ーー上埜さんが学生生活をどう過ごされていたかお聞かせください。
学生時代は授業を中心にプログラミングに取り組んでいて、基本はテニスサークルで遊んで塾講師のバイトでお金稼いで普通に楽しんで生活している、という感じでした。 授業のプログラミングで特に技術力が身に付いていたわけでもないですし、意識が高いほうではなかったです。ある時、友達が3年生の時に参加したiPhoneアプリの開発インターンシップが楽しかったと聞いて、僕はその時4年生だったんですけど、インターンに行ってみようと思いました。その時に参加したのが、サイバーエージェントさんのインターンだったんですけど、10日でiPhoneアプリを作るというものでした。僕はそれまでiPhoneアプリの開発経験が無かったのでノリで選考を受けたんですが、なぜか通ったんですよね(笑) その経験が非常に楽しくて、その頃から漠然とエンジニアになりたいと思い始めましたね。大学院に進学した後、本気でWEBの勉強を始めました。
ーー独学でプログラミングを学ばれていたということなんですが、具体的にどういう環境で勉強されていましたか?
マックをもともと持っていたので、開発は環境構築をするだけで事足りました。ただサーバサイドの勉強をする際はレンタルサーバーも使って開発していました。本は、最初に「よくわかるPHPの教科書」という参考書を読んでいて、有名だったことからその本を選びました。三週間ぐらいでこの1冊を仕上げましたね。その後は、「パーフェクトシリーズ」という参考書に取り組みました。400ページくらいありましたが、体系的に学べるので非常に分かりやすかったです。
ーーiPhoneアプリの開発インターンがエンジニアを本気で目指すキッカケとなったというのは、具体的にどういった転機があったのですか?
インターンシップに参加する前は、僕の認識では「仕事なんて楽しくない」という認識が強くあった中で、サイバーエージェントさんが実務に沿った形で経験させてくれていたこともあり、かなり楽しかったんです。「楽しく仕事が出来るんだ」と感じられたのが大きな転機だと思います。そのインターンも募集要項が学部3年生と修士1年生だったんですけど、「チャレンジしても損はないな」という気持ちで選考を受けました。この思い切りの良さも大きかったですね。
ーー具体的にエンジニアを目指すことを決められてからどういう活動をされてきたのですか?
何かサービスやアプリを作ろうという目的意識から入ったタイプではないんですよね。自分は本を使って勉強するタイプなので、エンジニアを目指す人の中では珍しいタイプかもしれませんね。有名な本をまず一冊読んで勉強することから自信をつけようと思いました。修士1年の時にも開発のインターンシップに参加しようと決めていたので、それに向けて勉強しようというのもモチベーションでしたね。ですから実際にアプリをインターンで作った後すぐに就職活動だったので、自分自身で開発したサービスというのはないんですよね(笑)
ーー開発において一番刺激的な経験は何でしたか?
やはり優秀な人が世の中には大勢いるということに気づいた時です。僕なんかは今でも真ん中にいるかどうかも怪しいレベルです(笑) SpeeeさんのWEBアプリの開発インターンシップは、上級インターンシップという枠組みだったんですけど、集ってきたエンジニアが皆レベルが高くて、毎日実力不足を感じながら朝から晩までやっていましたね。インターンシップに参加すると本当にハンパない学生がいて、彼らと一緒に開発すると実力の差が顕著に出て自分の実力不足を体感しますね。僕は何かに取り組むときに自分のスキル面で「できない」という状況を作りたくないんです。できる人がいるのに自分はできない、というのは悔しいですよね。その事実を目の前に突き詰けられて、やらないといけないと思うようになりましたね。それが10日間毎日突き詰けられるという経験が本当に刺激的でした。
ーー実力不足が顕著に出たのは具体的にどういうシーンだったのですか?
特に感じたのは、作業スピードですね。作業を役割分担していくんですけど、作業を終えるスピードが段違いに早い人がいますね(笑) 僕が一つの作業やっている間に二つ三つやり終えているみたいな。目に見えてスピードの差が出ちゃうので、それが一番実力の差を痛感したときでしたね。チームメイトに引け目を感じながら作業していました。
ーーそういった悔しい経験を次にどう生かされていましたか?
やはり経験不足とスピードの早さというところで、かなりの差を感じたので、今どれだけ勉強しても自分は「まだまだだ」という意識は常に持てるようになりましたね。そういう意識をずっと持てているので勉強に対する意欲が尽きないのは大きいですね。
ーー上埜さんにとって、エンジニアの魅力はどういう点にあると思われていますか?
サービスの設計から工程を作って、チームで話し合いながらサービスを作っていくこと、ですね。つまりゼロからサービスを作るということです。自分たちの考えたものを実現させるモノづくりの楽しさを僕は感じています。
ーー就職活動の企業選びの判断軸を教えて頂けますでしょうか?
軸としては、楽しく開発できるか、という開発環境の充実度で考えていました。インターンシップを通して、楽しく開発できることが重要だと考えるようになっていました。それに加えて、どういう状況だったら楽しいのかを考えていたんですけど、僕の場合は同じレベルの人や自分より優秀な人と働き成長したいという思いがありました。あとは、働きすぎない環境ですね。楽しくなくなるほど働きたくないというのはありましたね。例えば、どベンチャーのような企業さんだと、成長はできると思いますが、自分は楽しめないのではないかというのを、インターンの時に感じていました。
ーーその上埜さんの判断軸ではどういう企業が当てはまっていましたか?
最終的には当てはまった企業さんは、ヤフーとドリコムさんでしたね。ただ企業選びの段階では、逆求人の説明会などで説明を聞いたところばかり受けていました。実際の社員の方と個別にしっかり話した上で受けていました。
ーー逆求人での就職活動について詳しく教えて頂けますでしょうか?
逆求人フェスティバルという新卒採用イベントを運営しているG STYLUSさんが僕の所属している研究室に飛び込み営業に来たんです。「よかったら来てください」という感じだったのですが、有名企業が参加予定だったので行くことにしました。企業さんと個別に話せるイベントだったので、何回かイベントに参加して企業の方に自分をプレゼンしていきました。プレゼンの内容は基本的には自己PRですね。インターンでのiPhoneアプリ制作の経験やテニスサークルでの会長の経験を話してましたね。ここではどんなサービスを作ったかだけではなく、人間性も見られていたと思います。逆求人イベントは他にもサポーターズさん、エンカレッジさん、アカリクさんのイベントに行きましたね。
ーーヤフーさんから内定を取られた過程と、なぜヤフーさんを入社先に決められたのかを教えて頂けますでしょうか?
他に受けていた企業さんは逆求人イベント経由だったんですけど、ヤフーはそうではないんですよね。先輩にヤフーの内定者がいて、面白い会社だということを聞いて知っていました。その段階からいいイメージを描いていたんですよね。今は少人数で開発していると聞いて、より自分が望んでいる環境だと思ったんです。 実際に自分のキャリアを考えた時にメガベンチャーを希望するようになったというのも1つの理由ですね。リソースがたくさんある企業のほうが楽しいと思いましたし、データをたくさん持っているほうが面白いサービスが作れるんじゃないかと思っていたので、ヤフーに決めましたね。
ーー上埜さんにとっての「成長」とは何ですか?
エンジニアとしての市場価値を上げていく時に、僕は価値の上げ方は2パターンあると思っています。技術力をどんどん上げていく本当に尖ったスペシャリストと、何でもオールマイティにできるゼネラリストの2つですね。僕は性格的にスペシャリストのタイプではないと思ったんです。どちらかというとなんでもこなせるようになりたいと考えています。ベンチャーに行くとサービスの企画から開発まで自分でできるとは思いましたが、死に物狂いで頑張るような環境ですと、自由な開発時間が失われる気がしていました。 僕は、日本を代表するサービスを作りたいという思いがあります。その時に、企画から開発まで携わりたいと思っています。ですので、企画力を身につけて、何か作りたいと思った時に、どんなサービスでも作れる開発力を持つような人材になっていたいと思います。
ーー日本を代表するサービスを作るまでのキャリアプランというのはありますか?
まずは新規事業を開発したりサービス開発にしっかり関われたりできるチームに入りたいと思っています。例えば2週間で、サービスを0から立ち上げてリリースするようなスピード感のあるところで仕事がしたいです。その後3年スパンくらいで部署を変える制度があるので、企画力が身に付く道か、インフラ開発のようなサービスの裏側の力が付くような道のどちらかに行きたいですね。さきほど言っていた大きいサービスには30歳までに力を付けてチャレンジしたいです。
ーー読者にメッセージをお願いします。
大学の中だけに閉じた生活をしない方が楽しいですし、色んな経験をしたほうがいいと思います。学生のうちはバイトやサークルだけでなく本を読んだりニュースを見たり、なんでも新しいことに挑戦することで、自信をつけたり視野を広げたりするのが一番重要だと思います。 就職活動は人生がかかっているので、特に大学院生で研究や他の事と両立したい人は前もって準備しておいたほうがいいと思います。真面目に研究している大学院生の両立は結構しんどいと思います。友達の研究室では教授が「研究しろ」と小言を言ってくるという話も聞きますし。当然、前もって準備している方が内定も取りやすいと思います。