「普通の学生と違う。」DeNA創業者・南場智子氏が答える、若手起業家の悩み。

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ナンバ氏2

3/12(木)・スタートアップスクール「南場智子氏と若手起業家3名によるセッション」(主催:Skyland Ventures)

南場智子(なんば ともこ)さん[写真中央] 津田塾大学卒業。学位は経営学修士(ハーバード大学・1990年)。株式会社ディー・エヌ・エー創業者。外資系コンサルティング会社・マッキンゼーアンドカンパニー出身。

牧浦土雅(まきうら どが)さん[写真右] 1993年生まれ。TEDの選ぶ『世界の12人の若者』に選出される。パーソナルデータを取り扱かったサービスを開発中。 そんな牧浦さんの詳しいインタビュー記事はこちら

株式会社mikan 宇佐美峻(うさみ しゅん)さん[写真左] 英語能力を高めるために週末に集中的に学習する「”超”英語合宿」を始めると、口コミで人気が高まり、100名以上の参加希望者が殺到。「”超”英語合宿」で研究した単語学習ノウハウを活かして、未経験だったプログラミングを独学で習得し英単語学習サービスmikanを開発。

カウモ株式会社 太田和光(おおた わこう)さん[写真右奥] 「欲しいモノと出会う。」をコンセプトとした、モノに関する情報をまとめたサービス・カウモを運営中。昨年の8月から始まったサービスにも関わらず、莫大なトラフィック数を稼ぎだしており、今最も注目されているキュレーションメディアの一つとなっている。

ナンバ氏6「(牧浦さん、宇佐美さん、太田さんによる)3人のプレゼンテーションを聞いて、DeNAが例年開催している学生向けビジコンを辞めようかと思う。」

”学生時代から既に起業してチャレンジしている人達は素晴らしい”という意味を込めた南場智子氏のこのコメントからセッションはスタートした。今回はこのセッションの一部を書き起こし、紹介する。

起業に対しての周囲からの反対は?

南場:私が起業したのは36歳の時で、その時でさえも、皆に大反対されました。 3人の中には学校を途中で辞めた人もいるし、日本から出た人もいるし、みんな就職してないよね? 親がみんな目をつむってくれているのか、それとも大反対しているのか、実際どうなの?

太田:大学1年生の頃に退学をして、既にスタートアップで正社員として働いていました。その頃、母親が入院中だったので父親だけは説得して、母親には「大学は楽しい」と言っていました。母親が退院する頃には僕はご飯を食べられるくらいの稼ぎがあったので、親も認めてくれました。親は単純に心配なだけなんです。ちゃんと食べて立派にやっているということを証明できたら納得してくれます。

宇佐美:僕の親は少しだけ起業を反対していました。最初は「就職した方がいいんじゃないか」と言われましたが、「どうしてもやりたいなら、やりたいようにやったらいいよ」と言ってくれるようになりました。

牧浦:僕の親も似た感じでしたね。母親は「とりあえず大学だけは出て欲しい」と言ってました。でも就職する気がない大学に行く意味はないと思ってました。結構多くの学生、ここに来ている学生も含めて、学位を取るためにだけに大学に行っているんだったら、中身がないし何も意味がないじゃないですか。そもそも就職する気がなかったので、大学に行く意味がないと思って退学しましたね。

南場:みんなすごくクールだよね。シリコンバレーのカルチャーだったら皆みたいな人はヒーローだよ。普通の日本の学生たちとは見ている世界が全然違う。君たちみたいな人がDeNAに来て欲しいし、一緒にいてすごく楽しそうだし、世界に売り出したいし、一緒にプロジェクトやりたい。 これがクールだという感覚を一般の学生にも思ってもらいたいよね。

宇佐美:僕は不安とか迷いとかありつつ、とりあえず一歩踏み出した感じです。僕の場合は休学がターニングポイントでした。休学届けを出した瞬間に「これをやるしかない」と思いました。自分で道を選んで、退学とか休学とか会社の登記とか、一歩踏み出したキッカケを、自分の中で一つ作ることができれば、変わっていけるという感覚を持っています。

決断したら行動

ナンバ氏3牧浦:「不格好経営」の中で、「正しい選択肢を選ぶよりも、決めた選択肢を正しくする」という話がありますよね。僕は、たくさんの選択肢がある中でも、どれを選んでも同じぐらい価値があるんじゃないかって思っていて、AとBという選択肢があれば、すぐにどちらかを選んでしまおうと決めています。そういうカルチャーが起業文化に繋がっていくんじゃないかと思います。

南場:私が書いた言葉ですが、本当にいいこと書いてありますよね。(笑) 選んでしまったんだから、「この選択肢で良かったんだ」と腹をくくって行動するだけ。そうしないと結構ウジウジしてしまいます。

宇佐美:南場さんもウジウジされるんですか?(笑) 僕は普段から明るく振る舞っているのでネアカに見られるんですけど、結構ウジウジするところが自分の中にあります。

太田:僕は結構バカで、「孫正義カッコイイ」しか頭になかったです。(笑) そこで、もう退路を断つしかないと。退路を断ったら(大学を辞めたら)大学生じゃなく、ただのニートなんですよ。「もう這い上がるしかない」という気持ちが出てきて頑張れたんです。最初に逃げ道を消すのはオススメです。

南場:何回失敗してもやり直せばいいだけだからね。退路を断って、「何者でもない自分」から「何者か」にならないといけないし、その過程で得たものや続けてきた努力って絶対に為になるんだよね。

牧浦:僕もまだ21歳なので、あと10回くらいこけても立ち直れますし、そうなってくると打席数が増えますよね。そう考えるとやっぱりスタートは早いほうがいいですよね。

太田:確かにアホみたいな失敗してしまうよね。(笑)

南場:私なんかあと30年ぐらいしか生きれないですからね。(笑) 君たちは60年くらい生きれるからいいよね。

宇佐美:僕あと100年くらい生きると思いますね。(笑)

DeNA創業までの経緯

牧浦:南場さんにお聞きしたいんですけど、僕の場合は「こういう人になりたい」と感じる人がいるんですが、南場さんが起業される時ってロールモデルはあったんですか?

南場:いないです。私は全ての人に尊敬するところがあると思っているんですが、「この人みたいになりたい」と思ったことはないです。ロールモデルを持った事がないんです。誰が世の中で一番すごいかをしいて挙げるなら錦織圭選手かな。(笑) 3人は起業して、お金の面では苦労していないの?

宇佐美:いい投資家の方に出会えたので、資金面で苦労はしていないですけど、節約はしてます。

太田:うちもお金の面では苦労していないです。宇佐美くんと同じで、いい投資家に巡り合えましたけど、節約はしています。(笑)

牧浦:僕はゼロです。自分の貯蓄で何とかやっています。 南場さんが創業された頃って、村口さんとお知り合いだったんですか?

南場:うちの旦那が私より先にマッキンゼーを辞めていて、あ、マッキンゼーとかほんとださいよね。ごめんね。(笑) 普段あんまり仕事の話はしないんだけど、会社を立ち上げるときに相談できる人って誰だろう?って旦那に聞いたときに、村口さんだよと言われました。

牧浦:売り上げがまだ出ていない時ですか?

南場:まだ全然出てないとき、会社かな?って時期ね。(笑) とにかく私は財務の事を知らなかったんですよね。マッキンゼーって本当に大企業のサポートをしかしていないので、財務の知識とか弱いんです。だから一生懸命財務の勉強をしましたね。

牧浦:自分でゼロからスタートしようとなったときに、エンジニアやデザイナーがかなり重要になってくると思うんですが、最初マッキンゼーを辞めて起業するときに、最初のフォロワーというか、2人目の創業メンバーってどこで見つけられたんですか?

南場:会社で探しました。私もすごく視野が狭かったのと、クライアントとの関係でコンサルタントって絶対に名乗っちゃいけなくて、人脈が広がりにくかったんですよね。クライアントに創業メンバーを誘いに行くって言うと会社に殺されますよ。(笑) その狭い世界の中でも180度を見渡して「こいつだ!」っていうのが創業メンバーの川田尚吾と渡辺雅之でした。あと感謝しないといけないのは、ソニーコミュニケーションネットワークの山本さんという方がバックアップしてくれました。山本さんに「インターネットオークションやったほうがいいですよ」って言ったら、「じゃあお前がやれ」って言われて。(笑) でも本人は覚えていないんですよね。(笑)

牧浦:いま会場にいる人って起業したい人が多いと思うんですけど、今もし南場さんが学生だったとしたら、どうしますか?

南場:起業ってただの形式じゃない?それよりも何をしたいのかってところに興味がありますね。ただ大学3年生とかだと、世の中をあんまり見てないから、「これやりたい」って強い思いがないと思うんですよね。 もし私が学生なら、事業を自分に任せてくれる会社に入って、どんどん力をつけて、「これやりたい」というものが出てきたら、ベストな形が起業であれば起業するし、その会社でやれるならそのまま続けるし、別の会社でやるほうがいいなら違う会社でやるし、という感じですね。とにかく、やりたいことが出てくるまで、仕事の達人になっておこうと思いますね。そういう選択肢をとると思います。

どうメンバーを採用していくか

ナンバ氏4南場:みんなプログラミングって何歳から初めたの?

宇佐美:僕は去年の5月(はじめて1年弱)ですね。

太田:2年くらい前です。

牧浦:僕は一切できないです。これからもやらないですね。僕は結構もとからできる人たちを巻き込んでいくタイプです。 採用基準というところで、メンバーを増やすときに、どこを一番見てますか?

南場:言語化は難しいよね。自分よりすごい人、尊敬できる人、とかかな。

太田:一緒に仕事して楽しい人かな。

宇佐美:一人しか採用してないのですが、それはもう信用できる人かな。安心できるというか。

牧浦:組織を見るときに、最初は新しく入る人を全て自分で見れると思うんですが、組織が20人、30人となったときに、どれぐらいにの規模なったら採用部長に任せていたんですか?

南場:140人ですね。140人まで、全部、給料いくらかまで決めてましたね。140人ぐらいになると、前の人のレビューが終わらないうちに次の採用になったりするので、そこで無理だなと思いました。自分で直接見なくなったから劣化したかというと全然そんな事なくて、DeNAの大事な価値観がむしろ強くなっている感じがしています。 みんな今はまだ組織って感じじゃないよね?

牧浦:全然まだ組織じゃないです。

南場:意外と2,3人採用するまでにトラブルになるケースもあるみたいだよ。

牧浦:僕も一人でやってましたね。

太田:僕も最初に投資を受けた時は2名だったんですけど、そのあと一時的に1人になりました。

宇佐美:僕も投資受けた時は1人でしたね。

牧浦:僕のチームで1か月で辞めた人がいました。理念がうんぬんとか言って、やめてしまって。

南場:それショックだった?

牧浦:そもそも採用指針とかもなかったですし、自分のミスだなと思いつつ、理念が合わなかったですね。人って自分が得意じゃないないことをやらされると嫌なんだなと、ひとついい経験になりました。そこまでショックではなかったですね。

南場:エネルギーをそこで疲れるくらい使わされることもあるんだよね。そういうトラブルも小さいチームでもあるんだよね。価値観の不一致とか。

宇佐美:それはありますね。一緒にやってたメンバーに「この会社で何を成し遂げたの?」とか聞かれて詰められたことがあったんですけど、そんなの分からないし、言語化できないです。そういうときは疲れますね。周りから見える自分と自分の真の姿とかなり不一致があるんですよね。

南場:そうだよね。私もビジョンとかあんまり無かったんだよね。目の前のことをがむしゃらにするのが楽しいし、出資受けているから成功しないといけないし、みたいな。だからビジョナリーな経営者にコンプレックスがものすごくあって。ところが2013年に会社に戻ってきたときは、ヘルスケアに今までとは次元が違うほどパーソナルな思い入れがあるわけよ。だから社員の前で話していても神がかるわけ。(笑) これなんだなと。本当に思ってないと出せないものがあるんだよね。1000人の会社を率いているわけだから、みんなをまとめるためにいいこと言うんだよね。でも宇佐美くんと同じで私も現実的なんだよね。

牧浦:南場さん、最後に今日来ている方にメッセージをお願いします。

南場:この3人を見て「かっこいい」と思ってくれたらそれでいいなと思う。日本の一番の問題は価値観なんだよね。他人の人生を生きてしまうようになっているというか、小さい頃から「間違えない達人」が量産される教育システムなんだよね。そこを疑って、この3人に少しでも心が震えたら、行動を起こして欲しいと思います。

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