こんにちは!高根美幸です。
今回は、メキシコに溢れる日本についてお話ししたいと思います。
突然ですが、皆さんはメキシコと聞いて何を思い浮かべますか?
メキシコにどのようなイメージを抱いていますか?
おそらく、いくつも口をついて出てくる人は少ないと思います。それもそのはずで、日本においてメキシコを感じさせるものが日常の中に溢れているとは言えないからだと私は思っています。
少なくとも私が20年間過ごした日本で、メキシコと関わりのあるモノ・コトに触れる機会は非常に稀でした。
しかし、一方でメキシコには「日本」を感じさせるものがとっても多く溢れており、メキシコ人たちも日本に対して非常にポジティブなイメージを持っているようです。その事実を徐々に知っていく中で、いち日本人としてとても嬉しく、誇らしく思われてきました。そして、これが私の留学の目的の一つである、「世界から見た日本の姿を知る」ということなのだなと実感します。
同時に私の心を埋め尽くしたのが、「これだけメキシコには日本のモノが浸透していて、メキシコ人は日本に興味を持ってくれているのだから、日本人にこの事実を知ってほしい!」という思いでした。これが、今回このテーマを選んだ動機です。微力ながら一人でも多くの方にこのメディアを通じて日本では、まだあまり知られていないメキシコの姿をお伝えできればと思っています。
NISSAN、HONDA、 TOYOTA、 MATSUDA、 SUZUKI…。まずメキシコに来てから一番初めに驚いたのが、そこらじゅうの道が日本車で埋め尽くされているという光景でした。家の外に出て日本車を見ない日はありません。あるメキシコ人の友人が、日本車を一家に三台も保有していることを知ったときには頭が上がりませんでした笑。今までニュースや大学の講義でしか耳にしたことのなかった「日本企業の進出」、「日本の主力輸出品が自動車であること」を体感できたのは貴重でした。
現地のメキシコ人も言うに、日本車が選ばれる理由はやはり、品質・サービス・高い質と価格のバランスだそうです。
最近のメキシコの自動車産業では、日本のものづくりの姿勢が導入され、浸透し始めていることで、その成長に好影響を与えているといいます。
以下に、『地球の歩き方 メキシコ編』より一部を抜粋します。
「日本の自動車メーカーが進出し、重要な生産拠点となっているメキシコ。部品を供給する地元産業の生産性と品質の向上が課題となっていましたが、JICAの技術協力による日本のKAIZEN活動導入により生産効率がアップ。人々の意識にも変化が生まれつつあります。」
ここで注目すべきは、その具体的な活動内容。
「日本のものづくりの基本である5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ。決められたことをしっかり守るという基本ルールを定着させること」によって、
「企業経営の現場に秩序をもたらしただけでなく、個人の生活様式にも良い影響を与えている」とのこと。
日本の国民性を形づくっている習慣の一部が、このような形でメキシコやメキシコ人の生活に大きな影響をもたらしていることは、非常に興味深く、新しい発見でした。
メキシコでも日本食の一番人気はお寿司で、大学の近くだけでも二つの日本食屋さんがあったり、大学の学食でも「Oriental Food」メニューの一つとして人気です。このように、メキシコ人が気軽に日本食が食べられる環境は、すでに日本食がメキシコ人にとって馴染みのある食べ物のひとつになっているということ、又彼らの生活に溶け込んでいることを示すものだと思いました。
ただ、やはり現地の「SUSHI」にはカリフォルニアロールのように、メキシコ料理には欠かせないチリソースの他にマンゴー、クリームチーズなど、日本では考えられないような具材が入った巻き寿司も存在します。初めてそれを見た日本人のほとんどは、「なんでやねん」と言ってしまいます。私も言いました笑。
でも、これが異なる物を受容するってことかなとも思います。ちょうど日本で好まれるカレーが本場のインドのものと比べて全くスパイシーでないのと同じではないでしょうか。未知のものでも少しアレンジを加え、自分たちの好みや食文化などに適応させて受け入れる、そしてそれを楽しむ。素晴らしいことだと思います。
マンガやアニメは、やはりメキシコでも特に若者の間で人気です。メキシコ人の友人に何知ってる?と聞くと、やはり「NARUTO」「キャプテン翼」「進撃の巨人」「ドラゴンボール」あたりは必ず口にしてくれます。
ジブリ映画も馴染みがあるようで、この間訪れた「MOSHI-MOSHI」という日本料理店では「耳をすませば」の映画がスペイン語字幕で見る事ができ、感動しました。さらに、大手の本屋さんではジブリ映画のDVDが多く販売されているのも目にします。
ゲームではもちろん「任天堂」も有名です。メキシコ人の友人と、”ポケモンGO”の人気ぶりや私の好きな”マリオカート”の話で盛り上がることができた時はとても嬉しかったです。
聞くところでは、日本の電化製品は1980年ごろからメキシコで人気が出始め、現在は「プレイステーション」の発売元である「SONY」が一番人気なのだそう。
以上のような日本のモノが世界中で人気だということは、日本にいるときから耳にしていましたが、ここまでメキシコ人が日本に興味を持っていて、しかも彼らの生活にそれが深く根付いているとは想像していませんでした。
これほどに、メキシコ人が親日感情を持ってくれている背景について考えてみました。
以下に、メキシコと深く関わるお二人の日本人の言葉を引用させて頂きます。(引用元: メキシコ情報総合ポータルサイト amigaより)
日墨協会会長 和久井 伸孝氏
「日本人に対して非常に親日的というのはよく言われますが、これは日本人が勤勉というイメージがついているからです。実は、日系移民の方々は代々、子どもの教育に力をいれてきた。日本人に対するポジティブなイメージは、そういった方々の努力の賜物だと思います。仕事をしても何をしても、日本人の信頼、信用度は高いです。」外務省 メキシコ特命全権大使 山田 彰氏
「中南米は、日本のことをよくわかった上での親日国が多いように思います。ひとつには移住者の日系人が、現地で信頼を得ていることがあります。
また、官民で長年実施されてきた経済協力への評価が強いこと、戦争などに起因するいわゆる負の経験がないことなどの他に、近年は特に、日本の科学技術・ポップカルチャーに対する憧れも、親日感情につながっていると感じます。」
日系移民の方がメキシコで何百年にも渡り築き上げてきた信頼と歴史的な背景のおかげで、決して表面的ではない、文字通り ”深い” 日本のファンがここメキシコにはたくさんいるのだと知りました。
それに気付いてから、私が自己紹介をすると、メキシコ人が必ず口にしてくれる、
“Japón? Qué bueno!!”
(日本から来たの?すごくいい国だよね!)
という言葉をより重く、そして貴重に感じられるようになりました。
そんな親日のメキシコ人の日本に対するリアルな思いを知りたくて、次のような質問をしてみました。
「日本に行ってみたい?」
ホストファミリーやメキシコ人の友人、又タクシーの運転手さんなどから、いろんな答えが返ってきました。
「実は来年の夏、東京に行こうって考えてるよ!日本にはメキシコに無いような高度なテクノロジーが色々発達していて街中に溢れてるって想像したら、それは未知の世界だからわくわくするよ。」
「次の休暇に東京とそれ以外に京都にも夫婦で訪れる予定だよ。京都には、東京とは対照的にお寺とか伝統的なもので町中が溢れてるって聞くね。」
「ぜひ行ってみたいよ、でもメキシコからだとすっごく遠いでしょ笑。それがネックだけど、魅力でもあるよね。まさに異国の地だから。メキシコとは全くもって違う日本の文化や生活様式、言語を肌で感じてみたいとは思うね。」
「東京オリンピック開催時期に合わせて日本に行くことを予定してる。日本は目かメキシコと比べて物価が高いから、今はお金を貯めてることろ!ところでリオ五輪の閉会式、日本のパフォーマンス最高だったよ!マリオとか出てきたよね!」
「もちろん!日本に留学することがもう決まってるよ。日本語の響きが好きだし、お寺とか伝統的なものや歴史にも興味があるから!」
私の想像以上にメキシコの地には日本を感じさせるモノが多く存在していること、そしてメキシコ人の日本に対する非常に好意的な態度には驚きました。なにより、日本にいるだけではなかなか感じることが難しい「日本人としての誇り」や「日本のパワー」に、じわじわと気付くことが出来たという経験は私の貴重な財産です。
また、この記事を書くにあたり、もっと目を見開いてその地を観察したり、現地の人とコミュニケーションを取ったりするという姿勢が、自分の視野を広げることにつながるのを実感しました。
次回は、私の魅了されたメキシコ独特の文化の一つである「死者の日」について、メキシコ対日本の死生観にも触れながら、お伝えできればと思っています。最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回もよろしくお願いします:)
上智大学英文学科3年。1学期間メキシコシティにあるUniversidad Iberoamericana 大学に留学中。日本とは異なるメキシコの文化に触れるため、色々な場所に出掛けています。メキシコの独特な雰囲気を写真に収めるのが楽しみの一つ。こちらでは、メキシコの文化や政治、経済を学ぶ他、絵画やヨガのクラスにも新しくチャレンジしています。