投稿日: 2017.3.13

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

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ネイホウ!香港に留学中の八田さんの連載第三回目は、香港の「家事情」についてです。香港といえば、学生の卒業旅行でも度々利用される人気観光地。しかし、きらびやかなイメージとは裏腹に「自分の家を持っていない」という人も多い貧困地な一面もあるのだそう。そんな香港の知られざる実態を現地からレポートしていただきました!

香港での留学生活も2学期目に入り、香港の学生や、地元の方との交流も増えてきました。そこで、今後は近年よく香港で取り上げられられる社会問題についてご紹介していきます。今回は、住居問題についてです!

イメージとは違う、香港の貧困事情

みなさんは、香港に対してどのようなイメージをお持ちですか?パッと思い浮かぶところだと、海岸に立ち並ぶ高層ビルや夜景などが有名でしょうか。「アジアの玄関口」とも言われる香港は、観光地としても、経済の中心地としてもきらびやかなイメージが強いと思います。

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

しかし、そんな香港にも、かつてはいわゆる“スラム街”が存在していました。イギリスの植民地であった当時、唯一中国の所有地として認められた地区・九龍城がそうです。

戦後、中国大陸側から殺到した難民が、難民を冷遇した香港市街からこの不干渉の地に身を移しました。人が溢れ、パンク状態となった九龍城内には次々と住む建物が増築され、極度に密集した高層ビルが立ち並ぶことに。法律の及ばない土地で、移民達は建築法を無視した移住区の増設を続けました。英国不干渉の土地は限られている為、建築物は縦へ伸び続け、3ヘクタールの敷地に5万人以上もの住民が暮らす高層スラムへと姿を変えていきました。立派な自治区となった九龍城砦には、病院や学校、食品工場が作られ、巨大なコンクリートでできた1つの街として機能していたといいます。無法地帯である割には自治のしっかりした地区として有名だったそうですが、生活環境は最悪でした。

そんな九龍城ですが、香港の中国への領土返還の年の接近に伴って、英中の衝突を避ける目的であっけなく取り壊されてしまいます。周辺には政府管轄の高層アパートが次々に立てられていき、香港に住む多くの住民がそれらに住むようになりました。

しかし、香港の人口に追いつくはずもなく、また移民の中には入居を許されなかった方たちも多く、やむなく民間のアパートで暮らすことになった住民も大勢いました。その不当な家賃の高さが問題になっていますが、現在も香港の不動産の値段は高騰し続けています。

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

現在はかつて無計画に建てられた九龍城こそなくなったものの、ネオンのあふれた街には無数に残されている狭い密接住居があります。(中国語で劏房、英語ではsubdivided flat/unitなどと呼ぶそうです)

政府の住居に入れなかった低所得層などに、もともと一室の部屋をさらに2~3部屋に分けて複数世帯に貸し出すようになったのが始まりです。普通の部屋を分割したものに水とガスだけを引いてきただけのような、簡素で狭い部屋。しかし、ただでさえ小さい香港の公的最低基準を大幅に下回る広さです。にもかかわらず、家賃は面積あたりで置き換えると基準の約2倍だといわれています。

九龍城から退去させられた後に居場所を失った人々、公的住居に入居を許されなかった人々、待機住民とされたまま何年も待ち続けている人々、アジア各地からの移民……そこに住む理由は様々ですが、今でも多くの人々がひしめき合うように住み続けています。

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

「最低水準の生活」には程遠い無法地帯での生活

百聞は一見に如かず。今回、私が所属する大学の団体と地元のNGO団体の協力の下、そのような世帯に政府からの支援制度を紹介する活動に参加する機会をいただきました。実際にこの目で見てきた様子を紹介したいと思います。
将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

工業地帯や夜でも明るい店が建ち並ぶ街の中、店と店の間にあるわずか一人が通れるほどの狭い階段が住居の入り口です。明かりはあまりなく、人が3人ほど立てるぐらいの踊り場に2つ、鉄格子のような部屋の入り口があり、その奥に2つから3つ扉がありました。私たちはそれぞれの家をノックして声をかけて回り、話を聞かせてもらえないか相談しました。

30世帯ほど訪問したのですが、そのうち2世帯の方が親切にも中の様子を見せてくださりました。この2家族は、親子4人で5畳ほどの部屋1つと3畳ほどの部屋2つ、このような住居の中ではかなり“広い”住居にすんでいる方たちでした。

1つ目の家族には、小学校就学前の子供が2人います。160cmほどの二段ベッドを自慢げに見せてくれました。2つ目の家族は、何十年も前に中国本土から移住してきた人々です。私が日本からの留学生だと知ったときの好奇と嫉妬と諦めの混じったような眼差しは忘れられません。

彼らの部屋には窓もなければ、子供たちが遊ぶスペースもありません。その代わり、7~8階まで続く細い急な階段を上って屋上で洗濯をし、子供たちはそこで駆け回ります。

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

私が実際に目にしたのはここまでですが、5畳一間に4人暮らし、トイレの横にキッチンのある部屋、などがまだまだ当たり前のように存在します。

将来の夢は「家を持つこと」ー日本人が知らないネオン街・香港の“知られざる”家事情

金融ビル、観光地、ネオンなど、都会のイメージが強い香港ですが、外からはきらびやかに見えていても、隠れたところに住民の住む権利を考えさせられる問題がありました。

この訪問の後、香港人の大学のクラスメートから、香港の学生の多くが「自分の家を持つこと」を生涯の夢のひとつに持っていると聞かされました。これだけ発展した都会のなかで暮らしていても、自分の住まいを確保することが、将来の大きな課題として意識されているということが印象的でした。

観光ガイドブックには絶対載っていない香港の顔。近代的な発展を遂げ、豊かになっていく一方で、その犠牲になり、普段の生活の中で人々の目にさえ映らなくなっていく現状があります。香港に限らず、一見近代的な発展を遂げた都市にも、ふたを開けてみれば未解決のまま漂っている問題があるでしょう。日本はどうでしょうか。今まで発展途上だとされてきた国々が、近代化をとげ、都市部は国を超えてますます似通った都市になっていきます。その中で、埋もれていくもともとあった人々の生活とその狭間で生まれる社会問題に目をむけることを忘れないでいたいと思います。

この記事を書いた学生ライター

Minako Hatta
Minako Hatta
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香港にある香港中文大学に派遣留学をしている英文科生です。言語と文化について主に勉強しています。日々気付いたことや、日本を外から見て思ったことなどを書いていきます。

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