2015年9月25日~27日、ニューヨーク国連本部において193の加盟国によって、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)が採択されました。SDGsは次の15年に向けて世界をどう創って行くかを示す国際目標であり、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals, MDGs)の後を継ぐ形で MDGs が 2015年までに達成出来なかった課題にチャレンジすることになります。
SDGsという言葉を初めて耳にした人や、聞いたことはあるけど、よく分からない…なんてそう思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、国連で実際にSDGsの広報に携わった経験から、SDGsとは何かについて考えていきます。
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まず最初に、地球を家族に、国を兄弟に見立て、MDGsとSDGsの構造をざっくり説明していきますね!!!
時は、2000年【Earth家】は、190人の大家族になっていました。
ある人は大学を卒業した秀才で、その知識でお金をたくさん稼いでいます。またある人はクルマや電気やガソリンを自由に使っています。またまた、ある人は大食いでearth家の食材を食い散らかし、太って常に肥満です。
そんな兄弟たち【先進国】がいる一方で、学校にも行けず、移動手段は徒歩しかなく、ご飯も食べられず、病気にかかってもお医者さんに行けない弟、妹【発展途上国】がたくさんいます。少ない、食べ物や、おもちゃをめぐって喧嘩ばかりしていて、earth家の空気もだんだん悪くなって、このままではearth家は崩壊してしまいそうです。
そこで、
『よし!僕たちがなんとかしよう』
兄姉が立ち上がり、妹・弟の生活をよくしようと、姉・兄が応分の負担をすることとしました。
その名も「ミレニアム開発目標(MDGs)」
2000年から2015年までの間に、先進国の兄姉はご飯を作り、病院にいけない子供ののところに、お医者さんが直接診察しに行くなど献身的に、サポートし続けました。
MDGsのおかげでearth家には目に見える大きな変化がたくさん起こります。妹・弟たちの中で小学校に通えない割合は8%減り、1日1.25ドル(約150円)以下で暮らすいわゆる『絶対貧困層』に陥っている割合も3分の1以下に減りました。また、きれいな水を飲める割合も76%から91%に増え、特に衛生環境の悪さが原因で5歳以下で亡くなる子どもの割合も減り、幸せに暮らせる弟妹も増えていきました。
まだまだ達成目標にほど遠い課題もありますが、MDGsはearth家の兄弟姉妹の努力により一定の成果を上げることができたといえます。
わーい(*’ω’*)
ところが15年の間に予期しない事態も起きていたのです。豊かで健康的と思われていた姉や兄たちの中にも、すでにかなり年を取ってしまい、医療費が必要な者などが出てきてしまっていたのです。便利なものに頼り過ぎて不健康になったと思われます。
苦しむ妹や弟たちがいるのに、エアコンもクルマも使い放題、電気もつけっぱなしで肥満を気にせず、食べ物の半分を捨ててしまっています。このままでは弟、妹たちの食べ物はおろか、自分たちも生きていけなくなってしまいます。
そういうわがままな振る舞いが「earth家」そのものの存続を危うくしてしまっていたことにようやく気が付いた兄弟たちは再び家族会議を開き、新たな取り決めをしました。
それが「持続可能な開発目標(SDGs)」です。
言わばMDGsの後継目標ですが、MDGsとの大きな違いは、「弟や妹を助けるだけでなく、兄や姉も、家族全員が変わるための目標を掲げ努力しよう」と宣言したことです。
これからは弟、妹に何でも与えてお世話するだけでは不十分です。
自立できるように、持続可能なように教育していくことが大事だと言えます。
例えば、これまでは出来上がった魚料理をあげていたのを、これからは釣りの仕方から教え、自分で料理できるようになってもらうように教えなくはいけません。また、手洗いうがいが病気の予防だと知らない、パソコンが全く使えない、そういった人に柔軟に対処していきましょうというのがSDGsです。
MDGsとはMillennium Development Goalsの略でミレニアム開発目標と訳されています。この政策では、貧困の撲滅を始め、8項目の分野で、先進国と開発途上国が協力して、主に開発途上国が抱える様々な問題を解決していきましょう、というものです。
目標自体は目新しいものではないかもしれませんが、先進国と開発途上国の双方が達成期限と具体的な数値目標を定めて実現を公約し、その後も各国が共通の認識で取り組もうとしてきた点でMDGsは革新的であったといえます。
しかし、一方多くの課題も見えてきました。
主なMDGsの成果と課題は以下です。
●途上国で小学校に通う子どもの割合が90%に到達
→その約4分の1が卒業できない。
●小中高校に通う男女の割合の格差は解消目前
→例えばサハラ以南アフリカでは小学校に通う女児は男児の77%と、国や地域によって大きな差がある。
●5歳未満児死亡率は1990年比で41%減少
→目標である3分の2(66%)削減への道は険しい。
●妊産婦死亡率は1990年比で46%減少
→目標である4分の3(75%)削減は困難とみられる。
●HIVの新規感染者数は2001年比で21%減少
→今も年間250万人がHIVに新たに感染している。
(2013年7月に発表された国連の報告書『国連ミレニアム開発目標報告2013』により引用)
MDGsは主に「動く支援」でした。しかし次の15年でSDGsは開発途上国をいかに「動かす支援」に転換するかが求められています。
MDGsが革新的な取り組みであったなら、SDGsは変革的な取り組みだと思います。
増え続ける人口、広がる格差、食料・水・エネルギー不足、止まらない環境問題等、地球規模で対処しなければならない課題は数多く存在します。私たちにできることなんてないもん。そう思われますか?
そんなことはありません。相手をいかに動かして自立支援を行うか、地球の環境を保持し、次の世代にバトンを繋げるかは、僕たち世代にかかっていると言えます。
国連ってなんか難しいことしてそうだけど、覗いてみると世界の問題が身近になるかもしれないですね!!
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