ゲイ・レズビアンを支援する留学生に聞いた日本の課題

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アントニアさん2

名前: アントーニア ラムステット(Antonia Ramstedt)さん 所属: 大阪大学文学部 英語英米学専修 2年 スウェーデンからの留学生。多くの大学生や教授を巻き込み、「LGBTや性的少数者を含むセクシュアリティの多様性」をテーマにした関西レインボーパレードに3年連続で参加。 英語版/English version → Speak out in Japan! LGBTs are not alone.
最近よく耳にする"LGBT"。性的マイノリティの方々を指す言葉ですが、日本においてはまだまだ認知や受容が乏しく、肩身の狭い思いをしている方が多いと聞きます。関西でLGBTのレインボーパレードを主催するキーパーソンにお話を伺いました。

日本でLGBTは公表しづらい

ーー日本で初めてパレードに参加したのはいつですか?

2010年に東京でのパレードに初めて参加しました。今回は4回目で、大阪は3回目ですね。 私の大学で関西レインボーパレードの参加者を集めることは最初は難しかったですね、私一人で個人でやっていましたので。より多くの人に声をかけたかったのですが、一番最初は私と友だちが少しいたくらいですね。できるだけ多くの人を集めたかったです。留学生も日本人学生も一緒に関西レインボーパレードに参加して欲しかったですね。

ーーLGBTについてどう思われていますか?また、スウェーデンではLGBTはどのように取り上げられていますか?

一人一人の平等な権利を守ることは大事です。社会の少数派の人々にとって、彼らの人種、性別、性的志向やエスニックグル―プがおかしなことと思われたり、問題として扱われたりするべきではないですね。 スウェーデンでは、同性結婚は合法化されています。教会での結婚さえ認めらていますし、子供が欲しければ、養子縁組も可能です。2005年にパートナーシップが合法化され、2009年に同性結婚も合法化されました。

ーーLGBTの捉えられ方の面では、スウェーデンと日本を比較すると具体的にどのような違いを感じられていますか?

私が感じた大きな違いは、テレビで出ている有名人ですね。スウェーデンでは、LGBTであるアイドルやタレントなどの有名人のほとんどは、自分の性的志向を公開しています。 しかし、日本だとよく知られるLGBTの有名人はお笑いタレントぐらいですね。IKKOさんや楽しんごさんなど、女装している男の人だけです。 私が問題だと思っているのは、日本では、彼らの存在が笑いの種になっていて、お笑い芸人しか公表できないという点です。しかし、スウェーデンでは、お笑い芸人以外にも、自分の性的志向を公開している歌手やアナウンサーがいます。 私はあくまでも外国人の視点からこの問題を見ているので、日本のLGBTである人々の代わりに言っているわけではないですが、私個人の意見として言うと、もし自分が日本人のゲイであれば、笑い話のようにしか話せないと思います。これが例えばアメリカとなるとまた話は変わってくると思います。

”一人じゃない”と伝えたい

ーーアントーニアさんの身の回りにゲイやレスビアンの友達はいらっしゃいますか?

はい、います。実は私の大学にはLGBTサークルが存在していて、そこに知り合いがいます。ただ、このサークルの運営は難しいと聞いています。それはサークルの参加者が皆同性愛であることを明かしていないからです。私が思いつく1つの原因は、日本の文化的に公表しづらい空気があるからです。マイノリティになりたくないという特性ですね。もし、自分が皆と違ったら、その違いを隠してしまうということですね。IMG_20141117_235758ーーレインボーパレードの存在意義は何ですか?また、LGBT団体はどんなことを主張していますか?

この問題は、LGBT団体の中でもよく議論されますね。公衆の前に出るのは良くないと主張する方もいますが、パブリックにメッセージを送らないといつまでもLGBTの存在が知ってもらえないと考える人もいます。 レインボーパレードはプライドパレードとも呼ばれているので、私の意見では、この「プライド」の部分にフォーカスして欲しいですね。パレードに参加することで、LGBTである人々が自分のアイデンティティにプライドを持つようになります。また、色んな人と一緒にパレードに参加すると、人との繋がりができて、「自分は1人じゃない」ということが分かってくると思います。レインボーパレードが社会に伝えることは、LGBTが存在しているということ、そして「私たちも平等な権利が欲しい」というメッセージです。スウェーデンではLGBTの祭りは一週間続き、「プライドウィーク」と呼ばれています。毎年50万人くらいの人が参加します。パレードの中に、よくポリティカルサインが見受けられますね。例えば、「equal rights for all(人々に平等な権利をあげる)」というサインです。同性結婚が合法化されたため、現在スウェーデンではそういったサインを持ってパレードを行う必要はなくなりましたが、アメリカなどではよく見られます。もちろん、政治的な主張がパレードの大事な一部ではありますが、私にとって、パレードの一番大事な意味は、LGBTである人々が「自分は一人ではない、社会の少数派であるかもしれないけど、仲間がいる」と感じてもらうことです。東京や大阪のパレードでも同じように、ポリティカルサインはよく見受けられますし、それ以外の面白い看板やサインを持ってパレードする人もいました。以前、私は「もし、結婚したかったら東京に来てください、私たちが認めてあげる」という看板も見ました。もちろん合法的な婚姻届は出せませんが、この仲間たちの「何とかしてあげたい」という気持ちは伝わりましたね。

誰もが参加できるLGBTのコミュニティが必要

ーー将来的なLGBT団体の使命は何だと思われますか?

大きなことはあまり言えませんが、せめてLGBTサークルだけではなく、LGBTを応援する人々も参加できるグループができれば、面白くなるんじゃないかと思います。誰でも参加できるようなLGBTグループがあれば、皆が集まって少数派問題や権利などの話題について議論したり、LGBTに関連する活動に参加したりすることが期待できると考えています。

この記事を書いた学生ライター

Yuzhao Song
Yuzhao Song
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英語でのインタビューを行っています。

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