わらない。

かといって留学中の友達に相談して、 「え、私いますっごい留学楽しい(-^〇^-)」と言われたら もうメンタルが終わるので、それはそれで言いにくい。

両親は、高いお金を出して、しかも異国で離れて生活している自分のことを誰よりも心配しているはずなので、 相談なんてなかなかできません。

私も「毎日楽しいよ!頑張ってるよ!(-^〇^-)」とメールしておりました(笑)

しかし、同じく留学中だった親友に迷いに迷って思い切って電話してみたところ、

「私も冬くらい辛かったけど、 美聡今がんばってるんだろうな~って思ったら なんか相談できなかった。」と言われ、

ああ、みんな同じようなこと考えてるんだな~と実感しました。

結局2時間くらい話して、なかなかすっきりしたものです。

私がベッドからそろそろ出ようと最終的に決めたのは、 フランス語のクラスの友人からのメッセージがきっかけでした。

「Misato,クラス来なかったけど大丈夫?大変だったら手伝うからね! 明日〇〇とフランス語の映画みるからMisatoも来てね。」

このメッセージにとても救われました。

ちゃんと私のこと見てくれている人がいるんだなって、 私が勝手に気にしてただけで私もちゃんとこっちで人間関係築けてるんだなって、 ほっとしたのです。

今私は来たるテストに向かってまた頑張っております。 演習課題をほとんどこなせていないフランス語の授業は 単位が出るかかなり怪しいですが(笑)、

中東政治のクラスでは勉強の楽しさも実感しつつ、 アフリカのクラスではずっと勉強したかったPKOについてレポートを書きつつ、 インターンでまた悔しい思いもするけど、 クラスメイトとパーティする予定もあるし、 でも前より少し休憩する時間も大切にして、 それなりに忙しく過ごしています。

“いま、また勉強がんばろう!って本気で思っていて、友達との時間も大切にしたいけど思いっきり勉強もしたい、二つのベクトルのどちらが完璧な留学生活として正しいのか、もちろん私にとっての正しさでしかないのだけれど、悩んで悩んで、でもたかが1年目のキャパじゃどっちもやりきれなくって、でも体当たりでどっちもやろうとしてみる、ぎりぎりのところでふんばりながらあと1ヶ月ちょっと過ごしたい。”

日記に書いた自分の言葉に負けないように、あと少し走り抜けたいと思います。

ここまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございました。

次回は留学終了後に更新します^^

この記事を書いた学生ライター

Misato
Misato
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イギリスのダラム大学で平和構築の修士課程修了後、パレスチナで活動するNGOでインターンをしています。”フツーな私が国連職員になるために。ギャップイヤー編”連載中。 Twitter@Misato04943248<⁄a>

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