はじめまして。同志社大学文学部英文学科、2年生の八田美菜子です。
9月から約1年間、香港にある、香港中文大学というところに派遣交換留学に来ています。初回ということで、私がこの大学に留学することになった経緯をご紹介したいと思います。
留学をする人の大多数と同じように、私も海外への興味や憧れを持っているうちの一人でした。ただ、大学に入学した当初はぼんやりとした憧れでしかなく、はっきりとした目的意識は特にありませんでした。授業は最低限のことだけをこなして、空きコマに友達とのんびりしたり、集団授業ではお喋りしたりすることもありました。そんなよくある大学のゆるい雰囲気に呑まれそうになっていた時、ある授業が私の意識を変えてくれたのです。
それは英語圏の帰国生や留学生と共に受講できる、英語で行われる授業でした。軽い気持ちで取った授業でしたが、他の授業に比べてはるかに活発で、課題も毎週のようにエッセイを提出するというもので、初めは大変なものを取ってしまったと驚愕していたものです。しかし、授業はすべてディスカッションで進められ、誰もがはっきりと意見を言い合う環境に次第に惹かれていきました。自分たちの出した考えがどんどん深まっていく実感が沸き、面白いと思うようになりました。と同時に、私が大学の授業に求めていたのはこれだ、と思うようになったのです。
このようなディスカッションを重ねていくうちに、もっといろんな国の人と話したい、同じ教室で授業を受けたいと思うようになり、留学を真剣に考えるようになりました。
留学先に香港を候補に入れていると話すと、英語で留学するのにわざわざ香港にしなくたっていいじゃないかとよく言われました。しかし、私の留学の目的は英語自体を勉強することではありません。
たしかに香港という選択肢は全く考えていませんでしたし、多くの英文科生と同じように、アメリカやイギリスに一度行ってみたいという憧れがあったのはもちろんです。しかし、そこに行って何をしたいのかと聞かれると、ぼんやりとしたイメージしかないということにも自分で気付いていました。そんなとき、ある外国人の先生の言葉が、香港という選択肢を見つけるきっかけになりました。
英語というのはツールでしかないのだから、英語で学べる環境であればどの国だって留学先になりえるし、わざわざ日本の大学から離れて勉強するのだから自分がやりたいと思うことを存分に堪能できる場所を選んだほうが面白いじゃないか、と。
そこで、私はもう一度、留学して自分が何を得たいのかを考えました。私が留学に求めていたのは、様々な国の留学生が同じ教室で互いに刺激し合いながら学ぶ環境と、日本に住んでいるだけでは絶対に体感できない、人々の中に染み付いた様々な文化に触れることでした。そのことに気づき、英語以外の言語も話されている地域に行きたいと思うようになり、香港に留学するという選択肢を見つけたのです。
中国に属しながらも、イギリスの植民地であった歴史をもち、現在は西と東をつなぐアジアの玄関口として栄える場所。西洋とアジアが入りまじった文化を肌で感じることができるこの場所で、文化と言語、人々の生活の関わりについて、日本にはない視点からも学べる点に惹かれ、ここに決めました。
中でも私が学んでいる香港中文大学は、文系理系ともに生徒の研究のサポートが厚く、多数の実績あるResearchのプログラムで有名なところです。よく交換留学生には、基礎的な講義しかとらしてもらえない、専門的な授業を取るのは難しいなどの壁がしばしばありますが、この大学では、稚拙であったとしても、自分の手で調査することをサポートしてもらえる機会があります。また、留学生の割合も高く、文字通り世界各地の学生が入りまじった環境で学ぶことができます。こうしたことから、私は留学先の大学を、単なる欧米に対するイメージや憧れよりも、自分が学びたいことができるということから決定したのです。
授業はこれから始まります。これからの一年、他の留学生や、香港の学生とかかわっていくなかで、気付いた事、面白いとおもったこと、考えさせられたことなどを発信していきたいと思っています。どうか、よろしくお願いします。
香港にある香港中文大学に派遣留学をしている英文科生です。言語と文化について主に勉強しています。日々気付いたことや、日本を外から見て思ったことなどを書いていきます。