人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

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佐久間洋司さんプロフィール

1996年生まれ。東京出身。大阪大学基礎工学部4年。ロボット工学者石黒浩教授の研究室に大学一年次から所属している。争いのない世界をつくりたいというビジョンのもと、人工知能によって人間の情動的共感を促す技術の研究をおこなっている。

2015年には次世代を担う学生や若手研究者で構成される「人工知能研究会 / AIR」を設立し、代表として次世代へ向けた人工知能研究や応用の環境作りを積極的に勧めている。トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムを通じてトロント大学に一年間留学。Panasonic Silicon Valley Labでは半年間のインターンを経験した。

「人を優しくする機械を作りたい」大学一年生から研究者の卵に

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーーマツコ•デラックスとそっくりなアンドロイドの「マツコロイド」などで有名なロボット工学者、石黒浩さんの研究室で学ばれていると伺いました。佐久間さんは東京出身だそうですが、石黒教授のもとで学ぶために大阪大学に進学されたんですよね?

はい。テレビや本などを通じて石黒先生のことを知っていて、ぜひ先生のもとで学びたいと考えていました。

石黒先生はロボット工学者として有名ですが、ロボットを作ることそのものよりも「人間とは何か、人の意識とは何か」ということに興味を持たれていて、それにとても共感したんです。僕自身も、もともと人間に興味がありました。人の意識への疑問がきっかけで人工知能に興味を持つようになったんです。

物を作ること自体に価値があるというよりも、成し遂げたいビジョンに価値を見出し、そのために技術を使うという先生の立場にもとても惹かれました。

僕には「世界から争いをなくしたい」というビジョンがあり、そのために機械や技術を使っていきたいと考えています。技術は手段であって目的ではないということを忘れずに研究に取り組みたいと思います。


ーー大学一年生から研究室に所属されているのは珍しいキャリアだと思うのですが、早くからそのような環境に入られた経緯を教えてください。

大阪大学に入学してすぐ、”EDGE”という文科省が実施する起業家育成プログラムに、「ロボットの対話システムにディープラーニングをどう応用するか」というテーマで応募しました。大学を通じて開発のための予算をいただいて、実際にシステムの製作に取り組むことができたのですが、その時にすごく評価してくださった方から石黒先生の耳に伝わり、先生のもとを訪ねる機会をいただきました。

念願の石黒先生にお目にかかった際、僕も人の意識に関心があること、その上で人の優しさや思いやりを機械を通して高めることに興味があり、対話システムを作っていることなどを話しました。すると石黒先生が、横にいらした吉川准教授に「吉川、こいつに机やって」とおっしゃったんです。本当に次の日から研究室に受け入れてくださり、晴れて研究者の卵になりました。

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーー石黒研究室ではどのような研究をされていますか?

人工知能の分野のなかで、特に対話のコミュニケーションに注目して研究しています。最終的には、人の「意識」というものに機械を通してどうやったら影響を与えることができるかということに興味をもっています。

「人を優しくするために機械を使いたい」という言い方をすることもあります。人に対する思いやり、専門的には情動的共感というものを促進するために機械を用いるということをやっています。


ーー「人を優しくするために機械を使う」とは具体的にはどういうことでしょうか?そしてそれは可能でしょうか?

例えば、ある VR ゲームの中で瓦礫に閉じ込められた子供を助ける体験をした人が、体験後に自己評価が上がったという研究があります。別の実験では、白人の被験者の方が VR の中で黒人になる経験をした後、黒人を理解しようとする意識が向上したという研究もあります。

それらの有名な例は、バーチャルな体験が人の意識に対して十分に影響を与えうるということを示しています。機械を通じた特殊な経験や、他者になる経験(Perspective taking)により、誰かに対する共感を促進することができるのではないかと期待できます。

そういった何らかの機械を通じた経験が人の意識に影響を与えられるならば、「機械で人を優しくする」ことも可能だと考えています。


ーー佐久間さんがビジョンとして掲げる「争いのない世の中」にするためにはなにが必要でしょうか。

僕たちが喧嘩ひいては戦争を始めるとき、「相手のことを理解しようと考えること」すら思いついていない状態だと思います。

この段階で、相手のことを考えてみよう、というスイッチが入れば、それに起因する感情的な対立は減らせると思うんです。争いをなくすためには「共感のスイッチ」のようなものが必要だと考えています。

以前、視覚的なアプローチで共感のスイッチを入れようと、鏡のようなものを作っていたことがありました。鏡越しには、自分と同じ様に動く全く違う人が映っているという仕組みです。

鏡越しの姿を見て、「人から見た自分はこのような姿(=他人の姿)をしているのかもしれない」という視覚的な錯覚によって相手への思いやりのスイッチが入るかという取り組みでした。


「日本にいたら実現できないことがある」留学で世界の情報風速を体感せよ

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーー佐久間さんは、文部科学省が提供する「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」でトロント大学に留学されていますよね。トロント大学の魅力はなんでしょう。

トロント大学は近年の人工知能ブームの発祥の地なので、その分野を研究する優秀な人がたくさん集まっています。そのため、日本とは情報の届く速度が全く違うと感じました。非常に速く研究が進むこの分野では、情報の速さは研究に直結すると思います。

たとえば、新しい研究でロボットにディープラーニングを応用してある動作を実現したいと思いついたとき、その分野で活躍する先生がよくトロントに来ていたりするので、直接アドバイスがもらえます。場合によっては研究の検討のために先生が呼ばれることさえあります。そして彼らの経験からくる直感で「これはうまくいきそうだ」とか「うまくいかない気がする」と言ってもらえたり、読むべき論文を提案してくれもします。

日本であれば、時間をかけて先行研究を調べたりするか、「とりあえず試しに作ってみよう」となる場面でも、トロントだとその時間がまるまるスキップできるようなイメージです。一概に良い悪いとは言えませんが、学生の立場からするととてもありがたいし魅力的な環境です。


ーートビタテを選んだ理由は何でしょうか。

他の給付型奨学金(返済不要の奨学金)よりも支援金額が高いのに、理系の学生だとそこまで倍率が高くないところです。また、トビタテの支援金額を超えない限りで併給可能であることも魅力でした。他の奨学金だと、基本的にはその団体から貰った分のみですが、トビタテは同じ額までインターン先や他の奨学金から支援を受けることができます。


ーーシリコンバレーでは、パナソニックシリコンバレー研究所にてインターンをされていますよね。シリコンバレーでの学びでどんなことを感じましたか?

シリコンバレーは、人工知能の最先端の応用を志して開発が進められている場所です。

そこで感じたのは人の繋がりの重要さです。この分野で活躍する主要な人物は十数人いて、その内の数人はシリコンバレーにいるのですが、世界中の人工知能の優秀とされる研究者やエンジニアは大体それらの主要な研究者の弟子だったり、共同研究者だったりという形で繋がっています。

ネットワークの中心に近ければ近いほど情報が入ってくるし、新しい開発がスムーズにできる。シリコンバレーではそのネットワークの偉大さを感じさせられました。お互いを信頼しているのでまだ発表していないアイデアも議論の対象になります。

逆に言うと、そのネットワークに全く入っていないとすればそれは怖いことです。現在、日本企業がシリコンバレーやトロント、モントリオールなどに人材を派遣していますが、そういったネットワークとのハブを作るということが目的の一つでもあります。そこに学生の身分で行けたのは非常に貴重なことでした。


日本最大級のAIコミュニティ、人工知能研究会 / AIRの設立

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーー「人工知能研究会 / AIR」の活動についてお聞かせください

AIRは、「次世代を担う学生自ら次世代の人工知能研究・応用を推進していく」というモットーのもと設立し、大阪大学、京都大学、東京大学などの学生や若手研究者を中心に活動しています。

AIRは次世代に向けた教育や啓蒙的側面を担っていると思っています。

ちょうど2年前の設立当時、学生が人工知能や機械学習を学びたいと思っても、教材はまだ限られていて、実装するレベルまで教えてくれる場もありませんでした。

そこで、僕たちのような人工知能を勉強している院生や学生が中心になって、チュートリアルという形で丁寧に教えてあげる場があれば、新しく学生がこの分野に参入しやすくなると考えました。

また一般の方にとって人工知能とは、不透明でよくわからない存在だと思います。たとえ話を聞きたくてもどの先生に何を聞いていいのかもわからない。その問題を解消するために、今話を聞くべき先生方を探してお願いし、講演会を開くということを並行してやっていました。海外からの研究者を招いたこともあります。


ーー次世代の人工知能教育の基盤を築いているというわけですね。AIRでの今後の展望はどのようにお考えですか?

サマースクールとシンポジウムの二本の柱を中心に進めていけたらと考えています。

サマースクールは、大学生や大学院生が機械学習の一番新しい内容をより正しく勉強できるような、アカデミア向けの会にする予定です。シンポジウムでは、今一番話を聞くべきだと思う先生方をお招きして、学生や広く一般の方に無料で提供できる機会を用意するつもりです。


そもそも人工知能とはなにか

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーー最前線で人工知能研究をされている佐久間さんが考える、人工知能とはなんでしょう。

人工知能の定義というのは難しく、僕にもはっきりはわかりません。

ただ言えるのは、機械なのに知性を感じさせてくれる存在のことだと思います。

エアコンで適切に空調の調節ができるシステムができたとき、最初はすごく知性を感じていたという話があります。あるいは、カメラで写真を撮る時にオートフォーカスという機能がありますね。研究段階では、勝手にフォーカスが合うということにすごく知性を感じて、実際に人工知能と呼ばれていた時期はあったわけです。 今では当たり前となった「かな変換」機能も、まだ普及していない段階では人工知能と呼ばれていたそうです。

それらが普及して、僕たちが人の知性のようなものを特別感じなくなった段階から、順に人工知能と呼ばれなくなっていくという現象があると言われます。このお話は松尾豊先生方もよくされています。

人工知能というものは、私たちに知性を感じさせる機械全般であると同時に、それが私たちの生活に溶け込んで当たり前になるに従って、人工知能ではなくなっていくという面白い構造があるんです。

人工知能と呼ばれなくなったものたちは、僕達にとってある種の空気のような存在になる。僕はそれは素晴らしいことだなとも思います。


「ビジョンからミッションが生まれる」自己への探求で魂にログインせよ

人工知能で争いのない世界の実現に挑む。日本最大級のAIコミュニティを牽引する現役大学生研究者、佐久間洋司さんインタビュー

ーーなかなか行動できない人が多い中、佐久間さんの行動の原動力を教えてください。

自分自身のビジョンを持つことだと思います。ビジョンがあって初めて行動の規範になるミッションが生まれるので、行動ができないということはビジョンが決まっていないのではないのではないでしょうか。

自分が人生で一番変わったと感じた瞬間や、やっていて楽しかったことなどを思い返して、自分が何を成し遂げてどんな人間になりたいかということを考えていくことが大切です。その過程で、自分が何をしたいかというビジョンが見えてくるのではないかと思います。

あとはビジョンから逆算していく心構え、それが行動にうつせる秘訣だと思います。


ーー読者の学生に向けてひとことお願いします。

学生のみなさんは、「自分とは何だろうか」ということを考えることが必要だと思います。自分は何のために生まれてきて、何がしたいのかを考えられている人は少ない気がします。逆に、そういうことを考えている人は、自分のビジョンも見つかりやすくなるし、自分らしく生きれるようになると思うんです。

この世界がゲームだと仮定すると、自分はプレイヤーです。

自分について考えている人は、この世界の中で自分がプレイしているという感覚をつかみ、ゲームを一つ上の視座から見ることができるんです。

でも、社会における自分とは何かとか、自分は何をしたいのかをよく考えていない人は、誰もログインしていないノンプレイヤーキャラクターのようなものであると言えます。

自分がプレイヤーであるためには、魂がログインしている状態でなければいけません。

自己への探求が、それを可能にすると信じています。これが学生の時期に必要なことだと思います。

この記事を書いた学生ライター

HAYAMA HIKARU
HAYAMA HIKARU
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1998年生まれ。早稲田大学法学部3年。co-media編集部。好物はプリン体。

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