スラム街・スモーキーマウンテンの事実。アジアのホンネを知るために。

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本当に本当に祝日の多いフィリピンから、アテネオ・デ・マニラ大学に留学中の楢府です。

先日大学がお休みだったのですが、正式な告知がないにも関わらず、大学に行っても誰もいなくて驚きました。噂でお休みを告知できるフィリピン社会、恐るべしです。どこから正しい情報が発表されているのでしょうか・・・3か月以上経った今でも謎のままです。教授が「来週Quizするからね!」と話していたので、祝日とは知らず、4時間睡眠でテスト対策もし、予習もし、行ったら休講でした。友達に確認しても、祝日名がPresident Dayという人もいれば、 Fr. Jett’s birthdayという人もいて・・・。極端な例だと、「名前なんて細かいことを気にしないでお休みをもらえたことに感謝して楽しまなきゃ!」と言っている人も・・・。

本当によく分からないです。(確認したところ、今回のPresidentは大学の学長を指すらしく、学長の誕生日だから(!?) 休みだったとのことです。)

 

楢府さん4-4さて、今回はフィリピンで最も有名な場所について書いていきたいと思います。フィリピンと言われて、スモーキーマウンテンと連想する方も多いのではないでしょうか。今回は、前回の雇用問題に引き続き、年末に訪問したスモーキーマウンテンについて見聞きしたことをもとにフィリピンの社会問題について書かせて頂ければと思います。定期的に現地でのNGO活動に参加しているのではなく、1泊2日の「スタディツアー」として訪れただけですが、2日間で私が見聞きしたことをお伝えしたいと思います。

 

隣り合わせの格差

まずは場所からご紹介したいと思います。私がいるのは、Ateneo De Manila Universityと書かれている赤線が引かれている場所で、訪問したスモーキーマウンテンはPayatasと書かれた赤く囲われている地域の中にあります。楢府さん4-2私の大学の目の前、KatipunanAvenueと言われる大通りには、スターバックスやマクドナルド、シェーキーズなどなど日本でもよく見かけるようなお金持ち向けのお店が軒を連ねています。ここから車で交通渋滞がなく直接行けば15-20分程度の場所に今回訪問したスモーキーマウンテンはあります。

近距離にお金持ちの場所とスモーキーマウンテンがあるの!?と驚かれる方も多いかと思いますが、フィリピンでは10-15分程度の徒歩移動ですさまじい経済格差を体験できます。私の大学周辺の例では、食費をみても、大学の表通りは安くてファストフードの100ペソ(約300円)から、カフェに入ってコーヒーとサンドウィッチ、日本食レストランで和食を食べると350ペソ(1050円)を超えます。大学内で食べる場合も、ホットサンドが大体80-100ペソ(240-300円)、こちらで一般的なおかず1品とご飯でも70-120ペソ(210-360円)程度はします。一方で、一般的な人々が住む大学の裏側は徒歩で15分程度なのですが、おかず1品とご飯で量も多く大体30-45ペソ(90-130円)です。楢府さん4-8ー 大学の表通りのお金持ちをターゲットにしたお店

私が訪問したこのスモーキーマウンテン、世界的に有名になったトンドというスモーキーマウンテンとは別の場所です。1960年代から廃棄物の集積が始まったと言われていますが当時は現在ほど規模は大きくなく、1995年のトンドのスモーキーマウンテンの閉鎖後、現在のようなスラム街に発展しました。現在は、ごみが積まれている場所は高い壁で覆われ、許可証を持った人のみが壁の中でごみ拾いをすることが可能な状態です。また一部のごみ山は土が被せられ、恣意的に隠されたものもあります。許可証がないので実際の山には行かず、まわりのスラムへ訪問しました。楢府さん4-3ー ごみ山に土をかぶせて隠したあと

 

スモーキーマウンテンに住む人々

様々なNGOの方やブロガーの方々が書かれているように、この地域には悪臭が漂い、ゴミがいたるところにある場所です。治安も悪く、一時期はタクシーやジープニーと呼ばれる乗合バスですら近づかなかった場所で、小学校や中学校を中退している人もいたり、劣悪な環境下で健康不良に苦しんだりと、大変な思いをしながら日々過ごす人も存在します。ただ、今回は、そのような人々ではなく、私が見た周りのスラムに住んでいる人々の生活に焦点を当てたいと思っています。楢府さん4-7ー 地域の子どもたちの様子

このスモーキーマウンテン周辺に住んでいる人々は、もともとこの地域に住んでいた人々ではなく、「スモーキーマウンテンがある」と分かった上で移住してきた地方出身者、または以前トンドでスカベンジャー(ごみ拾いを仕事とする人)をやっていた人が多いです。地方は依然として農業中心で経済活動が限られており、前回書かせて頂いたようにフィリピンでは農業以外の仕事の数が慢性的に不足しています。豊かな生活に憧れて地方から出てきたものの、都市で職が見つからず、生きていくためにこの場所に吸い寄せられるように集まってきているのです。この場所では、スモーキーマウンテンから再利用できそうなものやペットボトルやビニール、金属等を拾うことで最低限食いつないでいけるほどのお金は手に入ります。また、雇用ではないため人数制限も解雇もありません。加えて、ここには様々なNGOが活動をしており、フリースクールをはじめとしたサービスを受けられます。海外からの支援金もこの地方自治体に集まってくるため、地域のクリニックであれば無料の医療サービスも受けることができます。つまり、ブロガーの方やNGOの情報を見て多くの方が抱いているような、「スモーキーマウンテン=貧しい」というイメージは必ずしもこの地域の全てではないような気がします。

実際、電気や水道が通っている家もありますし、一部の大人は携帯も持っています。また、ここに住んでいる一部の若者は大学まで通うことができています(国全体の進学率は30%弱)。この地域の中で比較的裕福な家庭にインタビューした時は、スカベンジャーからごみ山にある再利用できそうなカバンを1つ20ペソで買い取り、洗って週に3回程度、1つ100ペソで20個程度売っているそうです。単純計算しても1600ペソ1日に稼ぐことができ、この金額は法定最低日給の466ペソ(=1200円強)比べても明らかに高いです。これに加えて、家族経営のサリサリストア(個人経営の日用雑貨等を売るお店)の収入、1人がコックとして近くで働いている収入で家族5人が生活できており、子どもの1人は大学に通い、もう1人も高校に通っています。

逆から言えば、「環境が悪い」(これが最大の問題なのですが・・・)ことさえ除けば、ここであれば生きていけます。とても皮肉なのですが、ある意味では、大量のごみと海外からの支援がこの環境に人々を集めているともいえるのです。

 

「必要とされる」支援とは・・・

一方でラモス大統領がトンドを閉鎖したように、スモーキーマウンテンを国の恥だと考える人々が多いのも事実です。私も大学のフィリピン人の友人にはスモーキーマウンテンに行ったことは話していません。

「なぜそんな場所にわざわざ見に行くのか」 「フィリピンにはもっと行くべき素敵な場所がある」 「汚い」 「危ない」 「自分の意思で住んでいる人々になぜ同情するのか」

以前、友人に話した時にこのように言われました。この友人たちは将来、フィリピンの国の中心となって活躍するであろう人材で、そのような人がこのような考え方では国が積極的には対応しないのもうなずけます。

このように、国が必要とされる支援を提供できない中で、海外のNGOをはじめとした支援が困っている人々のために教育サービスや医療サービス、自立支援を行っていることはとても大事なことだとは思います。ただ、長期的視野で考えた場合、疑問が残ることもあります。例えば、2008年のように経済危機が起きれば、真っ先に支援金が削減の対象となってしまいます。そうすれば、支援金に頼っていた人々は生きる方法を失ってしまいます。実際に、私が訪れたフリースクールでは給食が資金難で廃止になりました。また、無料のサービスを当てにこの環境に人々が引き寄せられ、スラムが拡大していることからもわかるように、人数は増加し、運営資金は増えていく一方です。楢府さん4-5ー 側溝にあふれているごみ

もし、このスモーキーマウンテンを閉鎖し周りの人々を締め出す、または高性能の焼却施設を設置するとどうなるでしょうか。彼らはきっと知っている情報の中で最良の生きていく方法をもう一度選ぶことになるでしょう。正規ではなかったとしても、環境が劣悪だったとしても。もしかしたら一部は強盗などで生計を立てようとするかもしれませんし、一部はギャングに入るかもしれません。でも「生きていく」ためには仕方ない選択なのです。

難しい。今はその一言しかありません。環境が劣悪だろうと、悪事を行わず、一生懸命自分の力で働いて家族を支えている彼らを、無理にこの環境から引き離すべきではない・・・。けれど、この環境を放置するわけにもいかない・・・。彼らの支援をすれば、同じような人々が増えるかもしれない・・・。良い解決策はあるのだろうか、「幸せ」とは何か、考えずにはいられません。

フィリピンでの留学生活は、この問題にとどまらず、様々なことを見聞きし、考えさせられる日々です。「格差」、「差別」、「貧困」・・・。日本にいるときには全く理解できないことを目の当たりにし、新たな価値観や考え方に驚くことも少なくありません。また、日本で聞いていたものと全く違うことも多く、まさに「百聞は一見にしかず」、そんな留学生活です。まさにこのコラムのタイトルである「アジアの本音を知るために」、出会いを大切に様々なことを見聞きできればと思っています。

次回は、Coco Problemと言われるココナッツ農家が搾取されている問題に取り組んでいる同じ大学の学生のインタビューを書きたいと思っています。彼はこの団体の代表で、大学内でデモを実現した本当にすごい人なのですが、会うたびに冗談を言って笑わせてくれるイケメンです。(笑) ぜひ、次回もよろしくお願いします!

この記事を書いた学生ライター

楢府 奈緒子
楢府 奈緒子
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2014年10月からフィリピンに滞在中。11月から3月までのアテネオ・デ・マニラ大学の交換留学を終え、現在はオロンガポ(マニラから北に4時間)でPREDA FoundationというNGOでインターン中。フィリピンの色々な側面を知りたいと、現地の人に交じって生活しています。 (※Facebookでの目的が曖昧なコンタクトや友達申請は控えて頂けると幸いです。)

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