投稿日: 2014.10.23

京大初のプロ入りへ。田中英祐、プロ野球という選択。

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10735693_649986968454495_1458524766_n[1] 京都大学からロッテに入団が決定された田中選手。そんな田中選手に、ロッテ入団までの流れ、京大に入ろうと思ったキッカケ。京大時代の生活について話しを伺いました。

名前: 田中 英祐(たなか えいすけ)さん 所属:京都大学工学部4年 京都大学工学部4年の田中 英祐(たなか えいすけ)です。 出身は兵庫県の白陵高校で、先日京大硬式野球部を引退しました。

安定とは真逆の”プロ野球”へ

ーープロ入りか就職かで悩まれた中で、なぜ田中さんはプロに行こうと思われたのですか?

理由は二つです。一つは、単純にまだまだ野球を続けたいと思ったからです。 もう一つは、京大初のプロ野球選手という部分です。僕がその肩書きを背負ってプロで活躍することは非常に意味合いが大きいと思います。名門の高校・大学から野球一本でプロに行く王道の形ではなく、勉強に力を入れてプロも目指すという道があることを後世に伝えることができれば、僕の人生の中でとても価値があることだと思っています。使命感のようなものがありましたね。

ーー今までで野球を辞めようと思ったことはありましたか?

本気で辞めたいと思ったことはないですが、辞めたいという気持ちを持ったことはあります。大学に入学した当初は野球を辞めようか悩んでいた時期もありました。大学4年のちょうど今のタイミングでも辞めるかどうか悩みましたね。

ーー大学に入ったタイミングで野球を辞めようと思われたのは勉強に集中したかったからですか?また、4年生の時に辞めようと思ったのはなぜですか?

入学当初は大学生らしいことをやりたいと思っていたからですね。勉強に集中したいと思うほど意識が高いわけではなかったです。サークルに入ったりバイトをしたりといった生活を送りたいと思っていました。 4年の時の心境としては、永久に続けられるわけではない野球に自分の人生を賭ける価値はあるのかと考えることもありましたし、野球をしていない自分が他の分野でどれだけ頑張れるのかにも興味がありました。他の学生と同じラインに立って、彼らと勝負していくというのも一つの面白い選択だと思ってました。ただ、やはり野球への思いは強かったので、そのまま野球を続けることにしました。

ーープロ入りという厳しい道を選択したということで、ご両親から反対されることはありませんでしたか?

親の反対は全くなかったです。好きにしていいと言われましたね。「あなたの野球に関しては、私たちが口出しできる領域を超えている」と言ってくれました。あとは自分自身がどういう進路を選ぶかにかかってましたね。自分で言うのもおかしいですが、本当にいい両親に育ててもらったと思っています。幼少期の頃からしっかりダメなことはダメとって言ってくれていたので、そういう面で責任感が磨かれたと思います。

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田中さんの考えるキャリア

10723296_649986985121160_1468115486_n[1]ーー大卒でプロ入りせず、企業に就職してから社会人でプロ入りするという選択は考えましたか?

社会人野球からプロに入るという道は選択肢の一つにはありました。ただ、社会人野球で自分の力が伸びず、ドラフトで声がかからないという状況が自分の中で一番最悪なシナリオだと考えていました。やはり野球を続けていく限りは「プロを目指す」という気持ちがありますし、現段階で大卒でプロに入るチャンスがあるので、可能性を感じるときにチャレンジしたいという意味で、社会人からプロ野球へという道は早い段階で消えましたね。 就職活動を終えて内定を頂けたということもあるんですけど、それまでは一つの選択肢として社会人野球の道は考えていましたが、今年の5月ぐらいにはその選択肢はなくなりましたね。

ーー田中さんの就職活動での企業選びの判断軸を教えて下さい。

僕の軸は「野球がない自分が一番どこで成長できるか」でした。僕が「一緒に働きたい、成長したい」と思うような、こういう人になりたいと感じるような社員の方がいる企業を探していました。その中で見つかったのが総合商社ですね。バックグラウンドがそれぞれ違う方が多いですし、働くフィールドが世界の舞台になるので、人間性や語学力を向上させることができると思って選びました。 野球部の試合を最優先にしていたので、多くの企業は受けず総合商社に絞って受けました。内定は4月の1週目には頂いていました。内定までの流れとしては、一次面接が終わって、二次面接を受けて春季のリーグ戦を戦って、東京で最終面接のような超タフなスケジュールでしたね(笑)

ーー田中さんは工学部に所属されていますが、理系職を探すという選択肢はありましたか?

理系職で研究や開発をするか、総合商社で働くかで考えたときに、やはり僕が体育会系ということもあり、理系職は合わないと感じましたね。もし大学で野球をしないという選択をしていたら大学院に進学していたと思います。今の野球部の部員達に会うこともなかったですし、体育会系の雰囲気を味わうことはなかったと思います。そういう意味では、野球がなければ他の工学部の学生と同じように大学院に行って研究職に就いていたと思います。

ーー野球や就職活動をしながら大学の単位もしっかり取得されていたとお聞きしたのですが、全ての面で結果を出せているのはなぜですか?

単位に関しては3年生の終わりには取り終わっていたんですけど、それは周りに助けてもらった事が本当に大きかったですね(笑)前提として「野球を言い訳にしたくない」という気持ちも当然ありました。これは中学・高校時代から同じです。特に高校時代は野球をしていることが「勉強できない言い訳」に全くならない環境だったんですよね。野球部員がみんな頭が良かったので、その競争の中にずっといたことでかなり鍛えられましたね。 就職活動に関しては、たまたま時間に余裕のある時期だったので、授業への影響はなかったですね。

ーー野球や勉強に対するモチベーションの源泉は何ですか?

野球に関しては時期によって変わってましたけど、やはりチームスポーツなので「仲間に迷惑をかけない」というのがモチベーションとしては一番大きかったですね。後悔から湧き出るモチベーションもあります。自分の責任で負けた試合は忘れられないので、その悔しさを晴らすというか、次に生かしたいという思いもモチベーションになっています。 勉強に関しては、高校の時は「何としても周りに負けたくない」という気持ちですね。進学校だったこともあり、勉強できる人は凄いと思われる風潮があったので、上に行きたいというのはモチベーションになりましたね。大学では単位を取らないといけないという義務感がモチベーションですね。親に学費を出してもらって通っているので、単位だけはしっかり取らないといけないと思ってましたね。

京大野球部時代

10723637_649986971787828_1537414481_n[1]ーー田中さんの最大の挫折は何でしたか?

最大の挫折はこれから来る気がしています(笑)今までで言うと、大学2年の時に全然勝てなかった時は挫折でしたね。野球においては中学・高校・大学とずっと負けっぱなしだったんですよね。負けすぎていて、負けていることを挫折と感じないくらいだったんです。でも、大学2年の春にようやく京大が勝てそうな試合があったんです。ただ自分のせいで負けてしまったんです。その時はかなり辛かったですね。ただこれからその悔しさを晴らす舞台はあると思っています。

ーー今までの野球人生で最高の瞬間はいつですか?

連敗が止まった時ですね。それまで京大は60連敗をしていたので、その連敗を自分の力で止められた時は本当に嬉しかったです。泣いている先輩もたくさんいて、勝った瞬間はチームみんなで集って優勝した時のように盛り上がりました。あれほど嬉しかったことはなかったですね。

ーーマウンド上では緊張されるとお聞きしていますが、その時の気持ちのコントロールに関して何か意識されているのですか?

めちゃめちゃ緊張しますね(笑) 緊張しますけど、普段の自分とは違うと思っています。自分の世界に入り込んでいる感覚がすごくありますね。やはり緊張をほぐすには、練習中から試合でのあらゆる場面を想定できているか、準備できているかというのが重要だと思います。

ーー田中さんの目指している選手像をお聞かせ下さい。

野手から信頼してもらえるピッチャーと言いますか、この人がマウンドに立っていたら「絶対ゼロで抑えてくれる」と思わせるようなピッチャーになりたいですね。チームメイトに不安感を与えないことが重要だと思います。自分が「崩れそうだな」と思ったとしても、少しでも野手にその不安を感じさせないようにすることですね。自分の不安感を表に出さないようにすることは意識しています。練習中の態度も大事ですよね。ちゃんと練習していないとチームメイトに信頼してもらうのは無理な話だと思うので、練習中も態度を意識しながら取り組んでいましたね。

ーー具体的に参考にしている選手はいますか?

二人ほどいるんですけど、一人目は楽天の則本選手のような気迫を出していくピッチャーです。則本選手の投げ方は僕と似ているので、参考にしたり目標にしたりしています。二人目はオリックスの金子選手のようなピッチャーです。ピッチングの引き出しが多いと思いますし、見ていて安心感がありますよね。僕にとってはその二人が、理想的なピッチャーだと思っています。

ーープロ入りしてからの目標はありますか?

一軍で投げる事がまずは一番の目標ですね。ピッチャーなので自分の投げている姿をこれまでお世話になった方々含め色んな人に見てもらいたいという気持ちはありますね。あとは長く野球をやることが一番ですね。まずは目の前のことをしっかりこなすということを意識していきたいです。

後輩の学生アスリート達へ

ーー体育会の部活動に所属していて、プロに行くか企業に就職するかで悩んでいる学生に是非アドバイスをお願いします。

プロに行ける可能性があっても企業に就職した方はたくさんいますし、自分の周りにもいます。就職活動でそういう人に会ったこともありました。僕もギリギリまでプロ入りか就職かどちらに転ぶか分からない状況でした。たとえ悩んだとしても、どういう結論を出したとしても、周りの方々に応援してもらえると思うんですよね。それぞれの世界に入った時を想定して、自分がどういう価値を出せるかを考えることが大事だと思います。自分の本当に行きたい道かどうかを考えた上で選択したらいいと思いますし、僕はそういう視点で考えて選択しました。二つの選択肢の両方を比べて、どちらが自分にとって価値を見出せるか。もし、より価値を見出せると感じるのであれば、その分そのフィールドで頑張れるということだと思います。一度決断したのであれば、きちんと胸を張って「こっちに行きます」と言えるはずだと思います。お互い頑張っていきましょう。

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