今回は、短いTEDトークでインスパイアされるものを紹介します。
紹介するTEDトークのスピーカーはDerek Sivers(デレク・シヴァーズ)です。
彼の肩書はアントレプレナー(起業家)ですが、元々彼はプロのミュージシャンでした。1987年にミュージシャンとしての活動を始め、1998年になり、自身のCDを売ろうとしたとき、CD Babyという自分の会社を立ち上げました。その後知り合いのミュージシャンからもCD Baby上で曲を売ってほしいと頼まれ、CD Babyとしての本格的な活動が始動しました。
会社はどんどん拡大していき、今では15万ものミュージシャンをクライアントとして抱え、オンライン上での楽曲販売としては最大規模だ、と言われるまでになったのです。そんな彼がTEDトークで紹介したのは、物事の捉え方についてです。 それは忙しい彼が世界中を旅する中で気づいたことだと言います。
今回のTEDトークの中で一番大切なことを示す彼のセリフがこちらです。
「自分たちが意識せずに仮定していることやその逆だって正しい事がありうる」
このTEDトークのテーマである、「Weird, or just different?」にもつながるアイデアで、自分が意識せずに仮定していることの逆のことが起こった時に、それを「変だ」と捉えるか、「ただ私たちとは少し違うだけだ」と捉えるか。
そういった物事の捉え方、視野について彼は様々な例を用いて説明してくれます。
彼がTEDトークの中で用いた例のひとつに、このアイデアを説明するのにとても分かり易いものがあります。
皆さんにも考えていただきましょう。
お医者さんにお金を払うときはどんな時でしょうか?
この質問をほとんどの国の人にすると必ずこういうはずです。「病気を治してもらった時だ」と。しかし、この質問を中国ですると、まったく違う答えが返ってくるのだそうです。
お医者さんにお金を払うときはどんな時か、という質問を中国の人に聞くと、 「健康な時だ」と言うのだそうです。
中国では健康であることにお金を払い、逆に病気になるとお医者さんにお金を払わないそうです。 多くの国では病気を「治してもらう」ことにお金を払いますが、中国では逆に「健康を保ってもらう」ということに価値を見出しているのです。
これも、どちらかが「変」なのではなく、どちらも正しいのです。自分の価値観、視野と違うから変だ、というのはナンセンスなのですね。
さらに、彼はこんな例を出します。
多くの人は「1」を音楽のダウンビート、つまり「1-2-3-4」のようにカウントのはじめとして使います。 しかし西アフリカでは、「2-3-4-1」というふうに、文章のピリオドのようにフレーズの終わりとして使うのだそうです。 これもまた、どちらかがおかしいのではありません。どちらも正解として成り立っているのです。
彼は言います。「これだから私は時々地球の反対側を 訪れるのが好きなんです。自分たちが意識せずに仮定していることや、その逆だって正しいものでありうることに気付かせてくれます」と。
インドに「何であれ正しいことの逆はまた正しい」という言葉があるのだそうです。
私たちが正しいと信じるものの背景には、自身の経験であったり、それぞれの考えがあると思います。 しかしもし自分と違う考えをもった人が現れても、それを頭ごなしに「おかしい」と判断するべきではないと思うのです。
グローバル化が進む中、これから違う文化背景をもつ人、違う価値観を持つ人とたくさん関わることになると思います。 そういった状況でこのTEDトークをふと思い出して、なにか考えるきっかけになればなあと思います。
・Weird or Just Different? By Derek Sivers 「変?それとも違うだけ?」by デレク・シヴァーズ (2分35秒)
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!