「留学したい!」と思い立つと、多くの人は留学先の言語を勉強するのではないでしょうか。もちろん現地の言葉を学ぶのは大切ですが、それだけでは留学後に後悔することになります。
かくいう私も、英語ばかりを勉強していた一人です。高校時代にアメリカに進学すると決めてからというもの、ろくに学校の勉強をせず、TOEFL対策ばかりに目がいっていました。でも、留学に必要な勉強はもっと身近にあるんです。
私は今、日本の中学高校で、ある程度ちゃんと勉強していて本当に良かったと感じています。しかし、同時に高校の授業にもっとしっかり取り組むべきだったと後悔もしています。
留学先のアメリカで、どんな教科も英語で勉強してきた私が皆さんにお伝えしたいのは、「母国語で言われて理解できない事は外国語で説明されて理解できるわけがない」という非常にシンプルな事実です。
留学経験のない方だと、「日本語を使わないのにどうして国語の勉強が大事なの?」と思うかもしれません。私も高校生の時はそう思っていました。でも、国語はしっかり学ばなければならない教科です。なぜなら、国語力があれば、よりよい英語のペーパー(日本の大学でいうところのレポート)が書けるから!大切なのは、語彙力と文章を構成する力です。
日本語ネイティブの私たちが、英語の語彙力が日本語の語彙力を上回ることは基本的にありません。日本語で自分が使えない言葉や言い回しを、英語のペーパーを書いているときに思いつくわけがないのです。日本語の語彙が稚拙だと、結局はその人が書くペーパーのレベルも低くなります。これは英語のネイティブ達にも言えることで、彼らの文章を私が読んでも、言い回しや言葉遣いが幼稚だな、とか少しわかるようになりました。(ユニバーシティに行くとみんなレベルが高いとは思いますが)
英語のペーパーは、Introduction(導入)、Body(内容)、Conclusion(まとめ)と大きく3つに分けられます。そして各パートでも、こういう内容は最初に入れて、強い主張はここに入れて、などルールがあります。勿論、英語の文章を書く練習で、ルールに従って書くことは出来るようになると思います。しかし、このルールを身に染み込ませて、“大学生レベルの語彙を使った、流れのあるイイ文章”を作ろうと思うと、結局は根本的な文章力と語彙力、ひいては国語力がカギになります。
中学時代は比較的国語が得意だった私は、ペーパーをネイティブにみてもらう際に、流れがおかしい、話が取っ散らかってる、といった指摘を今ではほぼ受けなくなりました。
国語が苦手だと、「自分で訳してみたけど、意味がわからない」ということが頻繁に起きます。ペーパーのテーマや何を求められているのかが、日本語に直しても理解できない、というのも結局は国語力の問題です。英語で数学の文章題が理解できないのも同じです。
国語の勉強は、いかなる言語でも、言語を自由自在に操るのに欠かせないものです。
社会科目の勉強は、様々な国・地域の人と接する上で非常に重要です。異文化でのコミュニケーションをより深いものにするには、“世界のことを知っている”と“自分の国のことを知っている”の両方が求められます。
日本にとってアメリカやイギリスは留学先としても人気の地域です。日本も同様に知名度のある国ですから、ナショナリティーを話すだけで会話の話題になりますよね。しかし、全ての国がそうとは限りません。ヨーロッパやアフリカなどの、“日本であまり馴染みのない国の人”と会った時に、「あなたの国は何地域なの?どこにあるの?」って質問するのは、ちょっと失礼ですよね。
以前同じカレッジにいた中央ヨーロッパの小国出身の男の子が、「誰に自己紹介しても、僕の隣の国は知ってるのに、僕の国はどこかわからないって言われる」と悲しそうに話していました。お互いを知るためにも、地理を勉強するのは重要です。
また、ざっくりとした世界史の知識も持っておくべきです。例えば、日本では当たり前ではない宗教観、文化、歴史的背景を話していて感じることがあります。そんな時に、世界史の知識があれば話も弾むし、何を話してくれているのかわかるし、とてもいい助けになります。
日本の歴史・地理・公民の知識が必要になる場面もたくさん出てきます。海外の人からすれば、自分が“日本代表”なわけです。授業でも普段の会話でも、「日本ではどうなの?日本はどう違うの?」という質問は頻繁に受けます。しかし、みんなそんなに日本のことをわかってません。
例えば、授業で社会人経験ゼロの私に“日本独特のビジネスマナー”について説明を求められたり、日本の法や政治の仕組みを聞かれたり…。中途半端なことを言って嘘を教えられないし、知らないなんて言えないし…。日本人だからって日本のこと何でもかんでも説明できると思わないで!!と言いたくなることが何度もありました。
あなたはせっかく留学した学校で、日本の中学校レベルの勉強で苦労したいですか?
これらの教科は、交換留学・派遣留学・語学留学の人には大きく関わらないと思いますが、アメリカで正規留学する人にはすごくすごく重要!!!
以前の記事でもお伝えしましたが、アメリカの多くの学校の一般教養で、文系理系に関わらず、何かしらの理系科目を学ぶことは必須です。理系教科は専門用語がわからないと、先生の話がチンプンカンプンです。例えば、足す・引く・掛ける・割るって英語で数式を説明できますか?2乗って英語で言えますか?ということですら問題になってきます。(私は、諦めてホワイトボードに書かれる数式を頼りに理解していました)
日本で、数学1A2Bをだいたいわかる、生物・化学・物理の基礎ができる、という人は、一般教養の理系に苦しめられることは基本ないと思います。むしろ一般教養の数学なんて、ただの復習なので楽単です。(数学、物理、エンジニアのような理系専攻の場合は日本の高校内容を超えると思うので難しいと思います)
しかし、高校で数学やセンター試験の理科教科をやってない人は苦労するかもしれません。関数ってなに?集合?log?という人は、要注意です。前述の通り、日本語で理解できないものを外国語で理解するのは非常に難しいです。中学校で数学が苦手だった人が、アメリカでmathが楽ちんなわけないのです。実際、同じカレッジの数学が苦手な日本人の友達が困ったときは、いつも日本語で教えています。せっかくアメリカまできて勉強してるのに、日本の中学高校レベルの勉強に時間を取られて、自分の興味のある教科に手が回らないなんて勿体無いですよね。
留学準備として、英語など現地の言葉の勉強は、言うまでもなく、非常に大切です。でも、海外の“高等教育機関”に“勉強”しに行くには、その基盤となる知識や学力が欠かせません。正直、英語がろくに使えなくても、それは語学学校で時間をかければ学べます。でも、前述の教科は、高校を卒業するとなかなか勉強する機会がなくなるものばかりです。
留学を考えている日本の学生のみなさん、日本の中学高校の勉強は留学に関係ないようにみえて、実は非常に重要なんです。言葉以外の勉強も準備万端で、留学してください!
アメリカのワイオミング州内にあるコミュニティカレッジに正規留学2年目でビジネスを学んでいます。アメリカのド田舎から、リアルな正規留学ライフをお伝えします!