メディアの閲覧規制や検索ワードに規制をかけるなど、メディアやネットの世界で未だに独特の政治背景を映し出している中国。
そんな中国とメディアの関係に関して新たに分かった事実があります。
Mashable(http://mashable.com/2016/05/19/china-faking-488-million-social-posts/#lz600GzQNuqA)によると、中国政府は一年間に4億8800万もの偽のSNS投稿をアップしていると言うのです。
この数は一日に世界中からツイッターに投稿されるツイートの総数と約同じ数で、莫大な数と言えます。
では、なぜ政府はわざわざ約5億もの偽の投稿をSNSにアップするのでしょうか?
その目的はなんと、大量の偽の投稿によって国の大きな問題や議論が国民の目に届かないようにすることだと言います。
ゲリー・キング氏率いるハーバード大学の政策科学のスペシャリスト3名は、以前から中国のネットを使ったプロパガンダと中国の政治の関係について調べ続けていました。
そこから浮かび上がったのはfifty cent partyという、プロパガンダを作り出す人々の存在でした。
彼らがfifty cent partyと呼ばれている理由は、彼らがプロパガンダを作り出す手段である偽のSNS投稿を一つするたびに、政府から50中国元の支払いを受けていると広く信じられているからです。
そんな中国のプロパガンダに大きく関わっていると考えられているfifty cent partyですが、彼らはプロパガンダを使って中国以外の国の政府をばかにしたりすることはないのだそうです。
彼らが作り出すプロパガンダの目的はあくまでも国民に国の不祥事や政治的にセンシティブな事から目を背けさせることや、国の素晴らしい部分、特に共産党の輝かしい歴史を協調することによって国自身を明るくしたり、それによって愛国心を持ってもらう事なのだと言います。
そして、ハーバード大学のスペシャリストたちはこういった偽のSNS投稿を調べあげていくうちに更に新たな発見をしたのだそうです。
こういった偽のSNS投稿にコメントしているのはごく普通の一般人であると言われ続けてきたのですが、彼らが調査した結果、コメントをしている人々は政府に勤めている人々だったのだそうです。
彼らの調査によると、彼らがこの行為をすることによって追加で給与が支払われている痕跡はなく、彼らの仕事の一環として認識されているのではないか、というのが彼らの見解です。
このようなfifty cent partyや政府に勤めている人が作り出している偽の投稿やコメントの約半分は政府のホームページに、そして残りの半分がSNS上にコメントや投稿として残っているのだそうです。
つまり、研究チームが集計したところ、中国のSNS投稿のうち約178個に1個は政府やfifty cent partyが作り出している偽の投稿であるということが分かったのだそうです。
特徴としては上で述べたように、センシティブな問題(政治に関わる問題等)が議論として挙げられたときに彼らの活動はより活発化するのだそうです。
Fifty cent partyが過去に書いた偽投稿の例として、
「たくさんの犠牲者の方が国の革命の為に戦ってくれたおかげで、私たちの今の豊かな生活がある!彼らの様なヒーローをもっと尊敬しよう。」などといったものがあります。
こういった中国の行動の背景のうちの一つとして、現代の中国では「他国の武力攻撃に対する恐怖より、自国の国民の反感の方が怖い」などという風潮がある事が挙げられるのだと研究者たちは言います。
そして彼らの研究報告の中には、「fifty cent partyのプロパガンダの手段、そしてその力は武力や紛争の力よりも強い(センシティブな問題から国民を遠ざけると言う事について)」と記されています。
以前の記事であったカンボジアのfacebook投稿での事件とは少し違い、人々の表現の自由を直接制限したりする方法とは少し違う中国のやり方。普通の人からするととても気づきにくく巧妙な手段だと思います。
カンボジアの一件と比べると事の本質は似ているものの違っている部分がよく見えて様々な事を考えさせられます。
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!