大学院留学を予定する人に共通する悩みとして、
”メインコース開始前の、Summer Pre-Sessionalコースは必要か”
という疑問がよくあるかとおもいます。
なんたって授業料の高いPre-Sessionalコース、IELTSでスコアさえとれたら行きたくないひとが多いという反面、英語でのアカデミックライティングの経験のない人にとっては必須という意見も。
Co-mediaで連載させていただきましたとおり、学部時代にアメリカ留学を経験していた私は
「Pre-sessionalなんていかないっしょ!(゜∀゜)」とたかをくくっていましたが、
IELTSのスピーキングセクションスコアが足りず、やむなくPre-sessionalコースへの受講を決意。
受講してみた結果、Durham大学のPre-sessionalコースを受けた一ヶ月間は、間違いなく今までの人生のなかで最も英語力が上がった1ヶ月だと感じています!
ということで今日は、Pre-sessionalコースとはそもそもなにか、そして具体的にどのような能力がついたのかについて、それぞれお話していきたいと思います。
大学に入学する前に留学生が受講できる英語コースで、主にアカデミックライティングを学びます。
Durham大学の場合、4週間、8週間、12週間と三つのコースがあり、事前にとれたIELTSのスコアに準じて期間を指定されます。
私の場合バンドスコアは7.0でスピーキングだけが足りなかったので、4週間コースを受講することになりました。
(8・12週間の生徒は一定の基準を満たさないとメインコースに進めないという噂)
4週間、基本的に毎日朝9時~16時まで授業があり、1,500wordsのエッセイ、ライティング試験2回、プレゼンテーションが課されます。
勉強の他にイギリス生活に慣れる、という趣旨も大きいため、毎週末気軽に参加できる旅行が企画されていたり、イギリスの大学が大好きなフォーマルディナーも週1ペースで開催されていました。
参加者は中国人の生徒が95%、ついでインド人、タイ人の順に多く、日本人は私をふくめ6人ほどで圧倒的マイノリティでした。
費用は4週間で11万円と生活費・寮費でしめて20万円ほどと、かなりお高くなっていますが、それに準ずるだけの内容が用意されていたと感じていますので、以下どのような能力がついたのか具体的にお伝えしていきたいと思います。
アカデミックライティングといえばIELTSを思い浮かべる方も多いかと思いますが、Pre-sessionalコースでいうアカデミックライティングは一味違います。
IELTSでは基本的に自分の主観に基づいて自分の意見を述べますが、
Pre-sessionalコースで学ぶアカデミックライティングでは、世の中の偉い人の意見を引用しつつ、客観的根拠をもって自らの意見を述べます。
例えば、
IETLSなら
「私はネギが好きである。理由はおいしいからである。」
と書くところ、
アカデミックライティングでは、
「私はネギが好きである。○○博士によると、ネギは”~~~”(Hakase, 2016)」
という具合に偉い人の言っていることを借りて説得力をあげるわけです。
ここで、Referenceというスキルが必要となってきますが、文章のストラクチャーの中のどの部分で、どんなタイプのRefferenceを行うべきか、そしていかに正しいRefferenceを行うかというのがポイントとなってきます。
簡単なように見えますが、論文で少しReferenceのスタイルを間違えれば盗作となってしまい修士号が取得できないので大問題となります。
例えば英国留学を経験している友人は、Referenceのミスで大学の委員会に呼び出され、尋問を受けたそうです。
アカデミックライティングとはそもそも何かを学び、論文執筆に直接的につながるスキルを得られる意味で、Pre-Sessionalコースは価値があると思います。
Durham大学Pre-sessionalコースの英語の教師に言わせると、
”アカデミックライティングで最も重要なのは構成である!”
語彙や表現が下手くそでも、構成さえちゃんとしていればなんとか筆者の言いたいことは伝わるから、というのがその理由だそうです。
さて、Pre-sessionalコース開始三日目と最終日、あるライティングのテストが行われました。
しかも2日ほど前に配られたテキストを読んできて、そのソースを引用しながら1時間以内にアカデミックライティングしろ、というのです!(無謀!)
ちなみに結果は、82点満点中42点→65点。20点以上の大躍進でした!
たった四週間でここまで大きく点数が変えられたのは、第一にストラクチャーを勉強したことが大きいでしょう。
イントロダクションと各パラグラフに入れるべき要素はだいたい決まっており、情緒豊かな文章を書く事はアカデミックライティングでは求められていません。
アカデミックライティングの定形ストラクチャーを勉強するだけで、文章の読みやすさが格段に変わります。
これらを4週間で集中的に勉強してモノにできたことは、Pre-sessionalコースを受講した最も大きなメリットだったと思います。
IELTSの補填としてPre-Sessionalが扱われているので誤解を生みがちですが、英語力が足りないひとはPre-sessionalにいったほうがいい、というのはそもそも違うと思います。
一応アメリカ留学を経験していた私は、ライティングでもスピーキングでも基本的に自分の伝えたいことは全部伝えられるレベルの英語力はあったと思いますが、英語でのアカデミックライティングとして、決められた手法と形式で文章を書くということを経験したことのないひとなら全員学ぶ価値のある内容だったとおもいます。
受講生のほとんどはMBAやファイナンスのマスターに進む中国人生徒だった印象ですが、私のインド人、ナイジェリア人の友達は、今まで英語で学校教育を受けてきているかつ弁護士としての職務経験があるにもかかわらず、英国式のアカデミックライティングは今までの経験とは全く異なるので勉強になると言っていました。
最も、大学によってPre-sesionalコースの質は異なるので今回はDurham大学に限った話でしたが、英語でのアカデミックライティングを学んだことのない皆さんにはぜひともおすすめします!
イギリスのダラム大学で平和構築の修士課程修了後、パレスチナで活動するNGOでインターンをしています。”フツーな私が国連職員になるために。ギャップイヤー編”連載中。 Twitter@Misato04943248<⁄a>