人との約束を忘れてしまう人、レポートの提出期限を守れない人、しょっちゅうものを失くしている人・・・皆さんの周りにいませんか?もしくは自分がそうだという方もいるかもしれません。
これらの症状は、一見すると単に怠惰な性格なだけのようにも感じられますが、実はADHDという障がいによってもたらされている可能性があるんです。
文部科学省の全国実態調査によるとADHDが疑われる子どもは2.5%とされています。およそ50人に1人以上が症状を持つ障がいであり、もはや他人事ではありません。実際に、筆者の知人がこの症状に悩まされる患者の一人です。今回は、当事者にしかわからない心の声に耳を傾けながら、この「身近な障がい」について調べて考えてみました。
ADHDの主な症状は、
不注意、多動性、衝動性の3つ。忘れ物が多かったり、予定を守れないことが主な症状に挙げられます。しかし、「そんなこと誰にでもある」、「自己管理のできない人」と感じる方も多いでしょう。
私も、知人にADHDだと告白されるまでは、彼女のことを「自分自身に甘い人」だと思っていました。本当はできるのにやらない「ダメな人」だと、心のどこかで見下していたのです。
しかし、「集中しようと思っているのに頭が情報であふれかえって思考がストップしてしまったり、物事の優先順位がつけられなかったりする」と涙ながらに告げられて、ADHDの悩みや苦しみを知り、自分の認識が間違っていたんだということに初めて気づきました。
しかし、症状を持つ人の中には、自分ではどうしようもできない苦労から、うつ病や対人恐怖症など心身に支障をきたしてしまう人もいるのだそうです。
また、「ADHDの父」と呼ばれるレオン・アイゼンバーグ氏がインタビューにて「ADHDが作られた病気の典型的な例である」とコメントしたという内容の記事が拡散され、ADHDは「作られた偽物の障害」だという認識が広まりました。
しかし、このインタビューは「診断基準」や「薬の過剰摂取」を指摘し、「患者を金もうけの道具にするな」という内容で、ADHDという障がい自体を「偽りの障害」だとコメントした内容ではありません。記事の表面だけを見て調べもせずに情報をうのみにして拡散した人が多くいたため、誤った認識が広がってしまったのです。
個人的な意見としては症状に悩む人がいたらそれは障がいであり、その内容に悩まされている人に対して外部がとやかく言ってはいけないものだと思います。それは足の不自由な人に「なんで走れないの?」と言っているようなものです。
私のように、ADHDについては知っているけれど、他人事のように思っていたという方が多いのではないでしょうか。
そこで、大人になってからADHDであることを知ったという方に発覚のきっかけを伺いました。
『私は昔から忘れっぽい性格でした。「数分前にそこに置いたはずなのに…」と買ったばかりのものを失くすことが頻繁にあり、財布やキャッシュカード、家の鍵や携帯などの貴重品を何度も失くした経験があります。
みなさんの大切な方がこの障がいで悩んでいたら、どのように接しますか?
「傷つかないように助けてあげたい」「可哀想だから失敗は許してあげよう」と考える方も多いかもしれません。
しかし、「ADHDだから」という理由でミスが許されるようになってしまうと、反感を抱く人や「偽りの障がい」だと疑念を持つ人も増えてしまうと思います。
では、周囲はどのようなサポートが必要か。
これが周囲に求められることなのではないでしょうか。
サポートといっても、何でもかんでも指摘したり、手伝ってあげるというのは違います。
あくまでもサポートとして本人が少しでも症状を克服できるよう、根気強く接していくべきです。
「責めない」「怒らない」「なんでも許す」も、適切な対応ではありません。それでは本人のためにはならず、障がいの上に胡坐をかいてしまう可能性も少なくないはずです。
本人の努力と周囲のサポートがあって、はじめて障がいに寛容な社会になるのではないでしょうか。
この記事を読んでくださった方が、ADHDのことを理解してくれるように、障がいに悩んでいる方にとって少しでも生きやすい社会になるように願います。
1995年、群馬生まれ。新潟大学教育学部在学中。生協学生委員会に所属し、多くの企画の運営に携わりました。現在は複数のwebメディアでインターン、学生・取材ライターとして活動中。社会福祉、地域の魅力発信に興味を持っています。好きなことは飲みニケーション!